【貧血】鉄の吸収阻害因子と促進因子ー意外なことから貧血を招くー

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鉄の吸収を促す要素と阻害する要素をしっておくことは鉄欠乏性貧血の治療上大切である。思わぬことで貧血を招いている場合があるからだ。ここでは、鉄の吸収に影響を及ぼす要素についてまとめる。

ビタミンC

鉄剤とビタミンCを併用で処方する医師はかなり多いが、感覚的には鉄剤のみで出す方が多数派である。ビタミンCを併用で処方する理由は以下の通り。

ビタミンCは還元剤なので、吸収効率の良い二価鉄の状態を保つ。つまり鉄の吸収が上がる。
しかし、胃腸障害は胃内の二価鉄イオンの刺激によるものであるため副作用率も上がる
副作用への対処は色々と方法があるが、次回まとめる。

鉄剤には徐放剤であるフェログラデュメット、クエン酸塩であるフェロミア、シロップ剤のインクレミンの他、注射製剤もある。フェロミアは、鉄の吸収促進物質であるクエン酸と鉄との化合物であるため、元々それなりに吸収が良くビタミンCと併用する意義はあまりないとされている。実際に、フェロミアを単独群対ビタミンC併用群で比較した試験では貧血改善効果に有意差なしとエーザイのメーカー資料にかかれている。

一応フェロミアについてまとまったエーザイのページリンクをおいておく。
http://www.eisai.jp/medical/medical-finder/faq/ferromia/
なお、フェロミアは胃酸の影響を受けずに溶解するので,胃切除患者やヘリコバクターピロリ等による低酸・無酸症の患者に適している。

いくつかの研究を紹介する
ビタミンCの併用で鉄剤の吸収が6.6%→22.9%に上がるとする研究がある。つまり約3.46倍。
Am J Clin Nutr 2003 Sep;78(3):436

1-2カップのティーで鉄吸収が59%-67%程度まで落ちる。これはタンニン酸と鉄が高分子キレートを作り吸収されにくくなるためであるとされている。緑茶、コーヒー等のタンニン酸を含有する飲料で服用しても貧血の改善効果に大きな影響はない気もするが、治療中ならできれば避けた方がよいだろう。
ビタミンCで鉄吸収が291%ー350%まで増える。この結果は先の研究とおよそ同様である。
Am J Clin Nutr 2008 Apr;87(4):881

クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸もやや非ヘム鉄の吸収を促す作用があるが、ビタミンCほどではないとされている。
肉や魚も非ヘム鉄の吸収を促すが作用機序は明らかではない。

非ヘム鉄吸収阻害因子

貧血へ対処する上で鉄吸収の阻害要因を知っておくことは重要である。

まず、フィチン酸。フィチン酸は、豆類、穀類、および米中に存在し、(おそらく)非ヘム鉄に結合することによって、非ヘム鉄の吸収を阻害する。少量のフィチン酸(5〜10mg)で非ヘム鉄の吸収が50%程度まで減少する。

因みに大豆、黒豆、レンズ豆、緑豆、スプリットエンドウなどのマメ科植物からの鉄の吸収は2%と低いことが示されている。果物、野菜、コーヒー、紅茶、ワイン、スパイスなどに含まれるポリフェノールは、非ヘム鉄の吸収をかなり下げるがこの阻害作用はビタミンCの存在によって低減される。豆腐などに含まれる大豆タンパクは、そのフィチン酸含量とは関係なく鉄吸収に対する阻害する。

出典:DynaMed Iron deficiency Anemiaの項目

鉄剤との相互作用を起こす薬剤

抗生物質:セフェム系、ニューキノロン、テトラサイクリンなど
例えばセフェム系であるセフゾンは硫酸第一鉄製剤との同時服用により吸収が10分の1以下に阻害されたとする報告がある。フェロミアにおいても吸収阻害の報告があるので、服用する際は両剤の服用間隔を3時間以上空けて服用する。

鉄分を十分に摂っているはずなのに貧血が改善されないという人にあった時には、これらの阻害因子を摂取していないかを確認することにしている。例えば玄米を多く食べすぎているとかで貧血を招く場合もある。

 

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