ビタミンCとEには効く人と効かない人がいる

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動物実験で、抗酸化力の強いビタミンCとEはLDLコレステロールの酸化を抑え、動脈硬化が進みにくくなることが確かめられている。アルツハイマーだって動物実験レベルでは10年以上前に治療が成功しているのである。しかし、人においてはいまだ有効な治療薬がない。動物実験レベルをヒトのレベルまであげるのはかくも大変なのかと思う。ビタミンCやEに関しても効く研究と効かない研究が混在していて、結果も微妙な差ばかりなのでどっちでもいいじゃんって思考停止したくなる。しかし、そこで思考停止しては発展がない。何か分からないことや一見どうでも良さそうな議論を深く考察すると新たな発見があることもある

よく調べると興味深いのは、ビタミンCとEには効く人と効かない人がいて、体内で赤血球のリサイクルを行っている「ハプトグロビン」というたんぱく質の遺伝子タイプによって効果に差がでるということだ。動物のハプトグロビン遺伝子には型が1つしかなく必ず効果ありという結果になるのに対して、ヒトを対象とした試験では結果がまちまちになるのは、ヒトだけに2タイプのハプトグロビン遺伝子があるためではないかという説がある。

ハプトグロビンは、寿命が尽きた赤血球を回収し、肝臓に届けて鉄分などを再利用する「赤血球のリサイクル係」である。抗酸化ビタミンが効きにくいハプトグロビン遺伝子を持つ人では、リサイクル効率が低く、血中の鉄濃度が高いことがわかっている。この血中の鉄が、問題になるようだ。ビタミンCなどの抗酸化ビタミンを飲むと、鉄が還元されて、体内でFe2+(酸化第一鉄)ができるというのは以前紹介した。

Fe2+はLDLコレステロールを酸化する力が強く、遺伝子タイプによっては抗酸化剤の摂取が、かえって動脈硬化が進む元になるかもしれないとする説がある。しかし遺伝子タイプがそれにあたらなければ、メリットを享受できる可能性も十分にある

と、ここまで調べて、これまで出ていた臨床試験データをハプトグロビンの遺伝子タイプ別に解析しなおしたら抗酸化ビタミン論争もまた違った方向にいくのではないか?とふと思った。

それで更に調べてみると、既にあった抗酸化ビタミンに関する大規模臨床試験であるHOPE試験とICARE試験においてハプトグロビンタイプ別に再解析した試験があった。

ハプトグロビン2−2タイプの糖尿病患者では、心筋梗塞、脳卒中、心血管関連死亡が42%も減るというのである(オッズ比:0.58,95%CI:0.40-0.86 p=0.006)。色んなエンドポイントが複合で解析されているが、衝撃。ビタミンEを摂り続けることで該当遺伝子タイプの人の余命が3年ほど延びることが示唆された。前回、ビタミンEの摂取で死亡率が上がるのかという記事を書いた中で最後に紹介した研究と一貫性のある結果ではある。

【参考文献】
Diabetes Care. 2004 Apr;27(4):925-30.
The effect of vitamin therapy on the progression of coronary artery atherosclerosis varies by haptoglobin type in postmenopausal women.

Pharmacogenomics. 2010 May;11(5):675-84
Vitamin E reduces cardiovascular disease in individuals with diabetes mellitus and the haptoglobin 2-2 genotype.

Atherosclerosis.2015Mar;239(1):232-9.
Pharmacogenomic interaction between the Haptoglobin genotype and vitamin E on atherosclerotic plaque progression and stability.

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