【糖尿病】グルファスト、シュアポスト、スターシス•ファスティックの比較

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グリニド系薬剤(速効型インスリン分泌促進薬)は、2型糖尿病の治療における、第3、第4の選択肢でありサブ的存在だ。基本は膵臓を刺激してインスリンの分泌を促す薬。つまり膵臓にムチ打って、血糖下げるホルモン出せやーってやっている奴ら。

先日、このグループの1つであるナテグリニド(ファスティック)という薬を服用中のおじさんから本当に効くのか、これで数値は下がるのかと聞かれ調べるに至った。その人に関しては数値的にも効いている実感がなかったそうだ。

このグループの薬のサマリー

基本プロファイルを下表に記す。
速効型インスリン分泌促進薬
後に詳述するが、全体としての大まかな特徴•注意事項は次の通り。
•糖尿病合併症の予防効果が証明されていない
•膵β細胞に刺激を与えてインスリン分泌を促進するため低血糖のリスクが高く、体重増加もおこしやすい。特に他剤との併用時に注意が必要
•HbA1cの降下作用は微々たるもの(0.1%〜2%くらい)
•食事をとらない場合は服用をスキップする
それでは、さまざまな観点から比較検討してみる。

最も注意すべき副作用は低血糖ー肝•腎機能低下では特に注意ー

低血糖は致死的になりうる恐い副作用なので、原則としてグリニドとSU剤併用下で意識低下を伴う低血糖を起こした場合すぐに入院可能な施設へ紹介する。ただし、SU剤とは通常併用禁忌なので、特殊な事情がない限りは併用しない。

特に肝・腎機能障害のある患者では低血糖を起こしやすく、重篤な腎機能障害のある患者に対しスターシス•ファスティックは禁忌であり、グルファストとシュアポストは慎重投与である。

因みに、腎機能低下や高齢者で低血糖を起こしやすい場合はSU薬の代替としてグリニド系を使う場合がある

グルファストとファスティック•スターシスにおけるHbA1c降下作用の比較

(今のところ)合併症予防効果が証明されていないので基本的に使う意義があまりない薬と評されて仕方ない部分もあるが、HbA1cの数値を下げることは下げる。

頑健な科学的根拠があるわけではないが、いくつかの研究から次のことは言えそうである。
•グルファストはHbA1cを下げる
•シュアポストとファスティック•スターシスは血糖値コントロールにおいてほぼ同等の効果
•シュアポストの方がファスティックよりややHbA1cの降下作用が強い
•ナテグリニドは耐糖能異常のある患者の糖尿病発症や心血管イベントを減らさない

例えば、グルファスト(ミグリチニド)の有効性を検討しているコクランレビューはあるが、HbA1cを下げるか検討されているものの下げた結果どうなったか良く分からない。総死亡に与える影響についても報告がない。

HbA1cに関しては、プラセボと比較して
シュアポスト(レパグリニド):0.1-2.1%の減少
ファスティックorスターシス(ナテグリニド):0.2-0.6%の減少
レパグリニドの方がよりHbA1cを下げる傾向にあるが、どちらも微々たるもので、ほぼ同等の効果。シュアポストの方がファスティック•スターシスよりHbA1cは下げる。グルファストによる有害事象としては、3kgまでの体重増加と軽度の低血糖がある。( Cochrane Database Syst Rev 2007 Apr 18;(2):CD004654)
まさかこの程度しか下がらないとは。あのおっちゃんの下がらないって感覚はあたりだな。こんな情報具体的に言ったらあの人飲まなくなりそう。言ってないけど。ましてや、飲んでも合併症が予防できるかどうかすら不明では。

基礎インスリンとメトホルミンにファスティックを上乗せしたら効くのか

いやいや、もしかしたら他の薬剤に上乗せして使ったら良いのではないかということで、スタンダードな治療に併用した研究がある。結果として、基礎インスリン+メトホルミンにナテグリニドを上乗せすると血糖コントロールが改善するが、低血糖症状のリスクが高まることがわかった。HbA1cは24週で平均0.41%(ナテグリニド上乗せ)vs0.04%(プラセボ上乗せ)(p=0.023)の減少。数値はやや下がるが合併症が予防できるか不明。治療したいのは患者であって数値ではないんだが。
Diabet Med 2009 Apr;26(4):409

そもそも、空腹時血糖値を下げることで糖尿病の合併症は予防できるのか

食後高血糖は血管疾患・死亡のリスクファクターであるというのがアジア人と対照とした糖負荷試験からも示唆されている。この観察研究に基づき、食後高血糖を改善すれば血管障害などの合併症リスクが下がるのではないかと唱えられており、実際にそれに沿った治療が山ほどなされているわけだが、現実にはその治療効果は実証されていない。

たとえばファスティックは空腹時血糖はやや下げる傾向にあるが、心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞、狭心症、心不全など)の発生を減らさないことが示されている。
NAVIGATOR trial (N Engl J Med 2010 Apr 22;362(16):1463)

現実として食後高血糖を改善しても合併症が減らせないのはなぜなんだろうか。

食後高血糖を是正する薬剤として他に、α-グルシダーゼ阻害薬がある。こちらはメタアナリシスで大血管症予防効果が示唆されている。この解析には7つの研究が含まれているが、そのうち3件は未発表、2件は製薬企業がデータを提供していることから科学的根拠というには妥当性が低い。従って、食後高血糖を改善しても血管合併症や予後を改善できるのかは不明のままだ。(Diabetes Care. 2005 Jan;28(1):154-63.)
つまり、現時点では疫学研究から得られた仮説に反して食後高血糖管理による大血管症予防効果は実証されていない。感覚的にはインスリンやその他ホルモンの無駄遣いを抑えられそうな気はするのだが。

ナテグリニド(スターシス•ファスティック)は肝臓への直接作用がある

スターシス、ファスティックは高脂肪摂取ラットにおいて肝臓内の脂肪燃焼系酵素を増加させることにより肝臓内中性脂肪の蓄積の抑制が報告されている(Metabolism. 2008 Jan;57(1):140-8)。ヒトにおいても非アルコール性脂肪性肝炎患者に対するスターシス、ファスティックの有効性が報告されている(Hepatogastroenterology. 2005 Sep-Oct;52(65):1338-43) 。この作用はグルファストとシュアポストにおいては認められていない。ちょっとした使い分けのポイントになるかもしれない。

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