抗てんかん薬の服用における注意点と各薬剤における平衡感覚異常の比較

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

抗てんかん薬のねらいは、「発作を抑える」ことと「予防する」ことにある。

抗てんかん薬を服用すると何が起こるのか。個人差は大きいが、服用をはじめるとまず眠気とだるさを訴える方が多い。発作を抑える部位以外にも作用して、脳全体の活動や興奮を低下させるためである。副作用の程度と期間には個人差がある。こうした可能性は予め知っておくことが大切だ。

抗てんかん薬を変更する場合の目安

副作用が耐え難い場合は、用量や種類を変更することもある。

1つの目安だが
•生活に支障が出る程の耐え難い眠気
•歩行困難となり転倒する程のふらつき
•服用して1か月経っても眠気やだるさが一向に軽減されない
といった場合には他の薬剤を検討するか用量を減らすことが勧められる。

予防薬は服用意義を理解することが大切

予防薬は服用意義を理解して貰わないとすぐに自己判断で服用中止されてしまうことがネックとなる。

特にてんかんでは発作によって意識消失を起こしている間の怖さや二次的に起こった怪我などが記憶にない場合がある。そうなると本人にとっては予防よりも眠気やだるさの方が優先してしまう。そうなると、中断につながってしまう。そういう意味で、てんかんの薬に関しては薬の効く仕組みやベネフィットを予め説明することが大切だと感じている。

抗てんかん薬の副作用

代表的な副作用として眠気(過鎮静)、 低覚醒、 平衡感覚異常、複視(物が重なって見える)などがある。 一般的に副作用は、用量が増えると発現率が上がる。

以前、てんかん持ちの医師が薬を飲まずに運転して池袋で事故を起こしたことがニュースになっていたが、飲んでも眠気などが問題になるため通常運転は不可だし、飲まなくてもいつ発作が来るか分からない。詳細な背景は知らないが単純に飲まないからダメというのも一面的な見方だとは思う。

また、抗てんかん薬には特徴的な副作用があるものが多い。それらを簡単に紹介する。

フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)による歯肉増殖と多毛

特に成長期の若者において、著しい歯肉増殖が出やすいとされる。口腔内の少しの汚れから歯肉炎となることもあるので、うがいを励行し、食後は歯磨きをするなど普段からの衛生管理が大切になる。

フェノバルビタール(フェノバール)による覚醒低下(低覚醒)

服用量が適正でも、長期に用いると問題になる場合がある。それが覚醒低下による精神症状や行動面における副作用がある。低覚醒はいわゆる「寝ぼけ」の状態のことで、寝起きにぐずったり怒ったりしている状況が続いているようなものだ。特に子供において、顕著に現れ落着きのなさや多動がみられることがある。発作ではないので、こうした症状が知能や発達の障害ではないかと誤解されてしまうことになる。

カルバマゼピン(テグレトール)によるスティーブンス・ジョンソン症候群(薬疹)

簡単にいうと「最悪の薬疹」といったところ。抗てんかん薬に限った副作用ではないが、カルバマゼピンによる発症の報告例は多い。

ラモトリギン(ラミクタール)による皮膚障害

以前より発疹が多いことは知られていたが、重篤な皮膚障害による死亡例の報告があり安全性速報ブルーレターが出ている。皮膚や粘膜の荒れが出たら安易に放置しないことが大切だ。

平衡感覚の問題、ふらつきやめまいなどの発生頻度

最もメジャーな副作用だが、これは薬によっておこる頻度に幅がある。1つの参考までだが、16個のプラセボ対照ランダム化比較試験を含む抗てんかん薬のシステマティックレビューがある。運動失調、ふらつき、平衡感覚異常などについて検討されている。

全部をプールした解析だと、抗てんかん薬でのリスク比は2.73 (95% 信頼区間, 2.07-3.61) 、最低用量ではリスク比 1.76(95%信頼区間, 1.26-2.46)で2倍前後はそうした副作用が起きやすいことが分かる。結果は下表にしめすが、ガパベンはそうした問題は起こりにくく、エクセグランもそうした可能性は低いと言えそうである。逆にトピナとラミクタールはNNH=4(4人飲むと1人はそうした副作用が出る)と注意がより必要そうだ。
抗てんかん薬_平衡感覚
Mayo Clin Proc 2007 Jan;82(1):40
因みに4279名が抗てんかん薬服用、比較対象として1830名がプラセボ服用。全ての患者が、フェニトイン、カルバマゼピンまたはベンゾジアゼピン系をベースで服用していた。

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »