経口ステロイド製剤ー種々の副作用がありながら使用される理由

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

副腎皮質ステロイドは、健常人では生理的に分泌されているホルモンであり生存に必須な分子である。通常、ホルモン全般は内分泌腺で産生・分泌された後、血流にのって標的器官に運ばれ、そこにある特定の受容体と結合して作用を示す。

副腎皮質ホルモン(Adrenal Cortex Hormone)の特徴

副腎皮質ホルモンはその受容体がほぼ全身の組織や細胞に分布しているのが1つの特徴だ。こうした特徴をもつが故にステロイド製剤は全身の数多くの疾患に効果を示し、かつ全身の各部位で多彩な副作用を起こす。表1にその例を示す。
ステロイド生理作用
表1 ステロイドの生理作用
しかし副作用が出たからといってすぐに減量あるいは中止するわけにはいかないものでもある。

この作用と副作用を分離してメリットを切り抜こうとする試みは過去にも数多くなされてきたが、現実にはそのような製剤は存在しない。存在しうるのかも分からない。もし存在しうるのであれば、多くの難病患者が救われ、多くの副作用対策の薬剤が不要になるであろう。Steroid sparing effect(ステロイドの代わりとなりステロイドの減量効果を示す特性)を持つ物質として、種々の免疫抑制剤やω−3系脂肪酸といったものもあるが、ステロイドの代わりを果たすには至っていない。従って、治療上必要最低限の量の服用を行いながら副作用対策をしていくことが大切になる。

経口ステロイドの性質ーコルチコイドとは何か

コルチコイドとは、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの総称を指す。
Cortico-がラテン語で「皮質の」を、idやideは「化合物」を意味する。

副腎は、左右の腎臓の上端に位置する内分泌器官で、髄質を囲む皮質はさらに3層に分けられ、外側からそれぞれ鉱質コルチコイド(Mineral Corticoid)、糖質コルチコイド(Glucocorticoid)、性ホルモンを分泌する。

•鉱質コルチコイド
代表的なものがアルドステロンで、腎臓でのナトリウム・水の再吸収、カリウムの排泄を促し、水・電解質バランスの調整に関与する

•糖質コルチコイド
代表的なものはヒドルコルチゾン(コルチゾール;商品名コートリル)。糖・脂質・たんぱくの代謝に関わるとともに、強い抗炎症作用を有する。ほとんどの経口ステロイド剤は糖質コルチコイドが基となっており
健常成人での1日の分泌量≒ヒドロコルチゾンで10~20mg を基本として、これに近い力価を1錠中に含む(表2)
ステロイド_比較
表2 経口ステロイド製剤の比較
出典:プレドニン錠 インタビューフォーム

鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドとはそれぞれの作用が強いというだけの分類で、互いがそれぞれの作用を合わせもっている。

医薬品として使われている合成ステロイド製剤は、基となっているヒドロコルチゾンの構造を修飾することで、薬理作用として期待する糖質コルチコイド作用(抗炎症作用と免疫抑制作用)を高め、水・電解質バランスを崩す鉱質コルチコイド系の副作用を抑えたものである。

経口ステロイド製剤の薬理作用

薬理作用として期待される強い抗炎症作用と免疫抑制作用は、主に血管血液系に対する作用によるもので、抗炎症作用はプロスタグランジンやロイコトリエン、炎症性サイトカインの産生抑制、免疫抑制作用は抗体や細胞性免疫の抑制を介して発現される。

表1にも記したが、こうした作用は用量によって異なる。例えば、免疫抑制作用を得るには抗炎症作用の数倍の量が必要とされる。
疾患やその重症度により投与量の幅は数mg~1000mgほどの大きな幅があり、投与期間も数日で終わるものから、ずっと続ける疾患まで色々で副作用やその対策についても一様には語れない。

生命維持に重要な機能を担うが故に、ステロイドホルモンの分泌経路には個体差が少ない。だからこそステロイドはほぼ例外なく良く効き良く副作用が出る薬なのだ。

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