タクロリムス軟膏(プロトピック)とステロイド外用剤の比較

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湿疹皮膚炎の治療薬のスタンダードややはりステロイドであるが、慢性に経過する湿疹皮膚炎の代表であるアトピー性皮膚炎に限ればタクロリムス軟膏(商品名:プロトピック軟膏)もステロイドに並ぶ標準治療薬として利用される。

今回は、このスタンダードとされる両者について比較する。それ以外のアトピー向け外用薬としては、脂漏性皮膚炎にのみ適応のあるケトコナゾール(ニゾーラル)や、アトピーにおいて大切な保湿剤、またステロイドと良く併用され補助的に用いられる亜鉛華軟膏などがあげられる。

ステロイドとタクロリムスの相違点

相違点を下表に示す。
ステロイド_タクロリムス_プロトピック_比較
タクロリムスはカルシニューリン阻害薬で、カルシニューリンはT細胞活性化の初期段階に必要不可欠な存在だ。アトピーにおいて、両者はいずれもT細胞の活性化を抑制するのが主作用であるが、その細胞内のシグナル伝達系において作用する転写因子が異なる(表)。

タクロリムスは分子量がステロイドよりも大きく、脂溶性が高く、皮膚への親和性が高い。皮膚透過性はあるが、第2相ランダム化二重盲検比較試験において血中への移行性は0ではないものの、ほとんどないことが示されている。

ステロイドは抗炎症作用や免疫抑制作用以外に、種々の細胞の増殖抑制作用があるが、表皮細胞や線維芽細胞にも抑制的に作用し、それが副作用としての皮膚萎縮、皮膚希薄化につながる。

効力の側面からは、タクロリムス1%とベタメタゾン吉草酸エステル0.12%(リンデロンV軟膏0.12%)が同等の効果を示したとする第3相試験がある。また、0.03%のタクロリムスはMild〜Weakのステロイドとほぼ同等とされる。

酪酸ヒドロコルチゾン1%(ロコイド)とタクロリムス軟膏1%を比較した6ヶ月間の比較試験では、タクロリムスの方がより改善効果が大きかったと結論している。

タクロリムス軟膏の副作用

一過性の皮膚刺激感/灼熱感がタクロリムス軟膏の副作用として特徴的だが、これは通常時間と共に消える。辛ければ保湿剤を併用すると少し楽になる。免疫抑制剤なので、理論上はヘルペスや真菌などの皮膚感染症のリスクがあがる可能性はありそうだが、ステロイド軟膏よりもタクロリムス軟膏の方がより皮膚感染症リスクを上げるとする研究もあれば、一方でそうではないという研究もあり、全体としてみると6〜12ヶ月の経過で有意にそうした副作用が増えるということはないようである。日光や紫外線に過敏症を起こす可能性は指摘されており、メーカーの指導せんにもその旨の記載がある。

ステロイド外用剤の副作用

ステロイド外用剤の副作用を列挙する。
〈局所性〉
表皮・真皮の委縮、毛細血管拡張、紫斑、多毛、色素沈着、接触皮膚炎、皮膚萎縮線条
〈全身性〉
視床下部-下垂体-副腎軸(HPA)の抑制による副腎不全、高血糖、小児の成長障害、免疫異常

通常上記のような副作用は適正量の使用において出にくいが以下のような条件で起こりやすくなる。
・経皮吸収亢進部位(顔面、頸部、前胸部、上背部、腋、外陰部)に使用
・very strong~strongestランクのステロイドを使用
・広範囲に使用
・長期間使用
・密封療法
・びらん、潰瘍など皮膚バリア障害ある部位に使用

因みに、Strongクラスを10~20gの外用がおよそプレドニゾロン5~10㎎/日内服に相当するとされている
(成人で軟膏を全身に塗るのに必要な量が大体10~20g/日)。
HPA抑制が起こりうる1日使用量は以下。
ステロイド_抑制_1日量
推奨使用量上限はこの半量、小児は成人のさらに半量が目安である。

小児は体表面積が小さいため、高齢者は加齢に伴って皮膚が萎縮しているため吸収が亢進している。従って、成人よりワンランク下げた外用が望ましいとされている。

なお、皮膚症状が広範囲に及び程度が強い場合は、経口ステロイド剤を内服したり、場合に依っては更に重症ならネオーラルやプログラフなどの免疫抑制剤を使うこともある。

【参考文献】
1、類似薬の使い分け〜症状にあった薬の使い方とその選び方が分かる〜 藤村昭夫編集
2、Topical tacrolimus for atopic dermatitis
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 1;7:CD009864.
3、A systematic review of tacrolimus ointment compared with corticosteroids in the treatment of atopic dermatitis.
Curr Med Res Opin. 2011 Jul;27(7):1395-406.
4、Atopic dermatitis: tacrolimus vs. topical corticosteroid use
5、マルホ株式会社 プロトピックサイト

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