【抗不整脈薬】アミオダロン(アンカロン)とソタロール(ソタコール)

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Ic群の抗不整脈薬フレカイニド(タンボコール)やエンカイニド(既に発売中止)が逆に心血管死(特に不整脈死)を増やすと言う衝撃のCAST研究の報告以降、致死性不整脈に対して有効性が確かめられたのが、アミオダロン(商品名アンカロン)に代表される、Ⅲ群抗不整脈薬である。

特に心筋梗塞や心不全に伴う心臓系突然死の危険性がある致死性不整脈(心室性頻拍、心室細動)がⅢ群抗不整脈薬の対象となる。また、心不全はしばしば心房細動を合併する。心房細動は心不全を引き起こしやすくするので、その治療が大切になる。

Ⅲ群抗不整脈薬は心室性のみならず上室性不整脈にも有効性が高い。ソタロール、アミオダロン、βブロッカーを含む抗不整脈薬が心臓外科手術後の不整脈を減らすことを示したコクランのシステマティックレビューがあり、不整脈の手術後の成人17,364名の解析で、抗不整脈薬により、術後の不整脈や上室性頻拍及び入院日数を減らすことが分かっている。
Cochrane Database Syst Rev 2013 Jan 31;(1):CD003611

アミオダロン(商品名:アンカロン)

中でも、突然死予防薬としてのエビデンスが確立しているのがアミオダロンなので、その使用に支障がなければ第一選択となる。一方で本剤は毒薬指定であり、心臓系以外での副作用が多く、肺、甲状腺、肝臓、皮膚、神経に対する毒性が指摘されている。

不整脈による突然死を減らすことができるとするシステマティックレビューがある。同試験では上記の副作用についても検討されている。心血管突然死の予防を目的とし、アミオダロンとプラセボを比べた15個のランダム化比較試験(総患者数8522名の大人)が組み入れられている。

主たる結果は下表の通り。
アミオダロン_副作用_効果
出典:Eur Heart J 2009 May;30(10):1245

特に肺毒性は1割が致死的になるとも言われており、非常に怖いので肺線維症を有する例、肺拡散能が低下している例は使用を避けることとされている。呼吸器系の副作用は高用量、血中濃度が高いほど出現しやすく、1日100mg以下で肺毒性の発症を減らせる可能性がある(Am J Cardiol 2011 Sep 1;108(5):705)。

アミオダロン(アンカロン)に特徴的な副作用

•QT延長と催不整脈作用
特にカリウム濃度に関わるループ系利尿薬服用例や生理機能が低下している高齢者ではトルサードポアンツ(TdP)に注意
•呼吸器系 (間質性肺炎,肺胞炎,肺線維症)
•循環器系 (TdPの誘発、徐脈、房室ブロック、脚ブロック、QT延長、洞不全)
•肝臓 (肝酵素の上昇,通常は数値が異常値となるだけ)
•眼 (ほぼ全例で角膜色素沈着、眼がかすむなどの視覚障害や視神経炎)
•甲状腺系
甲状腺ホルモンのT4からT3 への末梢での変換が阻害され、ほぼ全例で検査値が変化。通常は検査値が異常となるだけだが、甲状腺機能の充進により不整脈が現れることがあるので定期的な検査が推奨される。

因みにアミオダロン塩酸塩錠100mgの先発医薬品と後発(ジェネリック)医薬品で甲状腺毒性に差がないか比較した研究がある。なお、アミオダロン塩酸塩錠100mgの先発医薬品はアンカロン錠で薬価は347.70円、後発(ジェネリック)医薬品は155.70円。そもそも後発医薬品は同一有効成分が同一量入っていて同等性が担保されているというのが前提なわけだが、66歳以上の60220名の患者を組入れたこの後ろ向きコホート研究では、やはりというべきか100人年あたりの甲状腺毒性発現率は両者とも14.1%で差がなかった(CMAJ 2011 Sep 6;183(12):E817)。使用期間も長くなるので、経済的負担にかなり差が出る。後発を選択される方がとても多い印象を受ける薬である

•急性膵炎
また、アミオダロンを開始して12ヶ月以内は特に急性膵炎リスクが上がりやすいことが症例対照研究で示唆されている。アミオダロン不使用群と比較して全体のオッズ比は1.53(95%CI 1.2.4-1.88)だが、開始12ヶ月以内ではオッズ比が1.86(95%CI 1.41-2.45)。因みに、ソタロール、フレカイニド、プロパフェノンなど他の抗不整脈薬では急性膵炎発症との相関はなかった。
JAMA Intern Med 2015 Mar 1;175(3):449

薬物動態によるアミオダロンとソタロールの使い分け

両者の簡単なパラメータを示す。
アミオダロンvsソタロール
アミオダロンは肝臓で代謝後、胆汁排泄されるので腎機能低下例や透析患者でも常用量の使用が可能だが、中等度でも肝機能低下がある場合はなるべく使用を避ける。消化管吸収があまりよくなく、バイオアベイラビリティは35〜50%と低い。脂肪への分布が著しく、消失半減期が14〜107日と長い。

ソタロール (ソタコール)は、β遮断作用を有するため心機能が低下している例では心不全を悪化させる可能性がある。腎排泄率が高く(75%)、高齢者や腎障害がある場合には低用量にする必要がある。

ソタコールは心外性の副作用が少なく、I群の使用困難例やアミオダロンの副作用による使用不可例にも有用性が期待できる。しかし、β受容体遮断作用が強いため、著しい心機能低下、冠攣縮性狭心症、気管支喘息を有する例では使用を避ける。

最後に両者の使い分けのポイントをまとめておく
•心不全あるいは腎不全があればアミオダロンを選択
•肺線維症、肺拡散能の高度低下がなければアミオダロンを選択
•アミオダロンが使用できなければソタロールを選択

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