アスピリンの抗がん作用ー服用期間及び癌の部位における差ー

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観察研究の結果では、NSAIDsが結腸直腸癌、乳がん、大腸がんなど何種類ものがんを減らすことが示唆されているが、これらの結果はランダム化比較試験においては示されていない。継続的な使用により大腸腺腫と大腸がんの再発が減らせることがいくつかの研究で示されている。

NSAIDsでも大腸がんリスク低減の報告はあるが、アスピリンによって腺腫が完全になくなるわけでもなく副作用リスクもあるので、今のところ大腸がんスクリーニングとしての服用は勧められはいない。

アスピリンの服用期間と抗がん作用の相関

低用量のアスピリンを2.5年以上続けると非血管性もしくはがん関連の死亡率が下がるとするシステマティックレビューもある。組み入れた試験の質が高いとはいいきれないが、低用量アスピリン(75-325mg/日)とプラセボを比較した24個のランダム化比較試験(患者数82868名、平均追跡期間2.5年)が含まれており、
非血管性死亡の相対リスクは0.88 (95% CI 0.81-0.96)、がん関連死亡に関する11の試験(16066名、平均33.6ヶ月追跡)では相対リスクは0.77 (95% CI 0.63-0.94)であった(Am J Med 2012 Jun;125(6):560)。

服用期間について、低用量アスピリンを5年以上続けているとがん関連死亡が減るという研究もあり、これは総勢77549名の患者、51のランダム化比較試験を含む2つのシステマティックレビューだが、非血管死(がん関連死亡含む)は合計2194名で、がん関連死亡は1226名だった。全体の解析ではアスピリン使用により非血管死が低減されている。オッズ比は0.88 (95% CI 0.78-0.96)。

うち、34個の試験(69224名の患者)でオッズ比0.85 (95% CI 0.76-0.96)で癌関連死亡が減っている。コントロール群のがん関連死亡率1.8%に対するNNTは235-1,414。積極的に予防服用を推奨できる数値ではない。こちらの研究では、0-2.9年または3-4.9年の追跡期間ではがん関連死亡について有意な差はなく5年以降でがん関連死亡に有意な差が出ている(オッズ比0.63, 95%信頼区間0.49-0.82)
Lancet 2012 Apr 28;379(9826):1602

がんの部位毎におけるアスピリンの抗がん作用

また139の観察研究を統合したシステマティックレビューにおいて、アスピリンの常用により全く服用しない群よりも大腸(結腸直腸)及び消化管癌が減るとされている。そのリスク比は次の通り。
Ann_oncol2012_table
なお、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、または腎臓癌のリスクに有意差はなかった。
Ann Oncol 2012 Jun;23(6):1403の数値より表を作成した。
もちろん異質性が大きいので、数値を単純比較はできないが消化管関連の癌が減る傾向にあるようだ。

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