射精回数が多いほど前立腺がんが減る

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射精をする回数が多いほど前立腺癌を予防できるとする研究が話題になっている。既に2004年に発表されている先行研究では8年間の期間で射精回数が増えるほど前立腺癌が減るとする相関が見いだされているが(JAMA. 2004;291:1578-1586 )、今回話題になっている研究ではさらに10年間プラスして追跡調査を行い、その相関を検証している。これは観察研究なので「相関は相関であって、原因ではない」などとありふれた冷や水を指す人もいるがそのデータ量たるや相当なものである。また、こうした相関が原因究明へのきっかけとなったりする。それに、根拠が曖昧でも結果が常識を作るという例も世には沢山ある。結局、各々が都合の良いように解釈するのかもしれないが。ともあれ、結果を書いていこう。

研究方法と主な結果

研究方法は次の通り。計31,925人の男性に質問を行い、1992年〜2010年までの期間の1ヶ月あたりの射精頻度を自己申告してもらう。1992年時点での平均年齢は59歳。合計18年間の追跡期間で3839名が前立腺癌の診断を受け、うち384名が致死性/重篤例。

1992年時点で調査票に過去の月当たり平均射精回数を記載してもらってフォローアップする前向き研究。

時期により3つの期間に分けて分析している。
その3つの期間が、1)20〜29歳、2)40〜49歳、3)質問をした年の前年

射精頻度は月平均で
1)0〜3回、2)4〜7回、3)8〜12回、4)13〜20回、5)21回以上と計5つのグループに分けて比較。

月平均0〜3回の人があまりにも少なかったことから、4〜7回/月の群を基準として比較されている。なお、多変量解析により交絡因子を調整している。主な結果は次の通り

•20〜29歳の時に月21回以上の群は、基準群(4〜7回/月)より20%程度前立腺癌のリスクが低い
•40〜49歳時でも同様
•40〜49歳で8〜12回/月でも10%の有意な相対リスク減少あり、13-20回/月では20%の減少率
総じて基準群(4〜7回/月)にくらべ21回以上の射精頻度の集団は前立癌発症率が22%低い
•しかし、前立腺癌の重症度や死亡率とは関連は見られなかった
•いわゆる早期癌の頻度は、射精回数が多い人ほど少なくなるという結果

射精を控えることで前立腺内に癌を誘発する物質が残留してしまうことが、前立腺癌の発症と関連がありそうだという意見も書かれている。しかしながら、本研究をもって射精に予防効果があると断ずることはできない。

アンケート形式の調査故に正確な数値は不明であり回数ー反応関係に焦点を絞るのも何だかなという向きもあろうが適切な回数により前立腺の健康が保てるということだろう。念の為付記しておくと、射精頻度と他の重篤疾患にはなんの相関も見いだされなかった

射精回数が多い群の特徴

「少なくとも21回/月」のグループ男性はかなり特徴的である。他の群よりカロリー摂取量、アルコール摂取量、性病(淋病やシフリス等)罹患率、喫煙または喫煙歴、(オマケに離婚歴まで)が多い傾向にあった。こうした要因はより死因を高めるようにも思える。また、前立腺癌特異抗原のPSAスクリーニングを受けていない者が多い傾向にあった。
(※PSAスクリーニングに関しては、以前「早期発見早期治療は善かー前立腺癌スクリーニングー」でも触れている。ご参考まで。)

これで、この群が前立腺癌と診断される前に早死にする人が多いが為に前立腺癌が少ないと計算されていたら身も蓋もない。しかしながら、それを踏まえても射精頻度が多い群の前立腺癌減少は他の要因による早死にによって説明しきれるものではなく実際に前立腺癌は減っている傾向にあるとしている。前立腺癌は男性の癌の中で約15%を占めており、日本においても増加傾向にある。パイプはキレイに保っておこうといったところだろうか。

【参考文献】
1、JAMA. 2004 Apr 7;291(13):1578-86.
Ejaculation frequency and subsequent risk of prostate cancer.
Leitzmann MF, Platz EA, Stampfer MJ, Willett WC, Giovannucci E.

2、Eur Urol. 2016 Mar 28. pii: S0302-2838(16)00377-8.
Ejaculation Frequency and Risk of Prostate Cancer: Updated Results with an Additional Decade of Follow-up.
Rider JR, Wilson KM, Sinnott JA, Kelly RS, Mucci LA, Giovannucci EL.

3、国立がん研究センター 2015年のがん罹患数、死亡数予測公開

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