過誤の割合で薬局を選択する?

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「薬と健康のホンマでっかな情報発信局とは」をお読みください。

薬局の選択基準は色々ある。当然サービスの質、自分の必要な薬の在庫状況
薬剤師の知識レベルなど多種多様だろう。

薬はどこの薬局で貰っても同じ。どこの薬局に行こうが変わらない。
だから医者は選んだとしても、薬局はどこでも良い。そういう意見もある。

処方せん集中率うんぬんで料金が少し変わりますよとかそういう細かい経済的な話は
「調剤報酬点数表」をググって頂ければと思うが、
どこの業界にも良い店と悪い店では大きな違いがあるものだ。

薬局も例外ではない。今回はその中でも過誤の割合という観点にフォーカスしてみたい。

心ない方々から
「簡単そうな仕事だよね。だって処方せん受けてその内容を出すだけでしょ。
自分でもできそう。楽だよね。俺も薬局作ろうかな」なんて言われたことがある。

ピアニストよろしく一見簡単そうにことをすすめるのはプロたる所以だなどと
ポジティブに捉えることもできるが、多分一般には内実が分からないためのコメントだろう。

「処方せんを受けてその内容を出す」。それはその通り。ただし、内容が間違っていなければ!
処方せんは一定の割合で間違えているものがある。何せ人間がやっているのだから。
日に300件とか捌けば10や20は疑義が生じる処方せんはある。

単純な書き間違え、1週間に1回飲むべき薬を毎日で処方している
用量が上限量を越えている、もしくは小児や高齢者に高用量で出ている
飲み合わせ上問題のある薬が出ている、次回の受診までに十分な日数の薬が出ていない
他の科やクリニックで出ている薬との飲み合わせが悪い
ある病気を持っている人に禁忌の薬が処方された
抗生物質が処方されたが、顧客の病態と関係のない菌に対応するものだった
医師の勘違いで全く関係ない薬が処方されていた

こんなのは普通にみかける。で、医師や歯科医師に照会すると案外深く考えずに
なんとなくトレンドで出しているんだなと思わされる回答も少なくない。

処方せんが間違えていなくても、
薬局で処方せん情報をコンピュータ入力→薬を集める→監査する→交付する という過程でも
人が介在するので一定の割合で過誤が起こる。これを減らすための努力がある。

2003年にAuburn大学によって行われた研究によれば、
アメリカの調剤薬局では250処方せんにつきおよそ4件の過誤があり、
年間5150万件の調剤過誤がアメリカ全土で起こっているという。
パーセンテージで言えば2〜3%だ。
色々な医療機関に営業に行った経験からこの数字は大きくはずれていないと思う。
「うちはかなり企業努力していますよ」という店舗で1%とか。
機械に一部やらせたり、バーコードリーダーを利用して薬を集めてとか
レベルの高い店舗だと0.1%以下のエラー率(こんな店舗は日本に数える程しかない)。

そのほとんどは重大な事故に結びつくことはないが、
中には死に至ったり重篤な副作用に繋がった不幸な事故もある。
非常に多く発生している医療事故であるが、実際にどれくらい発生しているかのデータはない。

事故の多くは直接的には外部から見えない所で発生し、内実を知ることが難しいのだ。
エラーに至るプロセス検証を出来る仕組みがなく、
事故を予防するためにインシデント事例を集積・分析しようにも
客観的データ・報告を得難いのが多くの医療現場の現状だと思う。

これは過去にプロセス検証できるシステムの営業をやっていて
色んな医療機関(病院ランキングで上位の所でも!)にいって思ったことだ。
本当に皆、雑な管理をしている。しかも雑な管理をしている所に限って、雑だという自覚症状がない。
大きな声では言えないが、極端にひどいところだと平気で期限切れの薬を出しているところすらある。

それで現場の記録もないのに、ミスした人に報告書を書かせて
どういうプロセスで過誤に至ったかを検証することなくエラーのスナップショットのみに着目して
それについて会議で時間を費やすのだから世に時間の無駄は多いなと改めて思う。

因みに医療事故の推定値を紹介している研究レポートはある。
それが1999年に米国で発刊された「To Err Is Human」で引用されたデータであるが、
米国 では年間44,000人~98,000人の患者が医療事故で亡くなっているというものだ。

米国の研究による推定死亡数をもとに計算すると、
日本では年間26,000~46,000人(1998年度)が医療過誤で命を失っている可能性がある。

例えば過誤が絶対に許されない業界が、航空業界や原子力発電などだが
人間の介在やエラー誘発要因を限りなく0に近づける努力にとてつもない労力を
費やしている。たとえエラーが起きても次の段階で止める といった多重防護壁
が何重にもなっているのだ。

医療はどうかと言えば、人間の介在やエラー 誘発要因の数・種類が極めて多く、
エラー発生後の発見や対応などの多重防護壁が弱い。

例えば、医師が誤って処方して薬剤師が見逃す
    医師の指示を聞き間違えて看護師が誤って投薬する 
防護壁が2重くらいだと、こうあっさりくぐり抜けてこんな過誤が起こりうる。
多くはヒューマンエラー、即ち人間によって引き起こされる過誤だ。

良くある議論は、その人が注意を怠ったからである というものだ。
しかしヒューマンエラーは注意しさえすれば減るというものではない。

人間の特性を理解し、人は間違えうる事を前提としてシステムを構築し機能させていくことが大切である。
そのためにはエラーの瞬間だけのスナップショットに着目するのではなく、
時間的空間的に広い視座に立ちエラーを捉えて要因を見出すことが必要である。

世の中には、
そんな高い意識を持って過誤率を0.02%以下に抑えていて後からプロセス検証している薬局もあれば
何となく手作業で業務を行って過誤率が3%以上ある薬局もある。しかも後者は過誤の記録すらない。
どちらを選びたいですか。

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬局のお悩みについてご相談

「みんなで選ぶ薬局アワード」エントリー募集中!

 

 

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »