マスコミ医療情報との付き合い方

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

病気や治療の情報の大元に臨床研究があるということを以前書いた。

それはそうだが、全ての疑問について対応する論文にアクセスして
読みこなすのは現実的ではない。

そして、マスコミ情報の方が格段にアクセスしやすい。
本来なら知っておくべき行政通知や副作用情報が
思わぬところで知れ渡るのもマスコミの力だ。

最近は、マスコミ情報の信頼性にも厳しい目が向けられている。
発掘あるある大辞典しかり、みのもんたしかり。
いい加減なことをいえば、すぐに叩かれる。

ニュースで気になるヘッドラインがあっても安易に信じてはいけない。
例えば、「コーヒーに発がん性がある」と言うヘッドラインがあったとしたら
どうだろう。疑ってかかるだろうか。

5匹のラットに高濃度のコーヒー原液を注射したら将来癌化するかもしれない
小さな細胞変化が観察された というだけかもしれない。

こと健康情報に関しては、どこに注目して見るべきか。
今まで無意識に自分が用いてきたチェックポイントを記していく。

▼具体的な研究に基づいているか
最初に注目すべきは、ニュースの元となった研究である。
その記事が病気の治療や予防のことに書いてあったとして、
何も科学的研究の裏付けがなければ注意しなければならない。

▼研究対象はヒトか
「奇跡的な治療法」の類いは良く見ると実験細胞や動物で確認されただけで、
ヒトに応用できないということはよくある。
しかも、この手のストーリーに限ってヒトの写真などと一緒に記事になるものだから
ヒトで研究されたものだと勘違いしてしまう。

細胞や動物実験は極めて重要な1ステップで勿論軽視されるべきではないが、
細胞レベルで効果がある薬の多くは動物で効果を示さず
動物レベルで効果を示した薬の多くもまた人間で効果を示さない。

従って、それが動物実験の結果なら
「それが将来ヒトの治療に使われる可能性があるが、
 そうならない可能性の方が大きい」 程度にとらえておくのが一般的に妥当だと思う。

▼ただの発表か、論文報告か
論文報告でない場合、研究方法の全詳細がまだ入手できないかもしれず
質の判断が難しい可能性がある。

▼定評ある医学専門誌に掲載された論文か
定評ある医学専門誌はそれなりに審査が厳しいので、そうそう変な情報が載ることはない。
もちろん例外はある。

▼研究対象となったヒトは何名か
人数が少なすぎると統計的に信頼できる数値にならない可能性がある。
コイントスを想像すると分かりやすい。
投げる回数を増やせば増やす程、表裏が出る確率は限りなく五分五分に近くなる
(中心極限定理という)。逆に回数が少なければ結果が偏る可能性がある。
サンプルサイズ(被験者数)に関して言えば、一般的に多い方が良い。
少人数で行われた試験結果の扱いには注意が必要である。

▼その研究は対照群を設けているか
数ある疑問の形に対して、異なる研究の仕方はあるが
総じて比較対象がなければ、その治療や介入の実際の効果を推し量ることは難しい。

▼比較対象の特徴が治療/介入群と似通っているか
比較対象と特徴が似通っていなければ平等性に欠けるし、
結果をそのまま信じるには注意が必要だ。
そのため両群にランダムにくじ引き方式で被験者を割りあてる
手法がスタンダードとされている。

▼研究デザインは何か
研究デザイン次第でバイアスの入りやすさが全くことなってしまう。

▼複数の研究で支持されているか
1つの研究だけで支持されている というだけでは根拠として脆弱(よほど質の良い研究でない限り)だ。
複数の研究で支持されている結果ならある程度信頼できると捉える。

▼その研究は実際にヘッドラインに書かれている内容を評価しているものなのか
当然、記事に書かれている内容の試験を主目的としている研究でなければ意味がない。

例えば「トマトが心臓発作のリスクを減らす」というヘッドラインがあったとして、
あなたが探すべきはその研究が心臓発作に関するものであるか、だ。
もしかしたら、それはトマトが血圧を下げる という研究かもしれない。

高血圧が心臓発作のリスク因子であることを拡大解釈して
心臓発作を減らすと書いただけかもしれない。
こうした拡大解釈は事実と証明されることもあればそうではないこともある。

血圧、血糖値やコレステロールを下げるのは合併症や発作など具体的症状を
防ぐ手段であって目的ではない。ここを取り違えた情報はとても多い。

▼研究の資金提供者は誰か
大抵の臨床試験はその試験製品の製造会社から資金提供をうけて行われている。
それが薬であれ、食料品であれ。当然良い結果が出て欲しいと思う。
それが意識的無意識的に関わらず、潜在的には結果に影響を与えることがある。
製造会社に資金提供を受けた試験が信頼性に欠けるということではない。
多くは客観的に行われている。ただ利益相反の可能性を見極めるには資金提供者に気をつけた方が良い。

ここまで厳しくチェックする必要はないかもしれないが、
様々な情報のソースに思いを馳せるのは時に大切だ。

研究者や利益享受者が過大評価したり、研究で支持されてもいないことを
都合良くふりまくこともある。ソースを確かめずにそれを広める人もいる。

チェック項目をこの一記事で網羅はできないが、
主要なところは触れられたかと思う。

先日、知人が「太っているヒトは1.5倍歯周病になりやすい」という一行を
SNSでシェアしていた。さあ、どう捉えますか。

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »