【甲状腺ホルモン】Q、朝食後処方のチラーヂン(レボチロキシンNa)を寝る前に飲んでもよいか&その吸収に影響を与える因子

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チラーヂンS錠(成分名:レボチロキシンナトリウム)を朝食後処方されている患者さんからふと質問を受けてどうだったかな?と調べた。結論は変えても良いと思われる。

甲状腺機能低下症や、甲状腺腫をお持ちの方などで、甲状腺ホルモンを補うための合成甲状腺ホルモンの薬。甲状腺がんなどで甲状腺切除していたりすると一生のお付き合いになることもあるお薬。何故か定番的に朝食後に出されることが多い。因みに「S」は「合成:Synthesis」からとった命名だ。

メーカー資料、チラーヂンのインタビューフォームには食事の影響について記載はない。そこでチラーヂンS錠(レボチロキシンナトリウム錠)の服用時点毎の比較研究をもって検討した。

朝か夜でどちらが良いか比較した研究

J Clin Endocrinol Metab. 2009 Oct;94(10):3905-12.
Timing of levothyroxine administration affects serum thyrotropin concentration.
Bach-Huynh TG1, Nayak B, Loh J, Soldin S, Jonklaas J.

空腹時服用により甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulating Hormone:TSH)の血中濃度が低くなり、(1.06 +/- 1.23 mIU/liter)、朝食後服用で濃度が有意に高い(2.93 +/- 3.29 mIU/liter)。就寝前においてもTSH濃度が有意に高くなっている(2.19 +/- 2.66 mIU/liter)。空腹時投与の方が吸収もよく狙った血中濃度にしやすいというメリットがある。

起床時(少なくとも朝食前1時間)、朝食後、就寝前(少なくとも食後2時間)で比較したクロスオーバー研究

Arch Intern Med. 2010 Dec 13;170(22):1996-2003.
Effects of evening vs morning levothyroxine intake: a randomized double-blind crossover trial.
Bolk N1, Visser TJ, Nijman J, Jongste IJ, Tijssen JG, Berghout A.
通常、朝または空腹時服用が良いと考えられているが、どこがベストの服用タイミングなのかを示した大規模ランダム化比較試験は多くないという背景から、就寝前服用が朝の服用よりも甲状腺ホルモン数値の改善させるのか確かめるべくダブルブラインドのクロスオーバー試験を甲状腺機能低下のある105名の被験者に対して行った研究。

患者は朝と就寝前に6ヶ月にわたり各1カプセルを服用(片方がレボチロキシンでもう片方がプラセボ)し、3ヶ月目で両者を入れ替えることとした。プライマリアウトカムが甲状腺ホルモンの数値、セカンダリアウトカムがクレアチニン、脂質、BMI、脈拍、QOLとした。90名が試験を完遂し、解析に組み入れられた。

結論だけ抜粋すると就寝前が最も吸収良好でついで起床時が良好、朝食後の吸収が最も劣っていた。セカンダリエンドポイントとして解析されたクレアチニン、脂質、BMI、脈拍、QOL(生活の質)に関しては有意な差がなかった。実際、意図的に起床時で処方してくる医師もいる(恐らく、こういう文献をちゃんと読まれているのだろう)。

ポイントをまとめておくと
•食事の影響で吸収が落ちるので、空腹時服用が有利
•T4から活動性の高いT3への変換は夜間に亢進する
•夜間は腸の動きが緩やかであるため吸収が緩やかになる

といったところなので、実は就寝前はむしろ望ましい飲み方であると言える。

原発性甲状腺機能低下症などでは基本的にTSHの検査値を見るので、起床時就寝前どちらでも良いのではないかと思う。

(※蛇足ながら、二次性の甲状腺機能亢進症(腎臓からくる場合など)で、他の数値(例えばFT3やFT4など)をみる場合は服用タイミングによって検査値が左右されることもあるので血液検査のタイミングとの兼ね合いで服用タイミングの指示が異なるのかもしれない。)

補遺:チラーヂン(レボチロキシン)の吸収に影響を与えうる因子

甲状腺ホルモンの検査値の変動が不安定な時には、併用薬や嗜好品に吸収が影響されていないかを疑う場合がある。そんな、吸収に影響を与えうるものを参考までに列挙しておく。

〈併用で吸収率を低下させるもの〉
カルシウム製剤、スクラルファート、水酸化アルミニウム、鉄剤、コレスチラミン、制酸剤(酸化マグネシウムなど)、コーヒー(Med Clin N Am 96 (2012) 203–221)
日常的に朝食後にコーヒーで飲むなんて人は注意が必要。

〈吸収率を上昇させるもの〉
ビタミンC(J Clin Endocrinol Metab 99: E1031–E1034, 2014)

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