【抗生物質】稀だが注意すべきマクロライド系薬剤の致死的副作用と相互作用

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あまりにもアタリマエに使われているマクロライドであるが、稀ではあるものの重篤化しうる副作用もある。今回はそんな例を紹介する。

マクロライド系薬剤によるQT延長

まず致死的になりうる副作用として無視できないのが、QT延長(心電図異常の一種)とそれに伴うtorsade de pointes(不整脈)である。実際に米国における研究では、アジスロマイシン服用により患者の心臓死のリスクが高くなることを示唆する研究があり、100万人服用中、47名の心疾患死亡増という結果が出ている(N Engl J Med 2012; 366:1881-1890)。心疾患のハイリスク群ではさらにリスクがあがるので、注意が必要だ。割合としては少ないが、致死的になりうるので意識の片隅にいれておきたい。また、2013年3月には、FDAがアジスロマイシンによるQT延長について警告を出している(http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm341822.htm)。日本の添付文書でも異常があれば即中止に記載がある。

スタチン系コレステロール降下剤との相互作用

マクロライド系薬剤で注意すべき飲み合わせの1つとして、スタチン系コレステロール降下剤の併用がある。横紋筋融解症や腎機能低下リスクを上昇させる懸念があるためだ。

スタチン服用中の高齢者がクラリスの服用により、筋肉や腎臓の問題が増え、総死亡率も上昇するとする研究があり(Ann Intern Med. 2013;158(12):869-876)、その絶対リスク上昇率は0.02%(95%信頼区間は0.01〜0.03%)、すなわち5000人に1人程度が横紋筋融解症による入院と頻度である。頻度は低いが、致死性の副作用なので無用にリスクを踏むような処方をみると気になってしまうの。例えば、スタチン服用中の患者さんが風邪などで受診した際に安易にクラリスが処方されているのをみるとどうかと思う。

因みにその研究では、プライマリアウトカムを抗生物質処方後30日以内の横紋筋融解症による入院としたものだが、対象者は65歳以上、スタチン服用下でクラリスロマイシン(n=72591)またはエリスロマイシン(n=3267)を処方された患者とアジスロマイシン(n = 68478)服用者を比較している。

それで、横紋筋融解症発症による入院の非併用時と比べての相対リスクは2.17 [95%信頼区間, 1.04-4.53]) で、
急性腎障害の絶対リスク上昇率は1.26% [95%信頼区間, 0.58%-1.95%]、相対リスクは1.78[95%信頼区間, 1.49-2.14])
総死亡は絶対リスク上昇率が0.25% [95%信頼区間, 0.17%−0.33%]、相対リスクは1.56 [95%信頼区間1.36−1.80])。

アウトカムが死亡ということを考えると0.25%というのはかなり結構恐いような気がするのだけど。ハイリスク群での併用は考えものだ。

【参考文献】
1、N Engl J Med 2012; 366:1881-1890
Azithromycin and the risk of cardiovascular death
Wayne A. Ray, Ph.D., Katherine T. Murray, M.D., Kathi Hall, B.S.et al
2、Ann Intern Med. 2013;158(12):869-876.
Statin Toxicity From Macrolide Antibiotic Coprescription: A Population-Based Cohort Study
Amit M. Patel, MD; Salimah Shariff, PhD; David G. Bailey,et al

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