【血栓予防薬】クロピドグレル(商品名:プラビックス)とPPIの相互作用

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クロピドグレルとPPI(プロトンポンプインヒビター)の相互作用については、兼ねてから様々な議論がある。薬理的には代謝酵素CYP2C19に関わる相互作用があり、クロピドグレルの作用が落ちることが知られている。しかしながら、相互作用のデメリットは小さくメリットが上回るとする研究もある。

ガイドラインの推奨

ACC/ACG/AHAは、ステント留置術後患者に対する抗血小板剤2剤併用療法を行っている(DAPT:Dual Antiplatelet Tharapy)患者にはPPIの使用を推奨している。消化管出血リスクが減るとする研究があるためだ。ただし、消化管出血リスクが低い患者では、ルーティン的に漫然と処方すべきではないとされている。

個々の研究で相反する結果

個々の研究を見ていくと、クロピドグレルとPPI併用を比較した試験において、相反する結果が出ているものがある。

その相反する研究の1角が“COGENT試験”であり、ここではステント留置術後にクロピドグレルが処方された患者(1万4,383例)を対象に1年間の主要有害心血管イベント(脳卒中,心筋梗塞,狭心症,バイパス術による入院)を観察している。結果、心血管イベント発生数に有意な差がなかった一方で、
180日時点での消化管イベント数は オメプラゾール群 0.7% 対 プラセボ群2% (NNT=77)
消化管出血は オメプラゾール群0.005% 対 プラセボ群0.4%(NNT=253)
であった。つまり、併用しても効果が変わらないので相互作用の影響は大きくなさそうだが、消化管イベントはやや減らすので併用は勧めても良さそうではないかということである。
COGENT trial (N Engl J Med 2010 Nov 11;363(20):1909)

もう一方が、”CREDO試験”で、PPIとクロピドグレルとの併用による有害作用の有意な増加は認められなかった(Circulation 2008; 118:S815)。総死亡に関しては有意な差がなかった一方で、脳卒中や心筋梗塞などのイベント数はやや減らしている。出血傾向については有意差が出なかった。

FDAの推奨と他の胃薬併用選択肢

FDAは、オメプラゾールとクロピドグレルの併用は避けることを推奨しており、日内で服用タイミングをずらしても、薬物間相互作用が減るわけではないのでずらして服用も望ましくないとしている(下表)。とかく、クロピドグレルはCYP2C19に影響する薬剤服用中の方や元々CYP2C19が非活性型の患者さんへの使用は注意が必要となる。

なお、他の胃薬の選択肢も含めた表がDynaMedにあったため以下に翻訳したものを転載する。
クロピドグレル_ppi
今のところ、PPIとの併用をどっちかに結論づけて語れるほどの情報がないということになる。逆にいうと、どちらでも大きな差がないという研究が多い。率直に相互作用がないものでいくというのでも良いだろう。

医師の処方を見てきた経験からいうと、クロピドグレル使用時にPPIを併用しない医師も多い一方で(リスクの程度からすればそれもありと思う)、PPI併用によるクロピドグレルの効果源弱は臨床的には大きな影響がないので、潰瘍予防効果を優先してPPIを併用するという医師もかなり多い。これに関してはどちらが正しいとは言えない。

その人の潰瘍発生リスクにもよるだろうし、経済的な側面もある。また、クロピドグレルには代謝酵素の遺伝子型によっては効きにくい人が一定数いるため服用前に遺伝子検査を行うことも多々あり、その結果の兼合いもあるかとは思う。

【参考文献】
N Engl J Med. 2010 Nov 11;363(20):1909-17.
Am J Cardiol. 2008 Apr 1;101(7):960-6.
•American Society of Health System Pharmacists, Inc., DynaMed [Internet]. Ipswich (MA): EBSCO Information Services. 1995 – . Record No. 232851, Clopidogrel; [updated 2016 Jan 19, cited place cited date here]

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