【非小細胞肺がん】ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の臨床試験と逆に死亡率が上がる属性について

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前回は、ニボルマブの命名の由来、薬価設定、作用機序など概論について触れた。今回は、具体的な臨床試験について紹介する。また、どのような属性の人に使って行けばよいのかまとめる。

既存薬と比較してどうなのか

使用対象患者を見極めをしていくにあたり、既存薬との比較試験が参考になる。数多くの比較試験があるが、今回は非小細胞肺がん患者に対する試験を2つ紹介する。

1、進行扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する試験(N Engl J Med. 2015 Jul 9;373(2):123-35.)
第一選択の化学療法を受けている間もしくは受けていながらも病状が進行する場合には選択肢が限られてくる。こうした患者集団において、既存の抗がん剤ドセタキセルとで効果が比較検討されている。 この試験では、患者272名(年齢中央値63歳、76%が男性)が,ニボルマブ3mg/kg×体重を2週ごとに投与する群と、既存の抗がん剤ドセタキセル75 mg/m2×(体表面積)を 3週ごとに投与する群にランダムに割付けられ、病気が進行するか副作用で中止となるまで継続した。主要評価項目は全生存期間。なお盲検化はされていない。結果は次の通り。 ニボルマブvsドセタキセル_生存期間 結果として、死亡リスクはニボルマブ群のほうがドセタキセル群よりも41%低く(ハザード比 0.59,95%信頼区間 0.44~0.79,P<0.001)、死亡または病勢進行のリスクも38%低かった(ハザード比 0.62,95% 信頼区間0.47~0.81)。効果は良いということだ。

腫瘍縮小の程度はRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)という基準により判断されており、ニボルマブ群にはComplete Respons(つまり癌が消失すること)が1名、Partial Response(30%の縮小)は26名であった。進行がんでも恐ろしい程に奏功する例があるわけだ。ここでは、PD-L1の発現状態による差は見いだされていない。

2、非扁平上皮細胞非小細胞肺癌患者に対する試験(N Engl J Med 2015 Oct 22;373(17):1627)
PD-L1が発現している患者において、やはりドセタキセルよりも優れることが盲検化なしのランダム化比較試験で示されている。もちろん、同薬剤が悪化させる可能性のある自己免疫疾患や免疫抑制剤を使用中の患者は対象から除かれている。平均年齢62歳、582名、ステージ3Bから4の患者における試験で、主な結果の要点だけ抜粋すると次の通り。
ニボルマブ 対 ドセタキセルで
平均全生存期間12.2ヶ月対9.4ヶ月(p = 0.002)
1年間の全生存率51%対39%(p = 0.002、NNT 9)
18ヶ月生存率39%対23%(p <0.001、NNT 7)
無増悪生存期間の中央値は2.3ヶ月対4.2ヶ月(有意差なし)
1年無増悪生存率19%対8%(有意差なし)
客観的腫瘍抑制効果 19%対12%(p = 0.02、NNT 15)
腫瘍縮小までの期間の中央値 17.2ヶ月対5.6ヶ月
全有害事象 69%対88%
グレード3または4の有害事象10%対54%

PD-L1が発現している患者にはとても有効であることが分かる。

ニボルマブを使用すると寿命短縮する属性がある

さて、ここまでのところ価格はさておき効果の側面では優れているように思われる。しかし、いざこの薬剤を使用するとなる前にニボルマブの審査報告書申請資料概要は目を通した方が良いのではないかと思う。そこには、奏功しやすい属性とそうでない属性がこと細かに記載されている。 中でももっとも大きな要因が、PD-L1の発現状態である。同概要より抜粋した図を以下に示す。PD-L1低発現例では延命効果に有意差がなく、また使用初期の死亡がドセタキセルに比べて明らかに増えていることがわかる。従って、PD-L1が低発現状態の方に使うのは危険である。逆に高発現であれば、大きな効果が期待できる。 ニボルマブvsドセタキセル_PD-L1 PD-L1の発現状態を調べる抗体キットは既に商品化されているので、事前に検査するキットを使うことを条件化してもよいのではないだろうか。承認審査概要において延命効果がないもしくは寿命短縮の可能性がある属性として、75歳以上、非喫煙者、EGFR変異(+)、K-RAS変異(−) などといった項目があがっている。 限りある財源を無駄にしないためにも、効果が期待できず害が大きい属性の人への使用を制限することが大切である。 次回は、最初に適応を取得した悪性黒色腫に対する効果や他の免疫チェックポイント阻害剤であるイプリムマブ(商品名:ヤーボイ)などについて紹介していこうと思う。

【参考文献】
1、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST ガイドライン)―日本語訳 JCOG版―
2、Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Squamous-Cell Non-Small-Cell Lung Cancer.
  Brahmer J1, Reckamp KL, Baas P, et al
  N Engl J Med. 2015 Jul 9;373(2):123-35.
3、Nivolumab in Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer.
 Borghaei H, Brahmer J.
 N Engl J Med. 2016 Feb 4;374(5):493-4.
4、ニボルマブ 審査報告書申請資料概要
5、コスモ•バイオホームページ(PD-L1の発現状態を調べる抗体キット)

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