【悪性黒色腫(メラノーマ)】ニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の効果

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悪性黒色腫はリンパ管を経て転移する通常のがん細胞と異なり、血管を伝って全身に広がる可能性があり切除で転移を防げないケースも多く非常に厄介な疾患である。リンパ節を切除すればどうにかなるというものではないからだ。黒色の(melanos)腫瘍(oma)からメラノーマとも言うが、これ自体は悪性も良性のものも存在する。メラニン細胞から発生する悪性のものは放置すれば致命的になりうる。 メラノーマは体表面のどこにでも発生しうるが、手の平、足裏、つめ下、粘膜などの毛の生えていない部分に生じたものは局所の血行を介して転移しやすいのが特徴だ。突如、そうした部位にできた不自然で比較的大きい(数mm以上の)ほくろがあればすぐに皮膚科などを受診することである。命に関わることがある。 そんなメラノーマの治療は免疫チェックポイント阻害剤の登場によって大きく進歩した。以下では、免疫チェックポイント阻害剤を用いたイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)を含む併用療法とニボルマブ(商品名:オプジーボ)の単剤療法について紹介する。

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法

オプジーボの添付文書において、根治切除不能な悪性黒色腫が適応症となっているが、切除不能なステージIIIまたはIVの黒色腫の患者945名(平均年齢60歳、男性65%)を3群に無作為に割り付けて検討した試験がある(N Engl J Med 2015 Jul 2;373(1):23)。 同試験では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法とニボルマブの単剤療法はいずれもイピリムマブの単剤療法と比べて、無増悪生存期間と腫瘍抑制効果が優れており、PD-L1陽性腫瘍においては2剤併用療法の方がニボルマブ単剤よりも無増悪生存期間が延びることが示されている。

つまり、生存期間を見ると ニボルマブ+イピリムマブ > ニボルマブ > イピリムマブ であった。 試験における追跡期間の中央値は12.2-12.5カ月間で、ニボルマブ+イピリムマブ群で29.7%、ニボルマブ群で37.4%、イピリムマブ群で16.1%が治療を継続した。 主要結果を以下に抜粋する。

ニボルマブ_イピリムマブ_併用なお、PD-L1が陰性では併用が優位であり、陽性の場合はニボルマブ単剤で同等の効果が得られることから敢えて薬価の高いイピリムマブを上乗せする必然性はなさそうである。

※Grade3〜5の有害事象の定義は下表の通り

有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版

ニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法

ニボルマブの効果予測因子としてBRAF遺伝子変異の有無があり、BRAF遺伝子変異がある場合は延命効果が得られにくい可能性が示唆されている(Lancet Oncol. 2015 Apr;16(4):375-84. )。現在添付文書の適応症においては、BRAF遺伝子変異の有無は問われていない。因みに米国の添付文書ではBRAF遺伝子のステータスによって適応症が区別されている。 ニボルマブ単剤療法については、BRAF変異のない未治療の転移性メラノーマの患者418名(年齢中央値65歳)において、ニボルマブとダカルバジンの比較をした試験がある。この試験では、試験開始から終了まで一貫してニボルマブ群の生存率が良かった。主要結果は下表の通り。

ニボルマブ_ダカルバジン

従来の治療薬と比べてニボルマブ群優位である(もちろん、価格はニボルマブが圧倒的に高いが。なお、ダカルバジンは他剤との併用レジメンもある)。切除不能例の悪性黒色腫治療にも期待が持てる結果であると思う。

なお、ニボルマブで最も多くでた有害事象は、疲労、かゆみ、吐き気(16.5%-19.9%)であった。同試験では、PD-L1発現の程度で層別化解析され、PD-L1高発現例ではより効果が顕著であった(CheckMate 066 trial:N Engl J Med 2015 Jan 22;372(4):320) 。

 

人によっては、物凄く高額なのに従来の標準治療薬と比べてこれだけしか生存期間が延びないの?という印象を持たれるかもしれない。とはいえ、有効性が高い例も多い。従って、高い有効性が得られる患者をいかにして見極めて治療に活かすかが問われる。BRAF遺伝子変異の有無やPD-L1の発現状態が判断基準の1つとなるようである。

 

【参考文献】

•UpToDate “Immunotherapy of advanced melanoma with immune checkpoint inhibition
Lancet Oncol. 2015 Apr;16(4):375-84.
N Engl J Med 2015 Jul 2;373(1):23
N Engl J Med 2015 Jan 22;372(4):320

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