妊娠中のカフェイン摂取量と子の致命的転帰の関係

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カフェインはコーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、栄養ドリンクなどさまざまな飲料に含まれている。また、キサンチン系製剤の1つでもあり片頭痛の治療薬として用いられたりもする。因みに、喘息などに用いられる気管支拡張剤であるテオフィリンもキサンチン誘導体でカフェインと類似構造をしている。こうしたキサンチン系製剤は薬理学的には中枢神経興奮、利尿、強心、平滑筋弛緩作用がある。 従って、眠気、倦怠感をおさえる、血管が拡張して起こる頭痛や脳圧が上昇して起こる頭痛(片頭痛、高血圧からくる頭痛等)に効果が期待できる。一方で、過量に摂取すると震え、めまい、動悸、不眠、興奮などが生じうる

妊娠期におけるカフェイン〜致命的転帰を辿る可能性はあるのか〜

カフェインを1日300mg以上(一般的なコーヒー500ml相当)摂取していると、致命的損失がやや大きい傾向があるとする研究はある(Reprod Health. 2014 Sep 26;11 Suppl 3:S6. )。 労働環境、化学物質や嗜好品などが新生児や子供の健康に及ぼす影響を検討した39個の観察研究を統合したシステマティックレビューであるが、カフェイン摂取用量が1日300mgよりも多い場合は1日150mg未満の人よりも致命的損失が多い可能性があるとしている。 < 150 mg/dayに対するfatal lossのリスク比は > 300 mg/日で 1.31(95%信頼区間 1.08-1.58)、 > 420 mg/日で6.11(95%信頼区間 5.12-7.29)、 > 900 mg/日で1.72(95%信頼区間 1-2.96)であった。 バイアスはいくらでも入りうる研究であるため確定的な因果関係ではないが、高用量カフェイン摂取を思い止まらせるだけのインパクトはある。

妊娠中のカフェイン摂取で流産のリスクはあがるか

妊娠中のカフェイン摂取で、大幅にというわけではないものの有意に流産リスクがあがるとする研究がある(Can Fam Physician. 2000 Apr;46:801-3.)。3つのコホート研究と2つの症例対象研究を含む観察研究のシステマティックレビューであるが、42,889名の患者において妊娠中のカフェイン摂取リスクについて検討されている。結果、妊娠中にカフェイン摂取していた群はしていない群よりも流産リスクが高かった(オッズ比1.36, 95% CI 1.29-1.45)。

一方で、500〜900mg/日の摂取でも流産に影響なし、増加なしとする報告もある(Birth Defects Res B Dev Reprod Toxicol. 2011 Apr; 92(2): 152–187.)。妊婦に対する調査において介入研究は倫理的に問題があり、後ろ向き研究だと思い出しバイアスなどがかかる可能性もあり正確な評価は難しい。基本的に観察研究は未知の交絡因子を排除しきれるものではないが、他の研究結果も踏まえるとあまり摂取はしすぎないというのが妥当な判断だろう。

妊娠中のカフェイン摂取で妊娠損失(流産、死産、子宮外妊娠、奇胎妊娠等)が増えるか

妊娠中のカフェイン摂取について検討した14の研究(患者数総計133,885名)を含むシステマティックレビューがある(Public Health Nutr. 2016 May;19(7):1233-44.)。ここでも、高用量の摂取で妊娠損失(流産、死産、子宮外妊娠、奇胎妊娠等)が増える傾向が出ている。 全くあるいはほとんどカフェインの摂取がない群に比べて、高用量摂取群 (350-699 mg/日) では妊娠損失が40%増加し(リスク比1.4,95% CI 1.16-1.68)、超高用量 (≥ 700 mg/日) 72%増加している(リスク比1.72,95% CI 1.4-2.13)。カフェイン摂取量が100mg/日 増えるごとに妊娠損失リスクが7%増えるという計算になる。

結局1日何カップのコーヒーを摂取すると死産リスクがあがるのか

飲料中に含まれるカフェインの量について正確なことはいえないが、以下に文部科学省の資料に提示されている大まかな目安を示す。 妊娠_カフェイン この指標をふまえ、上記で紹介してきた研究に鑑みると1日3,4カップ、マブカッブなら2杯程度までが妊婦では摂取の許容範囲というところだろうか。WHOはコーヒーカップ3,4杯を悪影響のない最大摂取量の目安としている。ちなみに1つの参考程度だが、単生児を妊娠中の18,487名の妊婦を組入れた研究では、妊娠中に1日8カップ以上のコーヒーを摂取すると死産リスクがあがる(オッズ比2.2,95%信頼区間1-4.7)としている(BMJ. 2003 Feb 22;326(7386):420.)。摂取を完全に断つ必要はないが、適量以下にしておこうというところだろう。授乳に対する影響は別途検討する。

【参考文献】

Reprod Health. 2014 Sep 26;11 Suppl 3:S6.
Preconception care: caffeine, smoking, alcohol, drugs and other environmental chemical/radiation exposure.
Lassi ZS, Imam AM, Dean SV, Bhutta ZA.

Can Fam Physician. 2000 Apr;46:801-3.
Caffeine during pregnancy?
In moderation. Koren G.

Birth Defects Res B Dev Reprod Toxicol. 2011 Apr; 92(2): 152–187.
Evaluation of the Reproductive and Developmental Risks of Caffeine
Robert L Brent, Mildred S Christian, and Robert M Diener

Public Health Nutr. 2016 May;19(7):1233-44.
Maternal caffeine intake during pregnancy and risk of pregnancy loss: a categorical and dose-response meta-analysis of prospective studies.
Chen LW, Wu Y, Neelakantan N, Chong MF, Pan A, van Dam RM.
BMJ. 2003 Feb 22;326(7386):420.  
Maternal consumption of coffee during pregnancy and stillbirth and infant death in first year of life: prospective study.
Wisborg K, Kesmodel U, Bech BH, Hedegaard M, Henriksen TB.

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