妊娠中のカフェイン摂取と早産リスク/低体重時出生リスク/子供の夜間覚醒頻度/子供の認知機能への影響

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産まれてきた子供に何か不調があると、妊娠時に摂取した〇〇が影響しているのではないかと気になることもあるかと思う。今回は妊娠時に摂取したカフェインが、子供に影響を及ぼしうるのかについて検討する。

早産リスクはあがるのか

妊娠中のカフェイン摂取量と早産リスクに関連はなさそうである。カフェイン摂取量>300 mg/dayでも早産リスクはあがらないとする、15のコホート研究と7つの症例対象研究を含むシステマティックレビューがある。カフェインを全く摂取していない群と、>300-400mg/日以上の摂取群を比べたものだが、妊娠1期(3ヶ月)、2期(3-6ヶ月)、3期いずれにおいても早産リスク増加傾向は見いだされなかった(Am J Clin Nutr. 2010 Nov;92(5):1120-32. )。

低体重児は増えるか

カフェイン摂取により低体重児の出産が増えるのではという根拠としては弱い観察研究があるが、ランダム化比較試験によれば妊娠後期(後半)にカフェイン摂取量を制限しても、新生児の体重や妊娠期間に影響を与えるわけではないことが示されている。このランダム化比較試験では、少なくとも1日3カップのコーヒーを摂取している妊娠20週以内の妊婦(平均妊娠18週間)を、妊娠期間中に通常のカフェイン入りコーヒー摂取をする群とデカフェの群に分けて調査したが、死亡率、出生児体重、平均妊娠期間いずれにおいても有意な差はなかった
(BMJ. 2007 Feb 24;334(7590):409. )。

一方で、妊娠中のカフェイン摂取が低体重児のリスクを増加させるとする前向き観察研究を13つ含めたシステマティックレビューでは低体重児出生の相対リスクが上昇傾向にある。

カフェイン摂取なしもしくはほとんどしない群と比べて、低体重児出生の相対リスクは、
低用量摂取 (50-149 mg/日)で1.13(95%信頼区間1.06-1.21)、中用量摂取(150-349 mg/日)で1.38(95%信頼区間1.18-1.62)、高用量摂取 (≥ 350 mg/日)で1.6(95%信頼区間1.24-2.08)であった。各研究間の異質性が大きいため、素直に受け入れて良い結果とまではいえないが、参考にはなると思う(BMC Med. 2014 Sep 19;12:174.) 。いずれにしても低体重児出生のリスクが大幅にあがるわけではなさそうだが、高用量の連日摂取は望ましくないだろう。

 

乳幼児の夜間覚醒頻度を増やすか

乳幼児のケアで特に大変な部分が、夜間覚醒の多さにあると思う。それで、妊娠中のカフェインの高用量摂取(≥ 300 mg/day) が、3ヶ月の乳幼児の夜間覚醒を増やすか検討した前向きコホート研究がある。その研究では、特に妊娠中にカフェインを摂取しても特に乳幼児の夜間覚醒が増える傾向はなかった(Pediatrics. 2012 May;129(5):860-8. )。

乳幼児の突然死が増えるか

妊娠中にカフェインを摂取しすぎていると (> 400 mg/day)乳幼児突然死症候群を増やすかもしれないとする症例対照研究がある。乳幼児突然死症候群の児の母393名と1592名の対照群とを比較したものであるが、乳幼児突然死症候群の児の母親のうち28%がカフェインを1日400mg/日よりも多く摂取しており(4杯かそれ以上)、対照群では14%の母親にとどまった(Arch Dis Child. 1998 Sep;79(3):291.)。

子供の認知行動機能へ影響を及ぼすか

子供の認知行動機能への影響するのではと懸念される場合もあるようだが、母親のカフェイン摂取量は、5歳児の行動上の問題や向社会的行動のリスクの増加とは関連が見いだされていない。妊娠第16週頃にカフェイン摂取量が測定された母親の子(5歳児)2439名が、問題行動(多動/不注意、仲間関係の問題、向社会的行動など)がないか母親と教師によって評価された研究があるが、母親のカフェイン摂取と行動上の問題や、反社会的行動との関連は見いだされなかった(Pediatrics 2012 Aug;130(2):e305)。

【参考文献】
Am J Clin Nutr. 2010 Nov;92(5):1120-32.
Caffeine consumption during pregnancy and risk of preterm birth: a meta-analysis.
Maslova E, Bhattacharya S, Lin SW, Michels KB.
BMJ. 2007 Feb 24;334(7590):409.
Effect of reducing caffeine intake on birth weight and length of gestation: randomised controlled trial.
Bech BH, Obel C, Henriksen TB, Olsen J.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jun 9;(6):CD006965.
Effects of restricted caffeine intake by mother on fetal, neonatal and pregnancy outcomes.
Jahanfar S, Jaafar SH.
BMC Med. 2014 Sep 19;12:174.
Maternal caffeine intake during pregnancy is associated with risk of low birth weight: a systematic review and dose-response meta-analysis.
Chen LW, Wu Y, Neelakantan N, Chong MF, Pan A, van Dam RM.
Pediatrics. 2012 May;129(5):860-8.
Maternal caffeine consumption and infant nighttime waking: prospective cohort study.
Santos IS, Matijasevich A, Domingues MR.
Arch Dis Child. 1998 Sep;79(3):291.
Heavy caffeine consumption in pregnancy, smoking, and sudden infant death syndrome.
Leviton A.
Pediatrics 2012 Aug;130(2):e305
Caffeine Intake During Pregnancy and Risk of Problem Behavior in 5 to 6 Year-Old Children
Eva M. Loomans, Laura Hofland, Odin van der Stelt, et al

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