【花粉症】舌下免疫療法(シダトレン)の効果/安全性/開始時期/治療期間/既存薬との比較

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

花粉症に対する免疫療法は症状を抑えるのみの薬物療法と異なり、体をアレルゲンに慣らすことで根本的な症状緩和を目指すものである(減感作療法ともいう)。今まで免疫療法は皮下注射で行うことがメインで長期間にわたる定期的な通院を要することから、途中でやめてしまう例も多かった。かくいう私も昔ハウスダストアレルギーに対する減感作療法を行なっていたが、子供心ながら通うのが大変で親もよく付き合ってくれてたと思うが、結局途中でやめてしまった記憶がある。そんな中在宅で行える舌下免疫療法が登場した。とはいえ、これも継続に根気が必要で使用を検討するにしても理解しておくべき点が多いので以下にまとめていく。

スギ花粉症の場合はスギ花粉の(シダトレン舌下液)、ダニアレルギー性鼻炎ではダニのアレルゲンを含む治療薬(ミティキュア舌下錠)があるが、本稿では花粉の免疫療法について紹介する。

どれくらいの人に効くのか・安全性はどうか

インタビューフォームに書かれている臨床試験の結果を参照すると、継続している人はほぼ全例で有意な効果が実感できているようである。以下にインタビューフォームから抜粋した表の一部を示す。
表1 舌下免疫療法の有効性と安全性

大雑把な目安だが、7、8割以上は効きが実感できるようで、長く続ければ治癒したと感じられる人も半数近くにのぼるようである。ただ、全員が根治するというわけではないということと、年単位に渡って毎日根気よく続ける必要があることを理解して開始することが望ましい。

この療法に詳しい湯田厚司医師が運営するクリニックのホームページが詳しいので、そちらを参照された方が良いかもしれない。

強い副作用のリスクはあるのか

基本的に化学合成薬ではなく、自然界にあるスギ花粉から成分抽出されているものであり軽度なアレルギー反応そのものは考えられうる。とはいえ、表1でも示したが、基本的に強い副作用リスクは極めて低い。口の中が痒くなる、腫れるなど軽いアレルギー反応は起こりうるが、重度の皮膚症状や呼吸器症状などを伴うアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応やショックが起きるリスクは極めて低く安全性は高いと考えられる。

いつから始められるのか

スギ花粉症の時期に辛くなったから今開始しましょうということはできない。添付文書では花粉が飛散していない時期とされている。アレルゲンに対して体が過敏になっている時期に開始するのは望ましくないためだ。春のスギやヒノキに対する花粉症の方であれば、体内免疫が落ち着く6、7月以降の開始が妥当だろう。かつ、花粉飛散時期から3ヶ月以上前(およそ11月)までに始めることが効果や安全性の面で良いとされる。

どのくらいの期間続けなければならないのか

少しずつアレルゲンを服用して、体をアレルゲンに慣らすところから数年にわたり継続する。製造メーカーの鳥居薬品は3年以上を推奨しており、定期的な受診が求められる。最短だと花粉飛散時期を2シーズン過ごせる期間なので最低でも1年3ヶ月以上。可能なら4、5シーズン続ける。表1に示したように、継続年数を追うごとに症状改善スコアが良くなる傾向にあるためだ。このように継続が大変なので服薬遵守率は一般的に低い。

処方医の登録

更には、処方医が講習を受け、登録する手順が必要であったり、調剤薬局でも処方医が受講修了医師であることを確認する必要があり、初回に交付される患者携帯カードを確認する必要がある。シダトレンの導入を見送っている医療機関も多いそうである。

皮下注射による免疫療法と比較してどうか

表2に舌下投与と皮下注の比較を示す。

表2 舌下免疫療法vs皮下注射

主に週1で行う皮下注射の免疫療法と比べて、同程度の効果を得るには舌下投与の場合圧倒的に多い回数服用する必要があるが(毎日かつ年余に渡るので)、アナフィラキシーや全身性のアレルギー反応リスクは皮下注よりも低い。効果に関しては皮下注射の方がやや優れるのではとするシステマティックレビューはあるものの直接比較ではなくどちらが良いとも言い難い(J Allergy Clin Immunol Pract. 2013 Jul-Aug;1(4):361-9.)。

効果はどのくらい持続するのか

別の舌下免疫療法であるが、3~5年継続した場合7、8年という長期にわたって効果が持続するのではないかというデータが海外で出ている。なお、効果が減弱した場合は改めて1、2シーズン舌下免疫療法を行うことで効果が元に戻るケースが多い( J Allergy Clin Immunol. 2010 Nov;126(5):969-75. )。

効果があるかどうか事前に知る方法はあるか

長期間続けても効果が出ない人が少数ながらいるのが難点である。この方法は、今のところ知られていない。効果予測のマーカーとなる分子の探索研究は行われているようだ。

既存薬と比べてどうか

こんなに継続が大変なら、その時期だけ既存の薬物治療をすれば良いのではないかという向きもあるかと思う。薬物療法と免疫療法を比較した結果、免疫療法の方が治療効果が高かったとする結果がある。ただし直接的比較ではない。また、薬物療法で効果が不十分な患者に使用した場合でも上乗せ効果がある(BMC Medicine2014 12:71)。

治療費は?

3割負担で考えると月当たり3、4000円くらい。さらには途中で検査などの周辺費用がかかる。 

他の剤型はないのか

飲み込む錠剤タイプ臨床試験中であり、近い将来使えるようになるかもしれない。

子供には使えないか

適応症は12歳以上。今後小児への適応症が増える可能性がある。

使用に際する注意事項は

説明は服薬指導チェックシートを活用して行うこととされている。チェックシートの記載内容は下記の通りだが、服用前後2時間は激しい運動をしないことが大切で、免疫療法中だと喘息発作誘発のリスクが必ずしも否定できない。

表3 シダトレン服薬指導チェックシート

特に長期な治療が必要であることは知っておく必要がある。最低2シーズンは結果を見ないと効果の判定ができないのもポイントである。

【上記以外で参照した文献】
舌の下で行う鳥居薬品の免疫療法専門サイト 
Allergol Int. 2009 Jun;58(2):149-54.  Sublingual immunotherapy for Japanese cedar pollinosis.
日本医科大学病院の大久保医師が舌下免疫療法の研究で有名で以下のようにいくつか研究を発表されている。
https://oatext.com/pdf/OHNS-1-114.pdf
http://college.nms.ac.jp/page/1135.html

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