【血圧降下剤】食事で吸収が落ちるARBはなにか。その比較から見える問題。

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製薬企業の情報提供は添付文書が主たるものだが、薬剤の物性や安定性、有効性や安全性の根拠となる情報、薬物動態や動物実験の結果など添付文書ではカバーしきれない情報はインタビューフォームに掲載されている。インタビューフォームは日本病院薬剤師会からの依頼に基づき作成されていて、医薬品医療機器総合機構や各製薬会社のホームページに公表されている。

今回は、よく使われるARBと呼ばれるグループに属する血圧降下剤のパラメータをインタビューフォームから抜粋して、表にしてみた(実際の数値には信頼区間の幅があるが、簡略化しているので正確にはインタビューフォームをご参照下さい)。薬剤師は他剤と比較してどうか聞かれるので、こんな感じの情報をまとめた本を買ったりもする。患者さんも服用薬の代替案が知りたいのだ。

なぜ表にしたりするかというと、各ARBの臨床論文を色々読んでみても薬剤間での主なアウトカムに対する効果の差は微妙で、大同小異のような印象を受けるから。そうなってくると、使い分けを考えるポイントは、上記のような薬物動態パラメータや代謝排泄の違いのように思う。

で、僕は表を作ってみて重要なことに初めて気がついたが、ディオバンとミカルディスは食後で吸収がかなり落ちる。普段、医師の処方を見ているとARBは同2剤も含めて、ほぼ食後で処方されている。4、5割吸収が落ちるにも関わらず

医師は意外に気づいていなそうだし、恐らくMRもその情報提供をする人が少数派なの(あるいは知らないの)ではないだろうか。しかし、この2剤を仮に食前で飲み続ければ理屈上は飲む用量が半分程度で済む。用量が減らせて同じ効果が得られるほうが負担も減って良さそうではないか(メーカーの売り上げは減るが)。元々そのまま食後で飲み続けて血圧が安定していればそれでも良いが、他の薬と合わせる意味で食後に合わせるなどは理解できるのだが、こうした単純な事実があまり知られていないのはちょっとした情報提供の問題かと思う。

余談。ところで上記の表。異なるメーカーの異なる医薬品のインタビューフォームの数値を引っ張ってきてそのまま表に入れて比較して良いのか?と疑問にならないだろうか。

結論から言うと、こうした薬物動態パラメータは同じ土俵で比較して良いと思う。通常、薬物動態パラメータは正常人男性で服用してもらって得られた情報であり、海外で使用経験のある薬であっても必ず日本人で薬物動態の試験は行われる(第1相試験)。厳密には対象患者が違うが、いずれも数十人規模の正常日本人男性で試験したデータという意味では同じなので、大まかには比較して良いだろうと考える。

一方で、対象集団が異なるそれぞれの臨床試験を同じように比較するのは妥当性が低い。学生さん、下手すると製薬会社のMRや現場の薬剤師のプレゼンテーションでも、対象集団もサンプル数が異なる臨床試験の結果のパーセンテージだけ表に入れて比較しました、と見せる人がたまにいる。が、これは意味のない比較でお話にならない。

ーーーーー当サイトでARBに関する他の記事はこちらーーーーーーーーーーーーー
循環器疾患に対するACE阻害薬とARBの効果比較
http://drug.tokyo.jp/archives/1772

ACE阻害薬とARBの併用及び副作用について
http://drug.tokyo.jp/archives/1774

ACE阻害薬及びARBの適応外使用(認知症、糖尿病、肺炎予防)
http://drug.tokyo.jp/archives/1784

【高血圧】CKD(慢性腎臓病)における降圧剤の選択/ACE阻害薬とARBの比較
http://drug.tokyo.jp/archives/1778
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