【C型肝炎】ヴィキラックス配合錠の効果と安全性

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ヴィキラックス配合錠は、NS5A阻害薬であるオムビタスビル、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬であるパリタプレビル、そしてCYP3A4の阻害剤であるリトナビルを含むジェノタイプ1及びジェノタイプ2のC型肝炎に対する薬である。※ジェノタイプをセロタイプということもある。

ヴィキラックス配合錠の成分とブースターについて

オムビタスビルとパリタプレビルはC型肝炎ウイルスを抑える成分にあたる。一方、リトナビルはヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼの阻害剤で、通常はHIV感染即ちエイズの治療に用いられる薬剤であり、C型肝炎ウイルスに対する効果はない。では何故配合するかというと、リトナビルは肝代謝酵素CYP3A4を阻害するため、同酵素で代謝されやすいパリタプレビルの血中濃度を上昇させるためである。こうした役割を持つ成分をブースターあるいはエンハンサーと呼ぶ。

余談だが、日本では単独承認はされていないが米国にてブースター単剤で承認されている薬剤がある。Tybost(成分名;Cobisistat)といって、もちろんこれによって効果が強まる他の薬剤と使うことが原則である。ブースターのみで売り出すというのは珍しいので紹介した。日本では単剤での承認はされていないが、コビシスタットを配合した抗HIV剤は販売されている。

ヴィキラックス配合錠は相互作用の問題が極端に多い

CYP3A4阻害剤配合というだけでも相互作用が多いことが容易に想像できるが、他の成分も相互作用が多く、併用禁忌や併用注意の多さが群を抜いている。あまりにも併用の注意が多く覚えきれないため、僕は実際にこの薬剤を渡す時は常に服用薬との飲み合わせを相互作用表と照らし合わせながら説明することにしている。そして、その表は患者さんに渡している。一通りの資料は以下のメーカーページで入手可能だ。
ヴィキラックス.jp;http://viekirax.jp

ヴィキラックス配合錠の効果

さて、効果の側面ではどうだろうか。1つ臨床試験を紹介しよう。日本人でジェノタイプ1bのC型慢性肝炎患者およびC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3相試験(GIFT-1試験)がある。

因みに代償性とは、障害を受けていない肝細胞が障害を受けた部分の肝細胞を代償するため重い症状が出にくいタイプのことをいう。肝臓は一部の肝細胞が障害を受けても残った肝細胞でその機能を補う(代償する)のだ。逆に非代償性だと症状が重篤化しやすい。

試験デザインは以下の図を参照すると分かりやすいが、プラセボ対照郡間比較試験。

肝硬変がないSubstudy1(GroupA215名およびGroupB106名)プラセボ対照二重遮蔽による比較
肝硬変があるSubstudy2(GroupC42名)で非遮蔽群=オープンラベルで経過を見ている。
HCVジェノタイプ1bに感染している、HCV-RNA量≧10,000IU/mL,18〜75歳の男女が試験組み入れ対象となっている。

上の図に書いてあることを一応そのまま説明すると
GroupA;二重遮蔽下でヴィキラックス配合錠を1日1回、12週間服用
GroupB;二重遮蔽下でプラセボを12週間服用した後に、非遮蔽下でヴィキラックス配合錠を1日1回12週間服用
GroupC;非遮蔽下でヴィキラックス配合錠を1日1回12週間服用
となっている。

主解析項目(プライマリアウトカム)はGroupAのうちIFNによる治療に適格であり、ベースラインで高いウイルス量(≧100,000IU/mL)を示した肝硬変のない未治療群におけるSVR12達成率である。


※SVR12とは
Sustained virological response(持続ウイルス反応)の略。治療終了から12週後にC型肝炎ウイルスの陰性(検出限界未満)が確認された場合にはSVR12、24週間持続陰性ならSVR24と表記する。

結果、未治療のC型慢性肝炎患者におけるSVR12率は、94.6%(106/112例)であった(95%信頼区間;90.5〜98.8)。

各群におけるSVR率はGroupA;94.9%(204/215名)、GroupB;98.1%(104/106名)、GroupC;90.5%(38/42名)といずれも90%越え。

有害事象と安全性

有害事象発現はGroupA;68.8%、GroupB;56.6%、GroupC;73.8%と比較的多かった。Nasopharyngitis(鼻咽頭炎)、Headache(頭痛)、Peripheral edema (抹消性浮腫、むくみ)、Nausea(吐き気)、Pyrexia (発熱)などが見られた(下表)。

薬価

ソバルディやハーボニーよりは安いものの、それでも12週間服用すれば450万円ほどはする。薬価は1錠23057.50円。通常1日1回2錠服用の薬剤だから、1日で46,115円。いずれにしても肝炎公費か高額療養費の上限に達するのでどの薬剤にしても患者負担は変わらない。

ざっくりだが、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎に対するSVR12達成率&薬価はハーボニー>ヴィキラックス>ダクルインザ/スンベプラ といったところだろうか。

【参考文献】
1,Randomized phase 3 trial of ombitasvir/paritaprevir/ritonavir for hepatitis C virus genotype 1b-infected Japanese patients with or without cirrhosis.
Kumada H, Chayama K, Rodrigues L Jr, et al
Hepatology. 2015 Oct;62(4):1037-46.
2,Cobicistat: a review of its use as a pharmacokinetic enhancer of atazanavir and darunavir in patients with HIV-1 infection.
Deeks ED.
Drugs. 2014 Feb;74(2):195-206.
3,ヴィキラックス.jp(製造販売元であるアッヴイ合同会社による情報提供ページ)
http://viekirax.jp

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