既存薬と比較したボノプラザン(タケキャブ)の胃酸分泌抑制効果

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タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)は2015年に発売された新作用機序のPPIに属する胃酸分泌抑制薬である。既存のPPIとの違いをまとめていく。

既存のPPIと比べた作用上の特長

インタビューフォームから抜粋した図を以下に示すが、

既存のPPIと比べての特長としては、
•既存のPPIよりも塩基性が高く、酸に安定ー作用発現に胃酸を必要としない
•胃壁細胞に高濃度で長時間残存して酵素活性を阻害する
•水溶性に優れる
•血中半減期が長く作用発現が早い
•代謝酵素の遺伝子多型に影響されない

といったポイントがあげられている。

胃酸分泌抑制効果の比較〜ネキシウムとパリエットと比べて〜

臨床試験であるが、PubMedで検索をかけても7本の論文しかヒットしない(検索日2017/5/4)。現時点では得られる情報が少ない薬剤という印象を受ける。その中から1つ文献紹介しよう。

「この薬、今までの薬と比べてどのくらい強いの?」という良くある疑問への回答となりうる試験である。それが、以下に紹介するCYP2C19に変異を持たない通常活性の成人男性ボランティアに対しての胃酸分泌抑制作用を評価したオープンラベルのランダム化比較試験だ(Aliment Pharmacol Ther. 2015 Sep;42(6):719-30.)。

試験デザインは下図の通りで、

ボノプラザン(商品名;タケキャブ)20mgを、エソメプラゾール(商品名;ネキシウム)20mgおよびラベプラゾール (商品名;パリエット)10mgと比較して(それぞれ1日1回7日間服用)、pH holding time ratios(HTRs;胃内のpHが一定以上の値を占める時間の割合。酸分泌抑制作用の指標)や胃内平均pHが改善するかを検討した試験である。

胃酸分泌抑制作用は1日目と7日目双方においてボノプラザンが有意に優れている(下図)

pH4HTRの差は
ボノプラザンvsエソメプラゾールで24.6%[95%信頼区間:16.2–33.1]
ボノプラザンvsラベプラゾール で28.8%[95%信頼区間:17.2–40.4]

胃酸分泌抑制作用は
ボノプラザン>ラベプラゾール>エソメプラゾール(>オメプラゾール)
ということになる。

グラフをみると、1日目での効果発現状況は明らかにボノプラザン優位であり効果発現の早さが伺える。そして、通常1〜3位の強酸性にある胃酸pHを一時的にでも塩基性の領域に足を踏み入れる7越えまでもっていくとは若干驚きである。

1〜7日目の24時間pH4HTRは
ボノプラザン群>0.8
エソメプラゾール群0.370
ラベプラゾール群0.393

認容性はいずれの薬剤も良好で、ボノプラザン群では発疹により1名中止となった患者がいた。潰瘍や出血の予防といった臨床的なエンドポイントを設定した解析ではないため、実際のメリットは判断しづらいが、胃酸分泌抑制作用が強さは臨床的効果に直結はしやすい項目なので参考にはなるかと思う。

胃内pHが上昇しすぎるのも一長一短で、胃内のpHの変化によって吸収上影響を受ける薬剤は多いので、ここで具体的な薬剤名をあげることはしないものの、十分注意を払いたいものである。また、肝代謝酵素CYP3A4で主に代謝されることから薬物間相互作用も多い。

臨床的アウトカムを設定した試験ではどうか

これは、大まかにはインタビューフォームに記載がある。胃潰瘍患者、逆流性食道炎患者の再発予防、非ステロイド性抗炎症薬の長期服用した患者のの潰瘍再発予防、低用量アスピリン長期服用患者の潰瘍再発予防、ヘリコバクター・ピロリの除菌率(3剤併用療法)いずれにおいても、既存のランソプラゾールに対して非劣性が証明されている。非劣性とは劣っていないということ。唯一、十二指腸潰瘍患者に関してはランソプラゾール群と比較しての非劣性は証明されていないが治癒率に大きな差はなかった。

既存薬に対して優越性が証明されたから承認、ではなく少なくとも劣らないことが示されれば承認というのは良くあるパターンなので、新薬だから優れているという思想だと往々にして誤った説明をしがちである。

お値段

薬価は10mg1錠160.1円、20mg1錠240.20。継続していくと自己負担額が大きいため、既存薬のジェネリック医薬品に戻す方も良く見かける。

【参考文献】
1、Acid-inhibitory effects of vonoprazan 20 mg compared with esomeprazole 20 mg or rabeprazole 10 mg in healthy adult male subjects–a randomised open-label cross-over study.
Sakurai Y, Mori Y, Okamoto H, et al
Aliment Pharmacol Ther. 2015 Sep;42(6):719-30.
2、Impaired drug absorption due to high stomach pH: a review of strategies for mitigation of such effect to enable pharmaceutical product development.
Mol Pharm. 2013 Nov 4;10(11):3970-9.
Mitra A, Kesisoglou F.
3、タケキャブ錠インタビューフォーム

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