【関節リウマチ】生物学的製剤は古典的DMARDsと比べ重症感染症リスクを高めるのか

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

関節リウマチの治療の大まかなパターンは標準化されつつあり、早期診断したらDisease Modifying Anti-Rheumatic Drugs(DMARDs)を開始して、中でも特に使用できない理由がなければメトトレキサートを服用することとなっている。

なお、リウマチに対して使われる薬剤として主に下表に示すものがあげられる。

古典的DMARDs メトトレキサート(リウマトレックス)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)、ブシラミン(リマチル)、タクロリムス(プログラフ)
生物学的製剤 インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、セルトリズマブ(シムジア)、アバタセプト(オレンシア)、トシリズマブ(アクテムラ)
新規DMARDs イグラチモド(ケアラム、コルベット)ーアザルフィジンに非劣性、トファシチニブ(ゼルヤンツ)

※括弧内は代表的な商品名

リウマチに対する薬剤はほぼ免疫抑制作用があるので(自己免疫疾患に対する薬なので)、その感染症リスクが常に気になる。服用中は肺炎、発熱、口内炎など感染兆候に注意を払う必要がある。重篤な感染症は特に要注意だ。

さて、表題の件について。2015年にLancetに掲載されたメタ解析で、慢性関節リウマチ患者におけるメトトレキサート使用時と、生物学的製剤使用時の重篤感染症発現リスクについて検討されている。

結果、生物学的製剤はDMARDsに比べておよそ30%重篤感染症リスクが高かった。特にメトトレキサート使用歴がある患者及び標準〜高用量製剤の生物学的製剤使用患者において増加傾向にあった。これ以前のメタ解析には一貫性がなかったが、本研究ではサンプルサイズが大きく検出力が高いため、それらの非一貫性を一部改善している。

このメタ解析には106件のランダム化比較試験、総計42,330名が組み入れられている。重篤感染症は各研究で定義されていたものとなっているが、主に死亡例、入院例、静脈注射の抗菌薬使用例をさしている。結果は下図の通り。

年間の重篤感染症リスクは
古典的DMARDs服用群で1000名あたり20名=2%
標準量の生物学的製剤使用群1000名あたり26名(相対リスク1.31 95%信頼区間1.09-1.58)
高用量の生物学的薬剤使用群1000名あたり37名(相対リスク1.90 95%信頼区間1.50-2.39)
生物学的製剤併用群で年間1000名あたり75名
なお、低用量の生物学的製剤ではリスク増加傾向は見られなかった。

メトトレキセート使用歴がない患者では、感染リスクの有意な増加はなかった。早期診断されて、治療開始を検討している方には参考になる情報かと思う。しかしながら、メトトレキサート使用歴がある患者で生物学的製剤併用だと相対リスクが69.52倍、信頼区間の幅もかなり広くなっている。因みにこの試験のことではないが、糖尿病やステロイド内服中であったりすると感染症リスクは更にあがることが知られている。

治療開始時のリスクが最大で、その後リスクが低下することを示した研究も含まれている。治療方針のその患者のリスクの度合いに応じて選択し、そのリスクとベネフィットを説明する上で知っておきたい情報だ。

異なる試験から間接比較するネットワークメタアナリシスの手法を用いており、データサンプルのばらつきはどうしてもある。調査期間が15年に渡り、個々の研究における追跡機間や罹病期間が異なるのだからある程度はやむを得ないだろう。

また、個々の試験は副作用ではなく治療効果を主眼として検討した論文を集めて解析していることもあり、出版バイアスの影響はどうしても避けられない。因みに組み入れられた研究はほぼITT解析もしくはmodified ITT解析である。場合によっては副作用を過小評価する可能性は避けられない。上記のリスク評価は目安として捉えておくとよいかと思う。

【参考文献】
Risk of serious infection in biological treatment of patients with rheumatoid arthritis: a systematic review and meta-analysis.
Lancet. 2015 Jul 18;386(9990):258-65.
Singh JA, Cameron C, Noorbaloochi S,et al

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »