【抗生物質】Q、3日間服用で7日効くジスロマック錠を6日間処方されました。大丈夫でしょうか?

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

先日頂いたご質問。「咳が出ているので、ジスロマック(成分名:アジスロマイシン)を3日間処方されました。しかし、軽い咳が残っていて再度3日後に受診したところ、再びジスロマックを3日分処方されました。3日で7日分効くと説明書に書いてある薬剤なのに、6日間飲むことがあるのですか?

背景としては、薬局でその処方に対して疑義照会はなされたが医師がその飲み方で良いと指示を出し、薬局もそれに沿って調剤をしたということである。医師によっては理由を添えて回答してくれる方もいるが、単にそれでいいからと言う方もいる。イレギュラーな処方を出すのであれば、患者やコメディカルに対して説明は怠らないで頂きたいのだが。薬を飲む裏付けが分からないと飲む方は不安になる。

アジスロマイシンが組織に留まり効果を発揮する時間を考えれば、その時点で上乗せして意味があるのだろうかという疑問はもっともだ(関連記事:【抗生物質】(アジスロマイシン)ジスロマック錠&ジスロマックSRについて良く聞かれる質問)。僕自身もこの服用方法が理にかなっているようには思えず、比較的重篤な肺炎や慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎の予防でなら出るかな?くらいの認識だった。受けた質問の情報だけでは判断しかねる部分もあるが、一応これに対してお調べしたところを書いておこう。結論からすると保険上は良いのか自信が持てないし、良い飲み方ともいえないが、一応ありなのだろう。通常望ましい処方とは思わないが。

ジスロマック錠のインタビューフォームでは

まず、メーカーが出しているインタビューフォームの記載を確認すると以下の通り。

本剤の投与期間は3日間とする。また、4日目以降においても臨床症状が不変もしくは悪化の場合には医師の判断で適切な他の薬剤に変更する。
アジスロマイシンは3日間投与(500mg1日1回3日間)と5日間投与(初日500mg1日1回、2~5日目250mg1日1回)の投与方法がある。米国では5日間投与が適応で、英国等ヨーロッパ では3日間投与が適応となっている。

質問にあった1日500mgを6日間連続は通常の飲み方ではないようだ。疑義照会対象である。なお、インタビューフォームによれば、「外国臨床試験で総投与期間が10日間(最長16日間)を超えた症例が確認されており、これらの症例において安全性上の問題は認められていない」としている。もちろん同一抗菌薬の長期間投与は、耐性菌出現、菌交代症をきたすため避けることが好ましいので、長期にわたる場合の経過観察は必須だろう。ジスロマックを含むマクロライド系抗生物質に耐性菌の問題が多いことは以前紹介した(【抗生物質】マクロライド系抗生物質の概論ー構造、食事の影響、耐性菌の問題などー)。

さて、質問を受けた6日間500mg/日を連続して服用を試した試験はあるのか。検索してヒットした2本の文献を紹介する。

急性副鼻腔炎に対する、3日間および6日間のアジスロマイシン服用と10日間のアモキシシリン•クラブラン酸(オーグメンチン)服用の比較

二重盲検ランダム化比較試験だ。そもそもご質問のあった方は、副鼻腔炎ではなかったが一応研究の概要を紹介する。6日間という設定がもうけられている理由は、日数をある程度フレキシブルにして最適な服用スケジュールを見いだそうという意図があったようだ。ファイザー製薬(ジスロマックのメーカー)出資の元行われた試験で、アジスロマイシン500mg/日を1日1回、3日間(AZM~3)または6日間服用(AZM-6)と、アモキシシリン•クラブラン酸塩500•125mg、1日3回10日間服用(AMC)を比較している。急性細菌性副鼻腔炎の症状改善が主解析項目。急性副鼻腔炎症状を呈している合計936人の患者をランダムに上記3群に振り分け(AZM3:312名、AZM6:311名; AMC:313名)比較している。

治療終了時の治療成功率はAZM-3:88.8%; AZM-6:89.3%; AMC:84.9%で
試験終了時における治療成功率はAZM-3; 71.7%:AZM-6:73.4%、AMC:71.3%

AMCで治療した被験者は、AZM-3(31.1%、P <0.001)またはAZM-6(37.6%、P <0.001)より治療関連有害事象の発生率が高かった(51.1%)。最も多かったのが下痢、次いで吐き気、腹部膨満感であった。副作用による中止はAZM3で7名、AZM6で11名、AMCで28名。

効果と害のバランスを見るとあえて6日間飲むメリットはさほどなさそうである。少なくとも、一応6日間飲む方法も試験されていることは分かったが。

気管支拡張症に対するアジスロマイシンの予防的投与

もう一方の論文が、気管支拡張症に対する予防投与。痰、咳、肺炎などが症状として出やすい疾患なので、こちらの方が患者像は近そうである。マクロライド系薬剤の長期投与に関しては以前触れた(関連記事:【抗生物質】マクロライド系抗生物質の長期投与について)。予防的治療は、副作用と抗生物質耐性の発達のために問題となる可能性がある。

1999年2月から2002年4月の間に外来診療に参加した患者で、以下の基準を満たした患者にアジスロマイシンの予防的投与が検討されている。

•気管支拡張症とCTスキャンで診断される
•他の原因となりうる要因に対する対処がなされている
•過去12ヶ月以内に経口または静脈内の抗生物質治療を必要とする感染性悪化あり
•慢性症状のコントロール不良 等

もちろん、マクロライドに対するアレルギーがある患者や肝機能異常がある場合は除外されている。投与スケジュールは、500mgを1日1回6日間、250mgを1日1回6日間、次いで250mgを毎週月曜日/水曜日/金曜日服用(これはこれでまたちょっと違うスケジュールだ)。治療開始1ヵ月後に安全な血液検査を実施。肺機能の確認も行い、開始後少なくとも4カ月後には全チェックを行った。また、予防服用開始前後の喀痰培養検査も行っている。39名の患者が組み入れられ、特発性気管支拡張症15名、感染症13名、原発性毛様体ジスキネジア5名、免疫不全症5名、ヤング症候群(慢性気管支炎、副鼻腔炎、無精子症を症状として呈する疾患)1名である。

その平均年齢は51.9歳(範囲18-77)で、すべての患者が過去12ヶ月以内に4回以上の増悪エピソードがあった。副作用による中止例は、肝機能低下2名、下痢2名、発疹1名、耳鳴り1名。すべてが治療の最初の月に発生している。他に報告された副作用は軽度で、主に胃腸症状である。結果、感染症や肺機能パラメーターの改善傾向は見られている。この文献だけでは、強い根拠を持って語ることはできないが。

 

【参考文献】
1、ジスロマック錠 インタビューフォーム
2、Randomized double-blind study comparing 3- and 6-day regimens of azithromycin with a 10-day amoxicillin-clavulanate regimen for treatment of acute bacterial sinusitis.
Antimicrob Agents Chemother. 2003 Sep;47(9):2770-4.
Henry DC, Riffer E, Sokol WN, Chaudry NI, Swanson RN.
3、Prophylactic antibiotic treatment of bronchiectasis with azithromycin
Thorax. 2004 Jun; 59(6): 540–541.
G Davies and R Wilson

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

24時間順位

まだデータがありません。

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »