【抗うつ薬】SSRIによる吐き気・悪心・嘔吐の対策まとめ

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SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、最も良く使われる抗うつ剤であるが、服用初期に悪心や嘔吐が起こりやすいことがよく知られている。

吐き気、悪心、嘔吐が起きる頻度

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、エスシタロプラム(レクサプロ)、セルトラリン(ジェイゾロフト)といったこのグループに属する薬剤の添付文書を参照すると、承認時試験でいずれも10〜20%前後という高い確率で悪心•嘔吐が発生している。次いで多いのが、眠気、口の渇き、便秘、倦怠感といった副作用である。

SSRIを飲む前に知っておくべきこと

他に、下痢、不安、イライラ、不眠、性機能障害、排尿困難、頻脈などを訴える場合もあるが、一般的にはこうした症状や吐き気は1週間ないし10日間程度で消えるとされている。悪心•嘔吐は繰り返し服用することにより耐性がつき(慣れる)、やがて問題なくなる。これは麻薬性の鎮痛薬などでも同様だ。このことを予め知っておかないと、SSRIは効果発現までに時間的ギャップがあるため、効果がみられる前に吐き気が出て中断してしまうことになりかねない。

吐き気への対策

吐き気対策をいくつか列挙する。

1、漸増服用する(少量から開始して徐々に増やす)
SSRIによる悪心•嘔吐は通常一過性で用量が増えるほど起こりやすいため

2、空腹時を避けて服用する
食事と一緒に服用、食直後に服用、内服前にミルクを飲む等

3、就寝直前に服用
副作用発現前に寝てしまえば、回避できる

4、一回の食事量を減らし、食事の回数を増やす

5、水分を多めにとる 冷たい水や炭酸を抜いたジンジャーエールを飲む
因みにジンジャーつまり生姜はその吐き気を抑える作用の報告がいくつかある(Current Psychiatry. 2003 February;2(2):78-78)

6、徐放性製剤へ変更する
パロキセチン(商品名:パキシル)の製剤別による吐き気の頻度と発現時期について検討した試験では、徐放性製剤の方が吐き気の頻度が少ない傾向にある(下図)。

J Clin Psychiatry. 2002 Jul;63(7):577-84.
CR=Controlled Release(徐放性製剤), IR=Immediate Release(普通錠)
従って、パキシルを服用中で吐き気が問題となる方であればパキシルCR錠を提案するのも1つの手だ。また、普通錠であっても週を重ねるごとに吐き気の頻度が低下していることが分かる。

7、薬を併用する
最も良くあるのがモサプリド(ガスモチン)の併用だろうか。過剰服用になるのは望ましくないが、選択肢を列挙しておく。
•制酸剤やビスマス製剤
•モサプリド(ガスモチン)、ドンペリドン(ナウゼリン)、スルピリド(ドグマチール)など吐き気を緩和する薬、あるいはレバミピドなど胃粘膜保護薬の併用。セロトニン5−HT4作動薬であるモサプリドを併用している例はかなり多くみかける。動物実験でもその有効性が確かめられている(J Pharmacol Sci. 2013;121(1):58-66. Epub 2012 Dec 21)
•ミルタザピン(レメロン、リフレックス)の併用
セロトニン5−HT3拮抗作用を持つことから、手術後の吐き気、SSRI使用時の吐き気に有効であるとする説がある(Prim Care Companion CNS Disord.2013;15(5):PCC.13r01525.)

因みに副作用の悪心や嘔吐はセロトニン受容体刺激作用によるものなので、セロトニン拮抗系の抗がん剤使用時に用いられる制吐剤が良いと思われがちだが、これは保険適応外かつ相互作用の懸念があるため使われない。

繰り返し服用することで耐性ができるといっても、その症状があまりにも辛く継続困難であれば漸減して中止となる場合もある。辛い場合は無理に続けない。それは重篤な副作用を避ける上でも大切なことだ。

【参考文献】
1、Antidepressants: Get tips to cope with side effects By Mayo Clinic Staff
2、Current Psychiatry. 2003 February;2(2):78-78
3、Efficacy and tolerability of controlled-release and immediate-release paroxetine in the treatment of depression.
J Clin Psychiatry. 2002 Jul;63(7):577-84.
Golden RN, Nemeroff CB, McSorley P, Pitts CD, Dubé EM.
4、Anti-emetic effect of mosapride citrate hydrate, a 5-HT4 receptor agonist, on selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs)-induced emesis in experimental animals.
J Pharmacol Sci. 2013;121(1):58-66. Epub 2012 Dec 21
Mine Y, Oku S, Yoshida N.
5、A Review of Therapeutic Uses of Mirtazapine in Psychiatric and Medical Conditions
Prim Care Companion CNS Disord.2013;15(5):PCC.13r01525.
Abdulkader Alam, MD, Zoya Voronovich, BA, BS, and Joseph A. Carley, MD

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