【化学療法中に効果的な栄養素】n-3系脂肪酸(ω-3系脂肪酸)、グルタミン、グレリンと漢方薬

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抗がん剤を使用していると、食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎など様々な副作用がでることがある。有効とされている漢方や栄養成分は種々あるが、本稿ではそうした副作用に対して有効と考えられている3つの栄養成分を紹介する。

n-3系脂肪酸(ω-3系脂肪酸)

n-3系脂肪酸が抗炎症作用を示すことはよく知られているが、化学療法中にn-3系脂肪酸を摂取して倦怠感や食欲不振が改善したという報告がある。化学療法を受けている非小細胞肺がんの患者を、通常の栄養に加えEPAのサプリメントを上乗せした群と上乗せしない群にランダムに振り分け、比較した試験だ。92名の患者の体重、体組成、食事摂取量、生存率などのパラメータを、ベースライン時および化学療法の第1および第2サイクル後に評価した結果、摂取群での体重はベースラインと比較して1.6±5kg増加した一方で、対照群では-2.0±6kgの減少であった。EPA群で、疲労、食欲不振および神経障害が減少傾向にあったが、 奏効率や全生存率に有意差はなかった(Clin Nutr. 2014 Dec;33(6):1017-23.)。

また、肺がんで放射線治療や化学療法を受けている患者を含むシステマティックレビューにおいて、EPA及びDHAを服用することで、体重減少や筋肉量減少が抑制され、化学療法の効果が得られやすくなる傾向があるとされている。効果に程度の差こそあれ、少なくとも悪影響が出たとする結果の論文はレビュー内にはないようである(Nutr Clin Pract. 2016 Apr;31(2):171-9.)。

グルタミン

化学療法による粘膜障害、下痢、口内炎などは比較的よくある副作用だ。グルタミンはアミノ酸の一種であるが、その消化管粘膜保護作用や傷の回復を早める作用が知られている。化学療法中にグルタミンを経口または静脈注射にて投与した場合とプラセボとで比較したランダム化比較試験を統合解析した298名の患者を含むシステマティックレビューにおいて、グルタミン使用群で下痢の期間が有意に短くなることが示された。一方で、下痢の重症度に差は見出されず実臨床における効果のほどは微妙なところである(Asia Pac J Clin Nutr. 2012;21(3):380-5.)。

また、最近のシステマティックレビューにおいてグレード2〜4の粘膜炎、体重減少、副作用発現までの時間、重症度がグルタミンによって改善する傾向が示されている。一方で、悪心、嘔吐、口渇および食欲不振の割合は、対照群と比べて大きな差はなかった。(Nutr Clin Pract. 2016 Apr;31(2):171-9.)。

グレリン

グレリンは胃から分泌される食欲増進ホルモンでありながら、成長ホルモン分泌作用などの機能が知られているホルモンである。その作用から、化学療法中の患者の食欲不振や嘔気が抑えられるのではないかとする研究がある。

化学療法で用いられるシスプラチンは、血漿中のグレリン濃度を下げることが知られている。結果的に消化管障害などを招き中止に至る例も多い。そのような背景を踏まえ、グレリン群とプラセボ群各21名ずつに振り分け、服用によるカロリー摂取の程度、有害事象発現の程度を比較した試験がある。

1名、過度の発汗でグレリン投与中止があった。食物摂取量および食欲スコアは、グレリン摂取群で有意に高く、食欲不振および悪心などの有害事象が少ない傾向にあった(Cancer. 2012 Oct 1;118(19):4785-94.)。 また、シスプラチン使用中の患者において、グレリンを投与して血清クレアチニンをみた試験では、シスプラチンの腎臓毒性を軽減させることが示唆されている(Br J Cancer. 2016 Jun 14;114(12):1318-25.)。

漢方薬の六君子湯が血漿グレリン濃度が上昇させることは有名で、食欲不振の改善や長期的には成長障害を改善する効果があると考えられており、実際化学療法中に併用されることが多い。他に蒼朮、陳皮、生姜などの生薬もグレリン分泌増加に関わると考えられており、これらを含む茯苓飲合半夏厚朴湯が使われる場合もある。

【参考文献】
1-1,Effects of an oral nutritional supplement containing eicosapentaenoic acid on nutritional and clinical outcomes in patients with advanced non-small cell lung cancer: randomised trial.
Clin Nutr. 2014 Dec;33(6):1017-23.
Sánchez-Lara K, Turcott JG, Juárez-Hernández E, et al
1-2、Omega-3 supplements for patients in chemotherapy and/or radiotherapy: A systematic review.
Clin Nutr. 2015 Jun;34(3):359-66.
de Aguiar Pastore Silva J, Emilia de Souza Fabre M,Witzberg DL.
2−1、Glutamine for chemotherapy induced diarrhea: a meta-analysis.
Asia Pac J Clin Nutr. 2012;21(3):380-5.
Sun J, Wang H, Hu H.
2−2、Oral Glutamine in Preventing Treatment-Related Mucositis in Adult Patients With Cancer: A Systematic Review.
Nutr Clin Pract. 2016 Apr;31(2):171-9.
Sayles C, Hickerson SC, Bhat RR, et al
3−1、Effects of ghrelin administration during chemotherapy with advanced esophageal cancer patients: a prospective, randomized, placebo-controlled phase 2 study.
Cancer. 2012 Oct 1;118(19):4785-94.
Hiura Y, Takiguchi S, Yamamoto K, et al
3−2、Improvement of cisplatin-related renal dysfunction by synthetic ghrelin: a prospective randomised phase II trial.
Br J Cancer. 2016 Jun 14;114(12):1318-25.
Yanagimoto Y, Takiguchi S, Miyazaki Y, et al
3−3、ツムラ 六君子湯 製品情報概要

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