【高血圧】因果関係は不明だが、カルシウム拮抗薬で議論のある重大な有害事象(心筋梗塞、発がん、消化器出血)

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別にカルシウム拮抗薬のネガティブキャンペーンを意図しているわけではないのだが、結果的に副作用にフォーカスして紹介するとそのようになる感が否めない。カルシウム拮抗薬にまつわる、多少の議論があるマイナーな有害事象を紹介していこう。

因果関係は定かではないが、カルシウム拮抗剤で議論されている重大な有害事象として次の3つがある。
1、短時間作用型カルシウム拮抗剤による急性心筋梗塞及び死亡率の増加(通常主に用いられる長時間作用型ではない)
※一般に、短時間作用型のジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は、使用が避けられているのでまずこれは問題ないだろう
2、発がんリスク、特に乳がんのリスク増加
3、消化器出血のリスク増加

これらの可能性を耳にしたとして、過度に恐れることは望ましくないので実際のところどうなのかを以下に紹介する。

急性心筋梗塞後の死亡率増加リスク

短時間作用型ニフェジピンの大量投与は、心筋梗塞後の患者の死亡率を増加させる可能性があるとする報告がある(Circulation. 1995 Sep 1;92(5):1326-31.)。高用量の短時間作用型ニフェジピンによる重度の低血圧および交感神経活性化による害の可能性は明らかではない部分もあるが、いずれにしても、そのような患者に短時間作用性カルシウムチャネル遮断薬を使用する妥当な理由はないと思う。まあ、実際問題処方されることはほとんどないので、さほど心配するには当たらないだろう。

発がん性

いくつかの観察研究では関連性が示唆されているが、因果関係は不明である。

観察研究では、カルシウム拮抗薬と乳がんリスクの増加との関連性が見出されており(JAMA Intern Med. 2013 Sep 23;173(17):1629-37.)。1907人の乳がんと診断された女性と、乳がんのない女性856人(電話帳から無作為に選択された女性)から血圧降下薬の現在および過去の使用を確認した試験のサブグループ解析で、カルシウム拮抗薬を10年以上使用した女性の乳がんリスクが上昇したとしている。逆に10年未満では増加はなかった。ただ、この研究の方法では因果関係は導きだせるものではないし、信頼度の高い手法ではないのであくまで参考までだ。

一方で、30万人を超える人々を含む抗高血圧薬治療の大規模なメタアナリシスでは、カルシウム拮抗薬によるがんの発生率の有意な上昇はなく(オッズ比1.05,95%信頼区間0.96-1.13)、がん関連死亡の増加傾向もなかった(オッズ比0.96,95%信頼区間0.82-1.11)。なお、この中で、乳がんのリスク自体は分析されていない(Lancet Oncol. 2011 Jan;12(1):65-82.)。

高齢者における胃腸管出血リスクの増加

観察研究において、消化管出血のリスクが増加する可能性が示唆されている。しかしながら、大規模なランダム化試験やメタアナリシスを含むその後の研究ではその関連は示されていない。

例として、約1000人の高血圧患者の後ろ向き研究では、短時間作用型のベラパミルまたはジルチアゼムを服用している患者では消化管出血率が高かったが、ニフェジピンではそうではなかった(Lancet. 1996 Apr 20;347(9008):1061-5.)。

しかし、アムロジピン(抗高血圧症および脂質低下治療を含む心臓発作試験[ALLHAT]を含む)を含む臨床試験からのデータを含む、より質の高い分析では、この関連に否定的である(Arch Intern Med. 2001 May 14;161(9):1145-58.)。さらに、17の臨床試験のシステマティックレビューとメタアナリシスの結果、カルシウム拮抗薬使用と消化管出血との間で限定的な関連性は示唆されたものの、臨床上有意な結果ではなかった(Aliment Pharmacol Ther. 2015 Jun;41(12):1246-55.)。

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