減煙における問題点と禁煙することのリスクまとめ

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たばこ・喫煙によりリスクが上がることが示されている疾患一覧にて、喫煙のリスクおよび禁煙のメリットについて触れた。どの程度メリットがあるかは当然喫煙量と期間によるが、禁煙で共通して言えるメリットは心疾患、癌、肺疾患を含むタバコ関連疾患の発症を減らし、より長生きできる傾向にあることと、疾患を発症後に禁煙をしてもメリットが得られるという点だろう(N Engl J Med. 2002 Feb 14;346(7):506-12.)。

減煙への疑問

完全に禁煙するのは辛いということもあると思う。それなら、喫煙の本数を減らしてはどうかということになる。しかしながら、減煙を支持するデータは少ないように思う。完全な禁煙に至らない、減塩の段階では心血管疾患リスクへのベネフィットが明確には示されていない。

理由としては、
少量のたばこ曝露でさえ心血管リスクを増加させる可能性がある
•減煙を試みてもニコチンの離脱症状を嫌い、ある程度の喫煙量を維持してしまう
といったことが考えられる。

少なくとも前向きコホート研究では、喫煙量を少なくとも50%減らした喫煙者では全原因死亡率に変化がなかったのに対して、完全禁煙した元喫煙者は、全死亡率のリスクが減少することが分かっている(Am J Epidemiol. 2002 Dec 1;156(11):994-1001.)。減煙の恩恵は主にヘビースモーカーで見られ、心血管死亡率の低下によるところが主であった。

ただし、肺がんに関しては減煙するほどリスクが低下することが分かっていて、ヘビースモーカー(15本/日以上)の肺がんリスクを1とした時の、50%以上の減煙者のリスクは0.73、1〜14本/日の喫煙者リスクは0.44、禁煙者で0.17、喫煙経験のない人で0.09となっている(Effect of smoking reduction on lung cancer risk. JAMA 2005; 294:1505.)。結局のところ、完全に禁煙することが望ましいのだが、禁煙にはリスクもある。以下にそれらを紹介する。

禁煙のリスク1:ニコチン離脱症候群

禁煙することにリスクなどあるのかと言われそうだが、ある。禁煙のベネフィットはそのリスクを補ってあまりあるものだが、そうしたリスクを知って対処方法を把握しておくことで禁煙成功の可能性を最大限高めることができる。

ニコチンは、精神を活性化させる作用があり、強力な依存性がある(N Engl J Med. 2002 Feb 14;346(7):506-12.)。ニコチンが切れれば離脱症状を呈し、たばこを欲するようになる。その症状は、通常最初の3日間程度でピークに達し、その後3~4週間をかけて徐々に鎮静化していくとされているが、長期喫煙者の場合は数ヶ月から数年もその渇望状態が続くケースすらある。

ニコチン離脱症状として、具体的には次の症状が出ることがある。

●食欲や体重の増加
●不快感、うつ、または無快感症(J Abnorm Psychol. 2015 Feb;124(1):215-25.)
●不眠症
●いらいら、欲求不満、怒り
●不安
●集中力低下
●じっとしていられない

禁煙に取り組む場合は、これらの症状が起こった時にどう考え、対応すれば良いのか知っておくと良いと思う。行動的アプローチもあるし、ニコチン補充療法、バレニクリン(チャンピックス)などの禁煙補助薬で離脱症状を緩和することも可能である。

禁煙のリスク2:体重増加

禁煙をすると体重が増加する傾向にある。その理由として、代謝率の低下、リポタンパク質リパーゼ活性の上昇、食の好みの変化、カロリー摂取量の増加が考えられている(Obes Rev. 2004 May;5(2):95-103.)。

一般的に、体重は禁煙後最初の2週間で1~2kg増え、更に4~5ヶ月間で2~3kg増加する。平均総体重増加は4~5kgであるが、それ以上の場合もある。10%ほどの禁煙者において、禁煙後に13kg以上も体重が増えたという報告すらある。一般に、体重増加は、男性よりも女性、白人よりも非白人、軽い喫煙者よりも重度の喫煙者で多くなる傾向にある(N Engl J Med. 1991 Mar 14;324(11):739-45.)。

女性だと特に、こうした事実を知るとやめづらくなりそうではある。しかし、体重増加や肥満のリスク以上に喫煙による害の方が遥かに大きいし、食事や運動療法を勧めることで、体重増加傾向はある程度コントロール可能である。

禁煙のリスク3:うつ病

ニコチン離脱症候群には、うつ病や不安症状もあるが、特に精神病の病歴のある人ではリスクが高まる。うつ病の既往がある患者では、禁煙により、行動カウンセリングや抗うつ薬あるいはその両方を必要とするレベルの抑うつ症状が引き起こされる可能性が報告されている。しかしながら、続く研究で禁煙のベネフィットがこの一時的な精神疾患リスクを上回ることが示されている(N Engl J Med. 2011 Jul 21;365(3):196-8.)。

なお、元々精神疾患のない患者が禁煙した場合に、うつ病を引き起こすかは不明で、うつ病や不安のない喫煙者の大規模なコホートでは、たばこ使用をやめた後、うつ病や不安の症状は増加しなかった(Nicotine Tob Res. 2011 Mar;13(3):209-14.) 。

禁煙のリスク4:咳や口内炎

咳や口内炎の一時的な増加は、喫煙を止めてから最初の数週間で起こることがある。理由は良く分からないが、いずれにしても禁煙の数週間後には消失する。基礎疾患として気管支炎を煩っている場合は、一時的に咳が増えるかもしれないが、時間が経てば軽快するのは同様である(Tob Control. 2003 Mar;12(1):86-8.)。

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