薬を使わずに不眠症を克服するための方法まとめ

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始めてきた方は「薬と健康のホンマでっかな情報発信局とは」をお読みください。

睡眠導入剤を飲まれている方で、「薬を飲んでも眠れない」「この数週間全く寝れていない」「かといって、昼間も眠くないし昼寝もしていない」と主張される患者さんからご相談を頂くことがある。当たり前のように連続不眠の世界記録を塗り替えかねない発言をされ、そんなはずはないのではないかと内心思うこともあるが、真っ正面からそういったところで何の解決にもならない。仮に脳波の睡眠記録を見せて、ここで寝てますよということが出来たとしても睡眠に対して強いこだわりがある場合はどちらにせよ説明が難航する。

何故、数週間寝ていないと思い込んでしまうのだろうか。こういう場合は、睡眠に対する認知の歪みが原因となっているケースが多いとされている。不眠の大きな原因の1つに「眠れないことへの過剰な怖れからくるこだわり」がある。そうした睡眠に対する認知の歪みを矯正する方法として、知られている認知行動療法をいくつかご紹介しよう。

睡眠衛生教育

良い睡眠衛生は良い睡眠習慣を作る。具体的には次の方法がある。

•休息をとるのに必要なだけ眠り、ベッドから出る
•一定の睡眠スケジュールと保つ(毎日同じ就寝時刻と起床時刻)を維持する
•無理に眠ろうとしない(刺激コントロール法参照)
•昼食後のカフェイン飲料を避ける
•就寝に近い時間にアルコールをとらない
•喫煙しない(特に夕方)
•空腹で床につかない
•寝る前に快適になるように、寝室の環境(光、音、温度)を整える
•仕事や心配事があれば就寝前に対処してしまう。夜間の不安を減らすために
翌日にすることリストを書き出してから眠るのも良い
•定期的に運動する。就寝の4時間以上前の運動が望ましい
•携帯や光を放つ電子書籍を就寝前に長時間みない

睡眠日記・睡眠スケジューリング

睡眠覚醒リズム表(Sleep-wake log)」という用紙をプリントして、書き出してみることも有効である。この「実際にやったことを書き出す」という手法はあまりにも簡単であるせいか、継続的に取り組める人が少ないがかなり有効な手段だ。実際に睡眠の記録をつける。それだけだが、患者さん自身で誤った睡眠習慣やパターンについて気付きを得ることができるし、受診時もこれを手がかりにしてより適した治療に取り組むことができる。

最近では患者さんが自身で取り組める睡眠行動療法の本も出版されているため、そうした書籍を利用する方法もある。

これは一例だが、類書もあるのでご自身にあったものを見つけてトライしてみても良いと思う。

こうしたツールを用いると、眠れない時間を苦痛に感じてしまう理由が明確になり、言語化できてくるので不眠解決の糸口になる。不眠症と鬱病や不安症状、統合失調症などの併発例は多く密接な関わりがあると考えられている。安易に薬に移行する前にこうした方法を取り入れても良いかと思う。

刺激コントロール法

刺激コントロール法は不眠症を持つ方の、「ベッドルームにいることでかえって眠れなくなるという条件付け(NLPではアンカリングという)」を外そうという考えに基づいている。具体的には次の手順。

・眠りに落ちるまで15分ないし20分以上費やさない
・20分以内に寝ることができない場合は、別の部屋に移動し、また眠くなるまで読書したり、リラックスできることをしたりして過ごす。但し、食事、家事、テレビを見る、テスト勉強をするなど覚醒系に導く活動は避けた方が良い
・眠くなったら、寝る。また20分で眠れない場合は、このプロセスを繰り返す
・目覚まし時計を設定し、週末を含め毎日同じ時刻に起きる
・昼寝はしない

これを始めた直後は眠れないかもしれないが、昼寝をしなくなれば、徐々に眠気が増し、夜眠りやすくなる。

睡眠制限法

夜間覚醒してしまったが故の睡眠不足を補うために朝ベッドで眠り続けてしまう人がいる。朝の時間帯にそうした睡眠の埋め合わせ行為をしてしまうと、その日の夜にまた眠りづらくなり結果的にまた眠るのが遅くなる。悪循環だ。睡眠制限はこのサイクルを断ち切る。

・睡眠制限療法の第一歩は、自分の一晩あたりの平均睡眠時間を見積もるところからはじめる。その平均睡眠時間が4時間以下でない限り、平均的な睡眠時間に近づけるよう一晩あたりの睡眠時間を減らしていく
・厳密な就寝時刻と起床時刻を定めて、昼寝をしない。これにより、部分的な睡眠不足になるので、夜間の睡眠能力が高まる
・睡眠状況が改善したら、徐々に夜間の睡眠時間を増やし必要な睡眠時間を見出す

最初の数日から数週間は、昼間眠くなり、生活上辛い時もある。これに対しては、眠気を感じる時間帯の活動レベルを上げるなどした方が良い場合もある。睡眠を過度に減らすと眠気が発生し、事故の原因となる可能性があるため適度な範囲で行う。

上記以外の不眠症に対する認知行動療法(リラクゼーション、バイオフィードバック、光線療法、クロノセラピー:時間治療など)

上記に紹介してきた方法で、多くの不眠症は改善されるはずだが参考までに、それ以外に知られている方法を列挙していこう。

▼リラクゼーション法
これに関しては、「統合医療」情報発信サイトに詳しく書かれている。要はリラックスできれば、何でも良い。深呼吸や瞑想、頭から足先まで筋肉を徐々にリラックスさせる漸進的弛緩法など。例えば、顔の筋肉に始まり、筋肉を1秒から2秒間軽く絞り圧迫してからリラックスすることを数回繰り返す。同じように顎と首、肩、上腕、下腕、指、胸、腹部、臀部、太もも、ふくらはぎ、足の順に、他の部位と同じ手順を行う。必要であれば、このサイクルを45分間繰り返す。この方法は、安静と睡眠を促進するとされている。リラクゼーション療法は時にバイオフィードバックと組み合わせられる。

▼バイオフィードバック
バイオフィードバックでは、皮膚にセンサーをつけ筋肉の緊張や脳のリズムをトラックする。緊張度合いや活動度合いを画面上で確認することができ、そうした緊張を減らすための手立てを考えることができる。

▼Chronotherapy
クロノセラピーは、概日リズム(サーカディアンリズム)睡眠障害の人々に行われることがある。例えば、眠れるようになるまで意図的に数日間寝る時間を2~3時間遅らせてみるとか。これを行うと日中の眠気に影響が出るため、仕事や学校の休みを取って行う場合もある。希望の就寝時刻に達した後は、その矯正後の睡眠覚醒スケジュールに従う必要がある。

▼Phototherapy
光線療法とも呼ばれるが、睡眠相の遅延による不眠に対して有効とされている。このタイプの不眠は、身体の「睡眠時計」に問題があり、夜間に眠りにつきにくく、翌朝に目を覚ますのが困難なケースがある。

例えば、ライトボックス (Light box)の前に30~40分間座る。光にあたるタイミング重要で、起床後に行なった場合には夕方眠りに着くのが早くなる。午後中頃以降に使用すると睡眠の遅れを招く。軽度であれば、朝の所定の時間に起き、明るい光のもと活動する(例、外に出て散歩する等)、などで十分なこともある。あるいは、明るい日差しのある場所(窓の近くや玄関など)に座るだけでも良い。特定の時間に明るい光にさらされると、体内時計が再調整される。

まとめ

認知行動療法として、前述のアプローチのいくつかを組み合わせて8-10週間にわたって行うように組まれたコースもある。睡眠教育、刺激コントロール、睡眠制限法。加えて、認知療法と睡眠衛生に焦点を当てたセッションがある。最後に、そうしたプロセスをレビューして統合し、ストレスや再発などの将来の問題に対処するセッションを設ける場合もある。

これらの方法は、精神科、臨床心理士、心療内科などに丸投げされがちだが、ちょっとしたコツとしてその一部を内科医や薬局でも取り入れても良いのではないかと思う。厚生労働省が出している「健康づくりのための睡眠指針2014」を参考にしても良いと思う。

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