【情報源】オンラインの医療情報データベースランキング

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始めてきた方は「薬と健康のホンマでっかな情報発信局とは」をお読みください。

臨床の現場にいると、素早く信頼度の高い情報をとってこなければならないという状況に遭遇することがある。知らないから適当にググってみようというのが普通の手順だが、 間違った情報やソースの不明瞭な情報をとってくるリスクが高く、疑問を解決するのに必要な情報がすぐ出てくるとも限らない。 ましてや、個々の医学論文を1つ1つ検索するのは効率がとても悪い。余程疑問に思う情報がなければそこまで出来ない。

そんな時に役立つのがオンラインのデータベースサイトである。 世の中には医療プロフェッショナルが使用する、 科学的根拠となるデータがまとめられたサイトがある。 原著論文などの一次資料情報を統合してまとめた二次資料だ。多くの医師が利用しているサイトだが、患者サイドでそれを知る人は多くはいない。カナダのマクマスター大学で、 そんなデータベースサイトがランキング化された。

上位10位のデータベースサイト

上位10位にランクインしたサイトは下表の通り(Journal of Clinical Epidemiology. Vol. 65 (12) December 2012, Pages 1289–1295より)。

Text(サイト名) Timeliness(情報鮮度) Breadth(幅広さ)
DynaMed 1 3
UpToDate 5 1
Micromedex 2 8
Best practice 3 4
Essential Evidence Plus 7 7
First Consult 9 5
Medscape Reference 6 2
Clinical Evidence 8 10
ACP PIER 4 9
PEPID N/A  

それぞれ便利なサイトであるが、中でも世界中の医師の間で圧倒的に使われている上位2つがDynaMedとUpToDateだろう。身近にもこの情報ソースを使っている医療職はかなりいる。これらの情報ソースの国際疾病分類関連トピックのカバー率は上はUpToDate83%、DynaMed82%から下はClinical Evidenceの25%までの幅がある。5つのテキストは60%以上のカバー率。相当なデータ量だ。

平均情報更新頻度はDynaMedの3.5ヶ月から FirstConsultの30ヶ月にまで及んでいる。 どの情報源もそれ1つのみでは理想的とは言いがたく、患者の治療方針を決定するにあたっては、 臨床家は2つ以上の情報ソースにあたることが望ましいとされている。

DynaMedとUpToDateの優位性

このように情報鮮度が新しく幅広い領域をカバーしながらかつ情報の信頼度がある程度簡単に把握できる情報源をしっていると、検索の次元が変わる。 特に上位2位のDynaMedとUpToDateは使い勝手がよく、多くの情報源に比べて次のような点で優っていると思う。

1、情報の透明性と信頼度の高さ
2、検索性
3、情報量の多さ(各分野毎に全般的情報を得やすい)
4、情報の新しさ

1、情報の透明性と信頼度の高さ
基本的に製薬会社またはその他の商業組織からの資金提供を受けずに吟味された情報を掲載しており利益相反がないようにされている。従ってより客観性が高くなる。多くの教科書があるが、より科学的根拠に基づいた情報源であると言えるだろう。また薬剤別に治療効果に関する科学的根拠がまとめられている。なお、ここでまとめられたエビデンスは執筆者が予め「批判的吟味」を加えた後に厳選したものである。

効果の指標などの統計的数値が明示されていることも良い。本文中の文献番号をクリックすると原著論文にリンクしている、即ち情報の出元を根元まで辿ることができる。各情報の脇に、情報の信頼度(エビデンスレベル)が併記されている。

UpToDate特有の機能として便利なものにRecommendations機能というのがある。 各トピックスについて、執筆者がプロとして具体的な指針を推奨する。 その際、根拠となる文献がしっかりしていればそれが提示され、根拠となるものがなく執筆者の意見に基づく場合はその旨が明記される。

  2、検索性
検索は簡単で早い 比較的平易な英語表現で書かれている 実用性や読みやすさを損ねないように文献に関する情報を最小限に抑え あまりに詳細に及ぶ文献の吟味は意図的に省略されている 記述方法が一定で明快。従って短時間で欲しい情報に辿りつきやすい  

3、情報量 ・あらゆる医療分野を網羅
類似分野内での横断的な情報が得られる(例えは同効薬での力価の比較等)。 UpToDateに関しては 図表や画像データが豊富で画像検索も可能で、数万件におよぶ写真、グラフ、動画、図などをサイト内で検索可能だ 加えて患者向け医療情報が充実している。英語圏なら患者に渡す資料としても使う事ができる。 患者での購読者もいるほどである。

4、情報が新しい
更新頻度が高く最新の情報を享受できる インパクトの大きい論文が出た際もすぐに反映される。

以上のような点も踏まえ、UpToDateやDynaMedは 医療関係の単一情報源としては世界でも有数の使用者数を誇る。1位のUpToDateは158ヶ国における700,000人以上の臨床医とアメリカの約 90%の 大学病院で導入されている。 日本でも医師の約2割が使用しているとされる。もっと多いかもしれない。 医学部のある大学や大きな病院などでは施設で契約している所も多い。

良い点ばかり上げてきたが、欠点もある。それは、疾病構造が基本的に米国のそれに基づいての記載になること そして、改訂頻度を頻回にしただけの教科書なので臨床上かゆいところに手が届かないというシチュエーションもあるということだ。 そして、個人購読でも年間数万円と有料であること。しかし、使いようによっては、その価格以上に有益な情報だ。自分の病気のことを深くしりたいという患者さんや、 まだこういう情報源を使った事がないが普段出会う疑問を素早く解決したいという医療職の方は試してみても良いのではと思う。 次回は日本語での医療情報サイトもいくつか紹介していく。

【参考文献】
The quality, breadth, and timeliness of content updating vary substantially for 10 online medical texts: an analytic survey.
Journal of Clinical Epidemiology. Vol. 65 (12) December 2012, Pages 1289–1295
Prorok JC, Iserman EC, Wilczynski NL, Haynes RB. 

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