薬を投与する時に食物アレルギーの有無を確認する理由

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食物アレルギーの患者は近年増加傾向にある。
乳児では約10%、3歳児で約5%、学童以降では1.3〜2.6%程度
全年齢を通しても100人に2人前後と決してまれな疾患ではない。

食物アレルギーのある患者にあった場合、
投与禁忌となる薬剤が処方されていないかを必ず確認する。

そこで、役に立つのが2014年発行の「食物アレルギー診療の手引き」という
厚生労働省科学研究班によって出された冊子である。

食物アレルギーは「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって
不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が
惹起される現象」と厚労省科研班により定義されている。

1、食物アレルギーの特徴
食物アレルギーは患者の症状から表1のように分類されている。

表1
アレルギー

a)慢性の下痢などの消化器症状、低タンパク血症を合併する例もある
b)原因食物を摂取後、運動を行った後にアナフィラキシーを起こす疾患
c)口腔粘膜における食物(果物、野菜)による接触蕁麻疹
 症状出現時間は5分以内のことが多く、花粉症、ラテックスアレルギーに合併することが多い
(花粉症はシラカバ科、ハンノキ科、イネ科花粉症に多く見られ、スギ花粉症には比較的少ない)

食物アレルギーによって起こる具体的な症状は
・皮膚粘膜症状(蕁麻疹および血管運動性浮腫などの皮膚症状、結膜充血や流涙などの
 眼症状、口腔・口唇・舌の違和感、咽頭浮腫などの口腔咽頭症状)
・消化器症状(腹痛、悪心、嘔吐、下痢など)
・呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、呼吸困難、咳など)

であり、特に重症時にはアナフィラキシーショック(頻脈、血圧低下、意識障害)など
致死的な症状を起こす危険性がある。

食物アレルギーが疑われた患者には、
医療機関での詳細な問診に加えて、血中抗原特異的IgE検査、皮膚に抗原液を
乗せてから針で皮膚を傷つけ液を浸透させて発疹の膨らむ範囲を見る
プリックテスト、疑わしい食物を1〜2週間全く食べずに症状の改善を見る
食物除去試験を実施した上で診断する

2、予防と治療
食物アレルギーの予防・治療の原則は
「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」とされている。

やみくもに食物除去を行うと、特に小児だと成長や発達の妨げになる恐れがある
ので「必要最小限」というのがポイントになる。

患者の食事内容や症状を記録した食物日誌や
成長・発達の記録も合わせて評価することが大切である。

一般に両親や兄弟に食物アレルギーの既往がある場合、
その児も食物アレルギーを発症するリスクが高いとされている。

しかし、児のアレルギー性疾患の発症予防のために、
妊娠・授乳中に母親が食事制限をすることは
有効性を示す科学的根拠がないため勧められていない。

卵や牛乳にアレルギーのある患者においては、
表2に挙げた成分を含む薬剤は投与禁忌とされる。

表2
食物アレルギーと薬剤

※非常に感受性の高い牛乳アレルギーの患者では、粉薬の調合に用いられたり、
 各種薬剤(カプセル、錠剤、散剤など)に添加されている乳糖で
 症状を誘発することがあるので注意が必要である

薬局などで、患者の薬剤アレルギーのみならず
食物アレルギー歴を聴取するのは、投与薬剤にアレルギー物質が
入っていないかチェックするためである。

上記の表はそうした一部であり、例えば小麦アレルギーとかだと
飲まない方が良い漢方薬なども存在する。

また、食物アレルギーにおける薬物療法は、
あくまでも補助療法の位置付けであり、診断が確定して症状が安定したら
中止可能とされている。

薬剤としては
・インタール(クロモグリク酸ナトリウム)
・抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬
・経口ステロイド
がよく使われる。

食物アレルギーによりアナフィラキシーショックに至った場合には、
アドレナリン自己注射(エピペン注射液)が必要である。

3、アドレナリン自己注射(商品名:エピペン注射液)について

エピペンはアドレナリンを速やかに注射できるように設計された製剤である。

20ヶ国以上でアナフィラキシー補助治療薬として使われており
米国では20年以上にわたる使用実績がある。

日本でも蜂毒に起因するアナフィラキシーにより年間30人の死亡例が
報告されていたことから、林野庁が緊急輸入し、
本剤の投与が医療機関での手当てを受けるまでの救急処置として
有用であることが示された。

その後、2005年からは、日本でも蜂毒だけでなく食物および薬物などに
起因するアナフィラキシーへの使用が認められ、現在に至っている。

使用上の注意事項は次の通りである。

・アナフィラキシー発現時に患者自身が大腿部に自己注射する製剤である
・アドレナリンとして、体重1kgあたり0.01mg投与する
 0.15mgと0.3mgの2規格があり、患者の体重に応じて使い分ける

ⅰ)製薬会社による講習を受けて登録した医師のみが処方できる
ⅱ)使用する患者には必ずインフォームドコンセントを実施し、
 初めて使用する患者にはスターターパック(自己注射キット以外に
 患者向けの使い方マニュアルが添付されている)を用いて
 保管方法や使用方法、使用時に発現する可能性のある副作用などを十分指導する
ⅲ)本製剤は、アナフィラキシー発現時の緊急補助的治療として使用するもので、
 医療機関での治療に代わり得るものでなく、使用後は必ず医療機関を受診し、
 適切な治療を受けることを指導する。
ⅳ)本製剤を静注すると血圧上昇による脳出血の危険性があることを
 十分説明し、筋注のみの使用を厳守させる

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