去痰薬(痰切り)の比較

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

痰が絡む、鼻や喉から膿みが出る、咳っぽい
様々なシーンで去痰薬は処方される。
市販薬でも去痰薬は沢山販売されている。

僕は、薬剤師として働き始めたばかりの頃、
これらの薬は同じようなものだろうと考えていた。
作用にもさほど違いがないのではないかと。

実際に、ムコソルバンとムコダインを飲んでいる患者さんから
「この2つの違いは何ですか」と聞かれて
「同じようなものです。2つとも痰を出しやすくします」

などと昔は回答していた。勉強してきて気付いたのは両者は明確に違うということ。

去痰薬としての成分は市販薬も処方せん医薬品もそう大きくは変わらず
大抵、以下に紹介する成分の薬が使われている印象である。

以下では、それらを比較吟味していこう。括弧内は成分名である。

ムコダイン(カルボシステイン)

去痰薬といえば、これと言われる程良く使われる。
市販薬にもこの成分を含む去痰薬が沢山ある。
PEACE試験が有名。この臨床試験で慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪を
減らすことが示されている。

ⅰ)分泌細胞正常化ー杯細胞から粘液が分泌されるのをおさえる
ⅱ)気道粘液修復ーシアル酸とフコースの構成比を正常化する

という2つの側面を持つ。

簡単に言うと、痰や膿みの粘りをとって
荒れた副鼻腔粘膜や気管支粘膜の細胞を修復する ということ。

痰と鼻の膿みを出しやすくする。

ムコソルバン(アンブロキソール)

気道粘膜の潤滑薬。肺サーファクタントの分泌を促すことで
ネバネバした喀痰を排出しやすくする。

ムコソルバンL錠、ムコソルバンLカプセルという徐放製剤がある。
1日3回飲むのが面倒な方は、こちらであれば1日1回で済む。

「L」というのは、「Long Acting」つまり薬の効果が
長く続く設計であるという意味だ。

夕食後や就寝前に飲むと早朝の排痰がスムーズになるとされている。

ビソルボン(ブロムへキシン)

気道分泌促進薬。分泌物を増やすことで痰を排出しやすくする。
従って、キレの悪い喀痰に有効である。

錠剤は問題ないが、ビソルボン吸入液はパラベン
によってぜんそく発作が悪化することがあるので
気管支ぜんそくの患者には適さない。

逆にサラサラの喀痰が出ているのにビソルボンを使うと
喀痰の量が多くなるだけでかえって良くないことがある。

スペリア、クリアナール(フドステイン)

商品名が2つあるがどちらも同じ有効成分である。
ムコダインと同系統の薬であり、ムコダインと同様に2つの機能を持つ。
比較的新しい薬であるため経験知は少ないが、
COPDの患者には有効であると考えられている

ムコダイン同様1日3回使用。

まとめー使い分け

去痰薬は基本的に対症療法の薬であり、補助ツールである。
従って、元となっている疾患の治療が大切なのは言うまでもない。

また、余りにも大量の喀痰が出る場合は、去痰薬があまり効かない場合もある。

COPDの急性増悪を予防したい患者で、
喀痰症状が強い場合はムコダインやスペリアが適するだろう。

こうした患者は吸入薬も使っているだろうから1日3回飲むのは
面倒かもしれないが、本人が問題なく継続できるなら使っても良いだろう。

気管支拡張症や気管支炎などでサラサラの白い喀痰が沢山出る場合なども
ムコダインやスペリアが良い適応になる。

ただし、去痰薬の薬効が追いつかないせいか効果が不十分と感じることも多い。
こうしたキレが悪い感じにはビソルボンやムコソルバンが良い。

特に寝起きに痰が絡むような場合、ムコソルバンLはよいだろう。

薬効をまとめると次の通り。
・ムコダインとスペリアは痰の性状をやわらかくし、粘膜を修復する
・ムコソルバンは気道壁を潤滑にするが、痰の性状には影響しない
・ビソルボンは気道の分泌液を増加する

僕は、去痰薬で何が違うのかと聞かれれば上記のまとめを
少し簡単にして説明している。

使うシーンとしては、ざっくばらんに次のように大別できる
COPDの喀痰(急性増悪予防)  ムコダイン、スペリア
サラサラの喀痰 ムコダイン、スペリア
キレの悪い喀痰 ビソルボン、ムコソルバン
寝起きに喀痰が絡む ムコソルバンL

痰をすっきりきれいになくすような都合の良い薬は
いまのところなく、どれも1剤では十分とは言えない場面に良く出くわす。
従って、作用機序の異なる去痰薬が適宜組み合わされて処方されたり、
咳が伴う場合は咳止めと併用されたりということが多い。

【参考文献】
Chest. 2009 Jun;135(6):1513-20. doi: 10.1378/chest.08-2105. Epub 2009 Feb 2.
“Peroxynitrite elevation in exhaled breath condensate of COPD and its inhibition by fudosteine.”
Osoata GO1, Hanazawa T, Brindicci C, Ito M, Barnes PJ, Kharitonov S, Ito K.

Lancet. 2008 Jun 14;371(9629):2013-8. doi: 10.1016/S0140-6736(08)60869-7.
“Effect of carbocisteine on acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease (PEACE Study):
a randomised placebo-controlled study.”
Zheng JP1, Kang J, Huang SG et al

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