糖質を抑えることのメリットとデメリット ー糖質制限は体臭を強くするし死亡率も上げる

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

糖質001

アレルギーと食べ物が関係していることは誰もが感じていることだろう。

実際食物アレルギーは増加傾向にあり、
原材料に卵や牛乳、小麦、そば、甲殻類などが含まれているかを表示している飲食店は多い。

これらの食材アレルギーはその食材そのものを避けることが一応の対策となっている。
しかし、あまりにも多くの食材に対してアレルギーがあると
その対処には大変な労力を要するし、人付き合いの問題にすらなりうる。

さらに反応が出ていなかった食材でも
原因物質を繰り返し摂取することでアレルギーを起こすこともある。
例えば、花粉症がなかった人が、ある年から急に発症したとかいうのはよく聞く話だろう。

この治療と言えば、マスクを着け、アレルギーを抑える薬を飲み
目や鼻の症状を抑えるために点眼薬や点鼻薬を用いるといったところだ。

つまり全ては対症療法である。

常に考えておくべきは、症状は氷山の一角であるということだ。
対症療法を行うことは、悪循環を断ち切るために大切だが
隠れた氷山にフォーカスした思考もまた大切だ。

その隠れた一角が最近、制限されることが1つのトレンドとなりつつある糖質である。

基本的には、糖質は体のエネルギーとなる役割を担う大切な栄養素であり
糖質を抑えすぎると長期的に寿命が短くなるとする研究もある。
特に5年以上続けると顕著に死亡率が上がる。

しかし、スーパーやコンビニエンスストアに並ぶ食品を見れば、
おにぎり、パン、清涼飲料水、お菓子など、
糖質製品に溢れている。

果汁を使ったジュースに含まれている果糖も糖質の仲間である。

外食でも、カフェに行けば砂糖の入った飲み物にスイーツ
ファミレスではライスやパンがついてくるカレー、オムライス、ハンバーグ、
糖質の多いパスタやうどんが代表的なメニューだ。

好む好まざるに関わらず、現代日本の食生活は圧倒的に糖質が多く、
それが問題視されている。

たとえば、体内で余った糖質は、内臓脂肪として蓄えられる。
それが肥満やメタボリックシンドロームを招くことは、よく知られるところだ。

糖質の多いものをいきなり沢山とると、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が急激に上がる。
すると、血糖値の急上昇によリインスリンが大量に分泌される。

インスリンは強力に血糖値を下げるため、その後血糖の急激な低下がはじまる。
糖尿病の人がインスリンを治療に使うことからも想像できるだろう。

血糖値は人の体にとってできるだけ安定している方がよい。
例えば、満腹で幸福感に満たされた状態 と 空腹でイライラした状態 を
急カーブで繰り返したらどうだろうか。精神衛生上もあまり良くはない。

因みに血糖値の乱高下が精神疾患リスクに関係するとする説もある。

とりわけブドウ糖を主要なエネルギー源にしている脳は、
血糖の急激な低下に対して危険を察知し防御反応を示す。

そのときに分泌されるのが、アドレナリンや
ステロイドホルモンの一種であるコルチゾールといったホルモンであり、
それらはおもに副腎という臓器で合成されている。

通常、緊急時のストレスなどで分泌されるものが
糖質を過剰摂取すると血糖の乱高下によって1日に何回も分泌されてしまう。

因みに、アレルギーや炎症性疾患などに使われる薬剤にステロイドがある。
実は、このステロイドは私たちの体内で分泌されている
抗炎症作用をもつホルモンなのである。

糖質の過剰摂取がいけないとする書籍などで共通して語られる理屈が
上記のようなところで、まとめると以下の図式である。

 血糖値を安定させるため、副腎からホルモンが分泌される
→副腎に負担がかかり、ホルモンの分泌が減少する
 (アレルギーに対抗するホルモンの減少)
→アレルギーや炎症症状の悪化

因みに僕は軽度のアトピー性皮膚炎を持っているが、
パスタを夕食で大量に食べた日の夜中に痒みが悪化しやすく
上記の理由かな?と思っている。

朝起きるのがつらい、寝ても疲れがとれない
というのも「副腎疲労」の典型的な症状のひとつだ。

アレルギー体質というものはこうしたところからも悪化する。

因みに米やうどんなど炭水化物が全部糖質であるかのように
語る人が多いが、例えば米は炭水化物以外にも表にあるように沢山の栄養素を含有していて、
摂取量をうまくコントロールすればむしろ健康に良いと思われる。

米の栄養素

米栄養素

出典:お米とご飯の基礎知識

アレルギーなど免疫反応は腸内環境とも密接に関わるし、
アトピーなどでよくあらわれる痒みや腫れといった炎症には、
「油」なども関係している。それぞれの要素についてはいずれ触れたいが、
一品万能ということはなく、多面的なアプローチが大切である。

なお、最近流行りの糖質制限食だが徐々に臨床のデータが蓄積してきている。

因みに糖質制限食とは
通常1日200〜300gである糖質摂取量を20〜30gと極端に少なくし、
糖質の代わりに脂肪がエネルギー源として使われる状態(ケトーシスという)
にする方法である。

そのデータの蓄積から言えることをいくつか列挙しよう。

•短期間(半年程度)に一時的に痩せることができるが、その後リバウンドする
Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat DietN Engl J Med 2008; 359:229-241July 17, 2008DOI: 10.1056/NEJMoa0708681

•糖質制限食をした人の死亡率は男性で30%、女性で20%高くなる
•最も危険なのは動物性たんぱく質摂取量を増やして糖質制限をするパターンで
 癌による死亡率が男性1.7倍、女性1.3倍 心筋梗塞による死亡率は男女共に1.4倍
 総死亡率が普通の食事と比べて男性1.5倍、女性1.4倍になる
•植物性たんぱく質を多くして糖質制限をすると男女共に0.8倍と総死亡率は下がる
•癌による死亡率も糖質制限する方が高くなる
つまり糖質制限食をしたいのであれば大豆など植物性たんぱく質量を
増やす必要があるということだ。
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality: Two Cohort StudiesAnn Intern Med. 2010;153(5):289-298

•脳内のセロトニンレベルが下がり気分障害をおこす イライラやうつの発生率が上がる
 (MIT News 2004 Feb 200)

もう1つ生化学的に説明ができるデメリットを上げておく。
極端な糖質制限食をすると体臭が「腐ったリンゴ」のようになる

脂肪は糖質が十分に存在すると完全に分解されるが、
燃料としての糖質がなくなると、アセトン、アセト酢酸などのケトン体を作る
別のルートで脂肪を分解する。
アセトンは肺から吐き出されるので、独特の口臭や体臭を放つようになる。

やはり、極端な制限は避けてバランスよく食べるのは
大切だなという当たり前の結論にいつも行き着く。

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