湿布剤徹底比較

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湿布剤徹底比較

湿布剤についてあらゆる観点から分類して、以下にまとめていく。

世代分類

湿布剤はその配合成分から第1世代と第2世代に分類されている。

•第1世代
患部を刺激して血流改善を促すサリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、
清涼感成分のメントール、ハッカ油、カンフル などを含むタイプ
作用は穏やかで、痛みは強くないがこりやだるさが気になる、
患部を冷やしたい時などに使う

•第2世代:NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛成分)が配合されている

以下にこの世代分類に基づいた表を示す。

湿布表
※MS=Methyl Salicilate(サリチル酸メチル)の略

剤型による違い

一概に湿布といってもテープ、プラスター、パップといった異なる剤型がある。以下にそれぞれの特徴をまとめる。

湿布剤形比較

温感/冷感による違い

ひんやりさせる冷湿布、あたたかく感じる温湿布で特徴が異なる。以下に表としてまとめる。

温湿布と冷湿布の違い

副作用と対策

外用剤だからと言って安易に使われがちだが、副作用もある。以下に主な注意事項を4つ記す。

接触皮膚炎

貼付部位に発疹・発赤・掻痒感がでたら剥がした方が良い。
症状が出た場合にはステロイド外用剤、抗ヒスタミン剤(痒み止め)の内服などで
治療するのが一般的。皮膚の弱い人は貼付時間を短くするなどする。
NSAIDs配合の貼付剤は6時間貼付後、剥離後も3~6時間皮膚に成分が残るため、
3時間ぐらいあけて貼付した方が良い。

光接触皮膚炎

光毒性と光アレルギー性に注意が必要である。ほとんどは光アレルギー性で、
光感作物質に長波長の紫外線(UVA)が当たり、化学構造が変化して
個体が感作されることで起こる。
貼付剤を剥がした後の皮膚が紫外線に当たっても発症する。

予防としては、衣服、帽子、手袋などで貼付部位を覆うのが良い。
覆えない部分には日焼け止めを塗る。日焼け止めは「PA+++」で示される
UV防止効果の高いものを使用するのが望ましい。

ケトプロフェン含有製剤では、接触部位だけではなく
全身の自家感作性皮膚炎、再使用での症状再発例、終了数ヶ月後の過敏症例が
あるため剥がしてから時間がたっても注意が必要である。

ケトプロフェンはオキシベンゾン(成分表で◯◯ベンゾフェノン)と
交叉感作性が報告されているので、オキシベンゾンを含有しない
日焼け止めを選択する必要がある。
日焼け止めを選ぶ際には裏の成分表をチェックしよう。

妊婦への投与注意

ケトプロフェン含有製剤は基本的に妊婦には禁忌で理由は次の通り。
•ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合
 胎児動脈管収縮が起きることがある
•妊婦(妊娠後期以外),産婦,授乳婦等に対する安全性は確立していない
•ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠中期の女性に使用し,
 羊水過少症が起きたとの報告がある

アスピリン喘息

酸性NSAIDsなどに誘発される喘息は、貼付剤でも発症する。

喘息の既往がある人は十分注意する必要がある。

貼り方

湿布で最も多い副作用が「かぶれ」である。
かぶれ対策としては、皮膚を清潔にして、汗などを拭き取って貼る。
また、入浴後30分から1時間くらいたって汗がひいてから貼ることを勧める。

かぶれやすい人はガーゼを当てた 上から貼るとかぶれにくくなる

湿布を剥がれにくくする工夫として、下図のように
適当に切って貼るのが良い。

薬日新聞2005:3:16
出典:薬日新聞2005年3月16日

貼付回数の目安と匂いについて

貼付回数も効き目の長さなどにより異なる。以下の表にまとめた。
何回も貼り替えるのが面倒な方などは回数の少ないものを
選ぶと良いだろう。薬選択の参考まで匂いも記載した。

貼付回数の目安

効果の程度

各湿布剤がどの程度痛みを抑えるのか知りたいと方もいると思う。
結論から言うと、第2世代の湿布剤はどれもさほど効果は変わらない。

しかし、インドメタシン含有製剤とベンジダミン含有製剤は
プラセボと効果が変わらない(つまり他の第2世代湿布薬に比べて効果が劣る)
という論文があるのでキッチリ効果を求める人は
その2つは除いて選ぶ方がよいだろう。

念の為、以下に詳しい結果を記す。

各成分の効果の比較については、以下のコクランレビューが出ている。
topical nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) safe and effective for acute pain relief in adults

上記レビューの結論を抜粋する。
ねん挫やスポーツの怪我など急性の痛みに対して
非ステロイド系消炎鎮痛薬の貼付剤は安全かつ有効であるとのべらている。
研究のアウトカムは急性の痛みに対して、50%程度の痛みの軽減が
達成されたか否か。

6~14日の治療期間でプラセボと比較して、
NSAIDsの貼付剤は痛みの改善率が明らかに優れていた。

直接比較ではなく、間接的な比較ではあるが
ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカムは
ほぼ同等の効果である。
各薬剤のNNT(Number Needed to Treat:必要治療数)は次の通り
•ジクロフェナク NNT=4(3-5) 
•イブプロフェン NNT=5(4-8)
•ケトプロフェン NNT=4(3-6)  
•ピロキシカム NNT=5(4-7)
•インドメタシンとベンジダミンはプラセボと比べて有意差なし

•副作用による脱落はほとんどなかった
•皮膚症状の副作用に関してはプラセボの貼付剤と大きな差はなかった

Cochrane Database Syst Rev 2010 Jun 16;(6):CD007402

因みにやや古いが、英国医学雑誌からもシステマティックレビューが出ていて
その結果を以下に抜粋する。

Quantitative systematic review of topically applied non-steroidal anti-inflammatory drugs.
BMJ 1998 316: 333-338.

•軟部組織の外傷、捻挫等の急性疼痛
 1週間後約50%の疼痛減少がアウトカム→NNT3.9
•変形関節症、腱炎等慢性疼痛:2週間後約50%の疼痛減少をアウトカム→NNT3.1
(いずれもプラセボ対照)
(※論文内のFunnel plotより小規模で効果の少ない試験が欠けているので、
 出版バイアスがあるが、割引いても効果ありといえるだろう。
急性疼痛、慢性疼痛に湿布は効果があり副作用も少ないという結果である)

サブ解析の結果は次の通り
ケトプロフェン(モーラス) NNT2.6で最も低い(即ち効果が高い)
インドメタシン(インテバン、カトレップ)はプラセボと有意差なし
この当たりは先に述べたコクランレビューと同様である。

飲み薬と湿布はどちらの方が効果が優れているか?

上記British Medical Journalのレビューの内、
5つの臨床試験が内服NSAIDsと外用NSAIDsを比較している。

内服NSAIDsの方がやや効果に優る傾向が軽度にあったが、
基本的にはほぼ差がなかった。副作用に関しても大きな有意差なし。
いずれも長期的効果は期待できなそうである。

従って個別の患者で対応を考えるのが妥当といえるだろう。
(潰瘍リスク、アレルギー、使いやすさ、過敏症、好み 等によって)

有効期間について

短期間:4週未満のランダム化比較試験でNSAIDsの効果を評価しているものがある。

BMC Musculoskeletal Disorders 2004, 5:28

NSAIDs局所投与はプラセボよりすくぐれていたのは2週間のみ。
3、4週ではプラセボ以上のベネフィットはないとする研究である。
第1週のNSAIDs局所投与は経口NSAIDsより劣り、
皮疹、痒み、熱感のような 局所副作用が多かった(反応率 5.29, 1.14 – 24.51)
従って、局所NSAIDsの長期使用を支持するデータはなさそうである。
漫然と長期使用している人が多く見受けられるが
適宜痛みの程度を評価して減らすタイミングを伺うことが大切である。

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