抗認知症サプリメント フェルガードについて

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

フェルガードという認知症のサプリメントについて患者に質問を受けたので
調べておいて欲しいと薬剤師仲間に依頼を受けたので
メモ程度に調べたことを記録しておく。

因みに筆者はフェルガードの製造販売会社との関わりは全くない。

まずは、フェルガードの有効成分から。
製造販売元である株式会社グロービアのホームページに記載がある。

各成分の一般的に言われる期待できる作用を記載しておく
•フェルラ酸(フリー)/フェルラ酸包接体
フリーラジカル作用、慢性炎症、アミロイドベータの神経毒性を抑えるとされる
フェルラ酸そのものの効果については以下の文献をご参考までに。
J Clin Biochem Nutr. 2007 Mar; 40(2): 92–100.Published online 2007 Mar 14. doi:  10.3164/jcbn.40.92

•ガーデンアンゼリカ抽出物/バコバモニエラ抽出物
アセチルコリンエステラーゼの活性低下
(因みに認知症薬として有名なアリセプトはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤)。

•緑茶抽出物(EGCG)
抗がん、抗菌作用など。カテキンの中で最も抗酸化力が高いとされる。
in vitroでVCの25倍以上の抗酸化力が確かめられている。
がん細胞のアポトーシス誘導
他のカテキン(エピカテキンなど)と複合で働くという説もある。
単体での試験は米NCI(National Cancer Institute)や過去の癌学会で発表があるよう。

•ビタミンC/ビタミンE
抗酸化物。ビタミン群に関する説明は他に譲る。

動物実験のデータが海外でいくつかあるが、
医学文献のデータベースであるMEDLINE(PubMed)で検索したところ
臨床試験は日本及び中国がメイン。
欧米は基礎実験はあるものの臨床文献がなさそう(2015/7/15検索)。

日本の試験は木村医師と金谷医師がほとんどの論文に関わっている。
エビデンスレベルの高い手法で行われた試験はまだ存在しない。

現状ある試験論文の結果を抜粋していく。

文献1
Effect of ferulic acid and Angelica archangelica extract on behavioral and psychological symptoms of dementia in frontotemporal lobar degeneration and dementia with Lewy bodies.Chimera T1, Hayashida H, Murata M, Takamatsu J.

ピック病(前頭側頭型認知症)及びレビー小体型認知症における
フェルラ酸とガーデンアンゼリカ抽出物の効果を検討した論文

20名の患者が対象。オープンラベルで、フェルガード3g/日を服用してもらい
4週間経過観察。4週間後ベースラインからの変化を
Neuropsychiatric Inventory(NPI)スコア法にて評価した試験。

※NPI
介護者による精神症状を評価するための方法。
妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の
10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価する。
点数が高いほど頻度、重症度が大きいことを示している。
各項目のスコアは頻度×重症度で表され(1~12点)、10項目で合計1~120点となる。
(エーザイ www.aricept.jpより説明を抜粋)

これによると主観的評価ではあるものの、
妄想、幻覚、興奮、攻撃性、不安、いらいら、異常行動が改善し
20名中19名でスコアが良くなった。
目立った副作用は観察されなかった。

文献2
フェルガードで今の所ある程度まとまった情報が以下のpdfファイル。
http://www.glovia.co.jp/topics/pdf/Diet_and_Nutrition_in_Dementia_and_Cognitiv_Decline.pdf
Diet and Nutrition in Dementia

この中で様々な試験について触れている。いくつか抜粋していく。

動物実験(マウス)でフェルラ酸とガーデンアンゼリカ抽出物が
糖代謝及び脂質代謝を改善することが分かっているので
臨床応用を探るため人において、
レトロスペクティブスタディ(過去にさかのぼってデータを集めて分析)と
プロスペクティブスタディ(前向き将来に向かってデータを蓄積して分析)を行った。

•レトロスペクィブスタディの結果
21名の患者中17名 服用を開始して24週間後のベースラインからの差を検討
総コレステロール、HbA1c、HDL、LDL、TG を評価。有意に改善がみられた。

•プロスペクティブスタディ
6名の健常人で調査ー方法はオープンラベルでフェルガードを服用させ
8週間後に上記同様の項目を調査
全ての数値で有意な改善を認めた(下表)

フェルガード

•ANM176™(フェルラ酸とガーデンアンゼリカ抽出物の混合製剤)で行った臨床試験
ANM176を9ヵ月間にわたり使用、認知機能の改善や進行抑制に有効であるか確認

アリセプトを使用していないか、
使用している場合は使用後1年以上が経過し効果が感じられなくなった
幅広い進行程度のアルツハイマー病患者143名を対象とした。

1日2回朝と晩にANM176を300mg服用し、開始時、3ヵ月後、6ヵ月後、9ヵ月後に
日本語版ADAS-jcog テストで記憶や認知を評価。
ANM176服薬遵守した患者は87名で、その結果は以下
1. 軽度の患者ほど効果があり
2. アリセプトを使って1年以上経った人より、使っていない人ほど効果があり
3. アリセプトを使い始めてから1年以上経過すると全員が
  ADAS-jcog得点が改善することはないが
  ANM176TM を併用した場合の4割強の9ヵ月後は開始時と同じか改善

※ADAS-jcog
Alzheimer’s Disease Assessment Scale-cognitive component-Japanese version
認知機能を評価するADAS-cogの日本語版。単語再生、口頭言語能力、
言語の聴覚的理解、自発話における喚語困難、口頭命令に従う、手指及び物品呼称、
構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力の項目より評価する。
得点の範囲は0~70点(正常→重度)である。(エーザイホームページより抜粋)

ポイントをまとめていくと
•動物実験:フェルラ酸単独で、アルツハイマー性の変化の進行を抑制
•日本でもアルツハイマーに対してANM176の臨床試験が、公開
•フェルガードは主にレビー小体型認知症とピック病(前頭側頭型認知症)に使用され、
 効果を発揮する可能性がある
•フェルラ酸200mg+ガーデンアンゼリカ20mg/1包を服用して、48週間経過観察
 30%強で言語機能・判断能力・他人に対する思いやりなど人格面で改善
 有意な改善70%超(盲検化なしかつ症例数が少ないという問題はあるが)
 全く変化がなし1例
 興奮するためドロップアウト1名
•コレステロールや血糖値が改善する可能性もある
•パーキンソン症状に対する姿勢の改善・歩行速度の改善の可能性示唆
 レビー小体型認知症やピック病には有効な可能性

文献3
chuanxiong preparations associated with reduced stroke incidence compared to aspirin or no intervention in 2 additional low-quality trialsReference – Cochrane Database Syst Rev 2010 Jan 20;(1):CD006765

ブラインド化なしの試験で、脳卒中の一次予防効果を検討したコクランレビュー。
フェルガードではないが、フェルラ酸とテトラメチルピラジンを有効性分として含む
中国の伝統的薬chuanxiongを使用した5042名の患者を対象とした試験。

レビュー内の4415名(より質が高く調査されたグループ)における
ハイリスク群患者のクラスターランダム化試験では、
低用量アスピリン( 50-75mg)に比べて
脳卒中のリスクを低減させる可能性が示された。

オッズ比 0.56 (95%信頼区間 0.33-0.96)
NNT 100-1691 (assuming stroke in 1.5% of aspirin group
1次予防なので評価はなんとも言えないが、効果があるのかちょっと微妙。
患者に選び方にバイアスが入る可能性、調査者の利益相反がある上に
試験方法の記載が余りにも不明瞭であることから
結果を信頼できるとは言い切れない。

さて、ここまで情報を得て有用性がありそうな雰囲気であるが、
一応問題点をあげておくと、
•オープンラベルかつ対照群を設けていない試験であるため
 プラセボ効果を排除できない
•サンプルサイズが小さすぎる
 対象疾患の全患者を代表するには症例数が少なすぎる。
 かつ1つの外来施設のみでの試験である
ことがあげられる。

もし有用性が広まり資金的問題が解決して、協力施設が出てきたら
二重盲検でサンプル数を大きくした試験が行われるのだろうか。
そうなれば、より質の高いデータが出る可能性もある。

そうやって、客観的に評価する手法に切り替えた途端
有意な効果が見いだせなくなった例は沢山あるしその逆もあるので何ともいえないが、
今後の研究次第で面白くなりそうというポテンシャルは感じる。
それで良い結果が出たらとてつもなく売れるだろうなぁ。

そうした質の高いものが出るまでにはどうしても時間的ギャップがあるので、
こうした小症例数の研究も大切だし、
気になるなら試しに使ってみても良いような気はしている。
多くの医療機関で扱いがあるようなので、
取扱い施設での意見も聴いてということにはなるのだろう。

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