冠攣縮性狭心症

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

僕の家系はどうも心臓血管系の疾患リスクが高いような気がしている。2人の祖父はそれぞれ心室細動と大動脈瘤で他界しているし、父は軽度の狭心症をもっている。今は薬1種類のみで、まったく発作もなく元気な父であるが一度入院検査となった時には薬の副作用でひどい頭痛に悩まされた上に、薬を5種類ほど飲んでいるにも関わらずしばしば発作を起こし本人が凄く不安そうだったのを今でも覚えている。では、なぜ今は発作がないのかという話は後述するが、まずは狭心症という疾患と治療について概観していこう。

狭心症とは

心臓に対する血液(酸素)が足りなくなって胸あるいはその周辺が苦しくなる疾患

症状

痛みが強く出るようで発作時の不安が強いのは身近で見ていると
何となく伝わってくる。その「痛み」だが、次の特徴がある。

痛みの部位の多くは胸の前の部分にある胸骨の裏側の範囲
 かなり狭い範囲,例えば指で点を指し示すような
 限局された部位に起こる痛みはまずない
心臓から出る痛みにもかかわらず,喉,下顎,左肩,左腕や
 胃のあたりが痛む場合もある
•なんとも言い難い不快感,絞めつけられるような,
 押しつぶされるような,焼きつくような,
 または息のつまるようななどといわれる

狭心症の2タイプ

1.労作性狭心症
名前の通り。運動や仕事など体を使う時に起きる狭心症で、冠動脈が動脈硬化によって狭くなることによって生じる
労作を中止して安静にすると,心臓が必要とする分と心臓へ流れる血液のバランスがとれるため症状はなくなる持続は数分,多くは5分以内で,長くても15分まで.逆に言うと,15分以上痛みが続く場合は狭心症以外の病気を疑う

2.冠攣縮性(異型)狭心症
・普段は狭くない血管が痙攣収縮して,この時だけ心臓への血液が足りなくなる
・多くは夜間から午前中のうちに発生.
 特に多いのは夜中から明け方で,大部分は労作とは無関係.
 副交感神経優位となったときに、冠動脈が攣縮・狭窄するために
 発生しやすく、副交感神経が優位となる早朝(4時~6時)に発作が多い。
•冠攣縮が起こらない限りは,血管は狭くないので心臓への血液は十分に保たれている.従って労作性狭心症と異なり,日中にいくら運動や仕事をしても胸が苦しくなることはない
•典型的には,夜中から明け方に急に胸が苦しくなって目をさます
•この冠攣縮は,数分,長くても15分以内に自然にとれてきて,
 心臓への血液の流れが元に戻り胸の症状は消失する.
•このタイプの胸痛も長く続かない.
・欧米と比較して日本人に多い

因みに父はこの2であり、確かに夜中に症状が出ることが多かった。
それがたまに出るものだから夜が来るのが怖くなるわけである。

冠攣縮性狭心症

これは冠動脈につまりがないので、
基本的には
・就寝前の血管拡張剤の服用(朝方などに冠動脈が収縮するおそれがある)
・コレステロール値を下げること
・よく水分を補給すること
が対策となる。
血液の循環を促進させる平滑筋の痙攣(けいれん)を起こしやすいこともあるので
・煙草を吸う人 ・ストレスの多い人 ・コレステロールの多い人 は注意

同疾患のガイドラインを見ていくと次の対策が勧められている。
1、禁煙ー喫煙がリスク因子であるため
2、血圧管理ー冠攣縮性狭心症との関連は明らかではない
       β遮断薬は発作誘発可能性あるので注意。
3、適正体重維持
4、耐糖能障害の是正ー耐糖能障害が多いことが報告されている。
  食事療法、運動療法が予防に有効
5、脂質異常症の是正ースタチン投与が予防に有効である可能性
6、過労、精神ストレスの回避ーメンタルストレステストで発症誘発の報告あり
7、節酒ー本疾患における突然死は深酒の翌朝におきやすい

薬物療法

硝酸薬、カルシウム拮抗剤(血管拡張)、ニコランジルが治療の主軸とされる。

•硝酸薬
クラス1:発作時の舌下投与又はスプレーの口腔内噴霧又は静脈内投与
     →ニトログリセリンや即効性硝酸イソソルビドなどがⅠstチョイス
クラス2:予防のため長時間作用型硝酸薬の投与
     →しかし、継続的使用で耐性を生じる可能性があり休薬時間を置く必要あり。
     発作はだいたい夜間〜早朝が多い。発作出現状況を確認し、その時間帯に硝酸薬が作用するように投与時刻や投与量を決定。

•カルシウム拮抗薬
 ・第一選択薬
 ・種類や作用時間に関わらず、狭心症発作の予防に有効とされる
 ・カルシウム拮抗剤にも複数種類あり、ものによって
 •予後改善作用に差異があるようである

•ニコランジル
 ・カルシウム拮抗剤抵抗性の冠攣縮性狭心症に使われる
 •血圧、心拍数、心機能に対する影響が少なく、徐脈や血圧の低い場合も投与可能

•β遮断薬(狭窄があれば1や2などと併用。なければ単独投与はしない)
 血圧や心拍数抑制により心筋酸素消費量を低下させる
→酸素需要増大による心筋虚血を呈する病態に良い

以上が一般的な冠攣縮性狭心症のガイドラインで勧められていることである。

ガイドラインに勧められていることを守ってなお症状が出る場合

因みにタバコも吸わなければコレステロール値も高くなく
いわゆるリスク因子は少ないタイプにも関わらず発症するということもある。

父はまさにそうで、今まで薬を常用したことがなかったところからいきなり
血栓予防薬、カルシウム拮抗剤、硝酸薬など合計5種類の薬剤が処方された。

その後、入院を挟み病院にしばらく通ったのだが
発作の頻度は減らないどころか、血管拡張剤による副作用である頭痛がひどく
とてもではないが薬を続けられないと言い始めた。

そこで、実家を離れて暮らしている僕に相談が来たのである。
そこでこの病気に関して調査して、最初は上記の記載があった
ガイドラインを読んだ。確かに受けていた治療は正にガイドラインのそれに
沿っていた。その治療を受けて芳しくない人が目の前にいる。

なぜ、血管がけいれんして縮んでしまうのか

そもそも、なぜ血管はけいれんして縮んでしまうのか?

まず血管は常に収縮と弛緩を繰り返して、血液を運ぶ。
これは血管の壁にある筋肉、「平滑筋」の働きだ。
この平滑筋の中に、けいれんを起こす「スイッチ」(=Rho-キナーゼ)がある
通常ではこれが働くことはあまりないが、
ⅰ)喫煙者、ⅱ)ストレスが多い人、ⅲ)血液中のレムナントが多い人
はこれが働きやすいという。ⅰ)とⅱ)なら、その要因を取り除けば
良いという話になるが、ⅲ)はどうすれば良いかということになる。

レムナントとは何か

これは、血液中の脂質(中性脂肪、コレステロール)の一種であり、
血液中の脂質、中性脂肪やコレステロールを運搬する役割を担っている。
レムナントを多く含む血液を使って実験すると
レムナントが多い場合、心臓の動脈がけいれんして縮みやすくなるそうである。

血液中の「中性脂肪」の値が高い人は、「レムナント」が多い可能性が高い
ようであるが、例外も多い。レムナントは、通常中性脂肪やコレステロールを
運搬する仕事を終えたら消えてしまうのだが
血液中の中性脂肪値が高い人の中には、ずっと血液中に残っている場合があり、そういう方は血管がけいれんを起こしやすい、と考えられている。

(以下のサイトを参照。http://hobab.fc2web.com/sub2-lipoprotein.htm )

血管のけいれんを止めるにはどうすれば良いか

けいれんを止めるには、喫煙、ストレス、レムナントを排除するしかないのだろうか。けいれんして縮んだ筋肉をゆるめ、伸ばしてくれる「スイッチ」もある。
それが「NO」:一酸化窒素だ。実験室レベルでは、NOがなくて縮んでいた血管がNOを与えられることで広がり、血流が盛んに増えることが観察されている。
NOはもともと血管の壁から出ている物質でありゆったりとしたペースで適度に運動して、ほどよく血流を増やすと放出が促される。そもそも硝酸系の薬の代謝産物としてNOがあるくらいだから、効くことも想像できる。

運動以外に、血管を拡げてくれるものはあるか

これに関しては様々な実験が行われているが、
魚の油(EPA、エイコサペンタエン酸)を加えると、縮んだ血管が拡がることが
実験室レベルで観察されている。このことから冠攣縮性狭心症の予防に
オメガ3系脂肪酸が有効ではないかとして、試験を行っている医師もいる。

因みに僕はここまで調べてみたところで、オメガ3系脂肪酸自体は
特に体に悪いわけではない成分なので(むしろ良い報告の方が多い)、
きちんと製薬基準レベルで作られていて不純物処理、毒性検査、等量化などが厳密になされているメーカーのものを見繕って父にこれを含むサプリメントを継続的に飲んでみてもらった。

それが驚いたことに、全く発作がなくなってしまった。
1症例であれこれ言うのは何だが、しかしまあ驚きである。

余りにも発作がないので、5種類あった薬が降圧剤のみの1種になり
なお発作がないので薬で頑張っていたのは何だったのかなどと思ったものだ。

似たような症例がないかググったら同じことを複数症例で
示している医師がいた(以下)。
http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column2/41.html

しかし、ざっと検索したところエビデンスレベルの高い試験が見当たらなかった。あったら追記しよう。

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