「祈り」は病気に対して効果があるのか科学的に検証する

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「祈り」というのは病気の回復や健康維持のため、あるいは何かの目標達成のためなど、世界中の至る所で行われている行為である。僕自身も事業の成功を今年、湯島天神に祈りにいったところだ。

病気に関しては、中でも「執り成しの祈り」(自分が病人の身代わりになるのでその人を良くして下さいといった主旨の祈り、だと思う)がどれだけ効果があるのかというのは誰もが気になるところではないだろうか。誰しも、身近な人が病気になれば何とかと祈りたくもなるというものだ。

仮にその効果を科学の力で証明したとして、それが神の存在証明になるのかならないのかという疑問はさておき、客観的な手法で分析したらどうなるのだろうか。そんな研究が実は存在するのである。それも意外に多くある。執り成しの祈りを行った場合に予後がどうなるかを検討したものとして、多くの比較試験をまとめたレビューを紹介する。

Intercessory prayer for the alleviation of ill healthDOI: 10.1002/14651858.CD000368.pub3

この研究に組み入れられた患者総数はなんと7646名。

通常の治療 vs 通常の治療+執り成しの祈り

で比較を試みたのである。

結果として、死亡率に有意差なし。その相対リスクは1.00(患者数3389名、5つのランダム化比較試験より)。つまり本当にトントン。一般的な臨床的症状に関しても両者に差は見いだされなかった。その相対リスクは0.98(患者数2705名を含む、5つのランダム化比較試験より)。心血管ケアユニットへの再入院率も相対リスク1.00(4つのランダム化比較試験)と両群差がない。他の2つの試験でも、再入院数に関して有意差がないことが示された。

個々の試験を細かくみていくと、中には執り成しの祈りが良い結果を残しているものもあるが、大多数はそうではなく、科学的にも統計的にも執り成しの祈りに効果があるとは言えないという結果である。

白血病、心臓病、血液感染症、アルコール中毒、精神病、リウマチなどなど、様々な疾患に対して行われたこの取組みは結果として有意な効果を見いだすことができなかった。

手術後の合併症やその他の副作用について検討した研究があったのだが、合併症はむしろ祈りを受けた方が多く、祈りを受けていることを知っているグループと知らないグループで比較した時には祈りを受けていることを知らない群の方がやや手術後の合併症は少なかった。ただし、ここに多少の差があったからといって、ランダム化のプロセスが不明瞭な研究もあったりするのでどうこう結論することはできない。総合して言えば、祈りにベネフィットもなければ害もないというのが解析の結果である。

そういえば、ふと以前読んだ「ジャポニカの歩き方」という漫画を思い出した。その漫画で外交官や大使館の仕事が描かれていたが、特にラオスという国の描写でシャーマンが大きな影響力を持っているというところがあった。国によっては祈祷者が政治を動かしうるほど重要なポジションについているところもあったり、大きな力を持っているところもある。こういうネタについて科学的に、あれこれいうのも何だか抵抗あるなぁ。まあ書いてしまったのでこのまま残すのだけど。

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