口の乾き(口渇)への対策まとめ

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「口が乾く」、「水をよく飲む」、「食べ物が飲み込みにくい」、「口の中がネバネバする」、「味が分かりにくいことがある」、「口臭が気になる」、「舌がピリピリする」

薬を扱っていると、このような悩みは本当に良く聞く。在宅医療をしている歯科医師と話す機会があり聞き及んだところによればひどい場合は口渇が原因で薬はおろか食事もまともにとれない人も沢山いるそうである。医師も薬剤師も薬を出すは良いが、こうした現実がないかを気にとめておきたいものである。まともに飲めないのでは、治療の前提を根本から考え直す必要がでてくる。

今回は、自身の勉強も兼ねて口渇への対策をまとめていく。

口渇の原因

口渇は高齢者や更年期の方に多く、年齢の問題と思われがちだが、薬の副作用や栄養素の不足によって出るものが多い。口腔内乾燥で悩む人がとても多く、特に65歳以上では55~60%ほどの人が口腔乾燥を自覚しているそうである。通常、唾液は1日1.0L~1.5L分泌される。唾液分泌を担うのは、耳下腺、舌下腺、顎下腺からなる大唾液腺と、口唇や口蓋にある小唾液腺だ。

一般に、小唾液腺の機能は加齢に伴い低下するが、大唾液腺の機能は保持するとされている。唾液の9割は大唾液腺で分泌されるため、加齢が口腔乾燥の直接的な要因とは考えにくい

主な原因として、疾患、生活習慣や嗜好品、薬剤がある(表1)
表1 口渇の主な原因

表に列記したような原因から
•唾液分泌量の減少 •粘性の増加 •分布の異常 が起こり口腔乾燥(ドライマウス)となる。

口渇の原因となりうる薬剤はこんなにある

薬剤性の口渇は非常に多い。表2に口渇を起こしやすい代表的な薬剤を示す。添付文書に「口腔乾燥」「口渇」「口腔内乾燥」「口内乾燥」のいずれかの記載がある薬剤の成分名を抜粋した。
表2 口渇の原因となりうる薬剤

※臨床試験や市販後調査で5%異常の頻度でこれらの副作用が発現している薬剤については、高い方の発現頻度を%で付記した。処方頻度や副作用頻度が高い物を中心に列挙した。

この他に、メタンフェタミンや抗がん剤の副作用などで口渇を来すこともある。こんなにあるのかと驚かれるかもしれないが、本当に口渇を起こす薬剤は多い。表について説明を加える。

口渇を起こす代表的なものが「抗コリン作用」をもつ薬剤である。これには、向精神薬や排尿障害治療薬、抗アレルギー薬などが含まれる。抗コリン薬は腺分泌促進作用を持つムスカリンM3受容体を阻害する(平たく言えば、唾液が出る蛇口を締めているようなものだ)ため、高頻度で唾液分泌を低下させる。

降圧薬に関しては、服用でむくみが出ることがある。舌がむくむと動かしにくくなるため、唾液を十分に口腔粘膜へ行き渡らせることができなくなる

抗精神病薬と抗パーキンソン病薬の有名な副作用として、口唇ジスキネジア(口をもぐもぐさせたり歯を食いしばったりするなどの不随意運動)がある。これが唾液の粘性を高め、口腔内の不快感や乾燥感につながることもある。

唾液を飲み込む回数が減ると、物理的刺激による唾液分泌も減り悪循環に陥ってしまいがちだ。全身合併症を招く恐れもある。口腔乾燥は、重症化すると話しにくくなったり食べ物が飲み込みにくくなったりするなど、生活の質に大きな影響を及ぼす。また、舌痛や虫歯、歯周病、カンジダ症などの二次的な口腔内トラブルを引き起こしたり、乾燥した痰や食べ物の残りカスが気管にはりついて、誤嚥性肺炎を起こすこともある。

口渇に気付くためにどうすれば良いか

冒頭にあげた自覚症状(「口が乾く」、「水をよく飲む」、「食べ物が飲み込みにくい」、「口の中がネバネバする」、「味が分かりにくいことがある」、「口臭が気になる」、「舌がピリピリする」など)を確認するのが良い。自己モニタリングしても良いだろうし、医療者側からすれば自覚症状について聞き取り調査を行うのも良いかもしれない。自覚症状が「時々、少しある」「いつもある」と答えた患者は「ない」と答えた患者よりも 口腔乾燥の客観的評価方法である唾液湿潤度試験を行うと有意に口腔内の湿潤度が低かったとする研究がある。

服薬開始から数年後に口渇を発症することもある

口渇症状があることがわかったら、原因薬剤を服用しているかを確認する。特に口腔乾燥のリスクを高めるのが長期間の服薬と多剤併用。これらには注意だ。数年感問題なく服薬していても、加齢による薬の効き目や生理機能の変化がきっかけで口渇をきたすケースもある。

長期にわたり処方されている降圧薬や抗不整脈薬などは、患者にあったものが選択されており変更しにくい場合がある。まずは、口渇のリスクが高く、比較的中止しやすい頓服の睡眠薬や抗不安薬を整理していく方がやりやすいかもしれない。一般用医薬品でも、抗コリン作用を有する成分を含有するものが多くあるので注意が必要である。

特に関節リウマチ患者で口渇だけではなく目が乾いて目薬が手放せないという人はシェーグレンの可能性があるので受診を勧めた方が良い。

口渇への対策

考えられうる対策を以下の表3に示す
表3 口渇の対策
良く勧められがちであるが、安易に推奨しない方が良いケアも表4に列挙しておく。こうしたものは一時しのぎにしかならない。
表4 勧められがちであるが、安易に推奨しない方が良い口渇対策

水分摂取やうがい、ガムやあめ、レモン水や梅干しなどの酸っぱい食品にも一時的に唾液分泌を促す効果があるのだが、慢性化していたり唾液分泌が感染に抑制されている場合にはあまり効果が出ないこともある。改善しないからといってこれらを安易に過剰使用するのはお勧めできない。

表3の歯科医との連携の項目で触れた口渇の対策として良く使われる漢方薬を表5に列挙しておく。 
表5 口渇対策に用いられる代表的な漢方薬

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  1. 2016年 1月 13日

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