【脂質異常症】スタチン剤の副作用まとめ

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

前回はスタチン剤の「効果」にフォーカスしてまとめたが、今回は「副作用」に関して細かく検討していこう

横紋筋融解症

※この副作用の発症リスク等の数値記載は全てDynaMedより引用している。
スタチン剤の副作用で何と言っても重要なのが筋肉系の副作用である。特に横紋筋融解症は重篤な転帰を辿ることがあり注意が必要である。

横紋筋融解症は発症率が100,000人年あたり3.4人であるが発症したら致死率は10%でありかなり恐い。また、スタチンが強いほど横紋筋融解症の発症率は高くなるので,必要以上に低下率の高い薬は避けるべきである。因みにフィブラートを併用した場合は上記のリスクがスタチン単剤の時と比べて6〜10倍になる。

スタチン単剤では筋肉痛や横紋筋融解症リスクはプラセボと有意差がない(evidence level 1)が、リピトールは筋肉痛リスクがやや高く、クレストールは僅かに横紋筋融解症のリスクが高い可能性があるとされている(evidence level2 )

※ビタミンDが少ないとスタチン誘発性の筋肉痛が起こりやすいとする説があるが、ビタミンD低値でスタチン誘発筋肉痛のある患者でビタミンDサプリ摂取するとスタチン耐性を上昇させる可能性があるとする説もある(これに関しては研究の質が低いので、あまり深く考えても仕方がないかもしれない)。

横紋筋融解症の初期症状として、運動していないのに筋肉痛が起こる、筋肉に力が入らない(脱力感)、倦怠感、尿が赤褐色っぽくなるなどがあり、初期症状が出たと疑われる場合は即中止して医師や薬剤師の指示を仰ぐことが望ましい。

急性腎不全、白内障、肝不全、ミオパチー

予想外の副作用が増えるとする研究があったので、紹介する。
Balancing the intended and unintended effects of statins BMJ 2010;340:c2240
同試験の表を転載する。
意外な副作用スタチン
急性腎不全が約1.6倍、白内障が約1.3倍、肝不全が1.53倍、ミオパチーは男女差があり女性2.97倍、男性6.15倍である。これも害を及ぼすための必要人数(NNH)でみるとたいしたことなく見えるのかもしれないが、腎障害と筋肉系への副作用(ミオパチー)リスクはなかなかのインパクトがある。そして、白内障が増えるのはちょっと意外であり、NNHからすると侮れないような気がする。眼のレンズを透明に保つのにコレステロールが必要とする仮説はあるようだ。

腎不全はむくみなどが初期症状として出たりする。肝臓系の副作用は黄疸、倦怠感などが1つの目安となる。

糖尿病

スタチン剤の服用で糖尿病の発症リスクが上がるとする研究はいくつもある。in vitro(研究室レベル)ではスタチンによりインスリン分泌が低下するとする報告はあり、スタチンがインスリンの感受性を低下(インスリンの効きを悪く)させる可能性があることが示唆されている。

Lancet誌に掲載されたシステマティックレビュー(Lancet 2010;375:735)ではスタチンの使用で糖尿病の新規発症がOR 1.09(1.02-1.17)倍増えることが示されている。同じ事実で言い方を変えると255人の患者をスタチンで4年間治療した場合、スタチン非服用群よりも1人糖尿病の新規発症が多いという結果であった。またスタチンの力価が上がれば効果も大きいが害も多い

因みに、アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)とシンバスタチンがプラバスタチンよりも2型糖尿病リスクを高めるとした研究(BMJ 2013 May 23;346:f2610)がある。

プラバスタチン(メバロチン)服用群で2型糖尿病発症率は22.64/1000人年で
アトルバスタチン(リピトール)ではそれが1.22倍に増え (HR 1.22, 95% CI 1.15-1.29)
ロスバスタチン(クレストール)では1.18倍 (HR 1.18, 95% CI 1.1-1.26)
シンバスタチン(リポバス)では1.1倍である (HR 1.1, 95% CI 1.04-1.17)

分かりやすく言うと、リピトール22%、クレストール18%、リポバス10%と糖尿病の新規発症率が増えるということである。
因みに(BMJ 2014 May 29;348:g3244)でも、スタチンの力価が上がる程副作用リスクが上がるとする、上記研究と一貫した結果が出ている。

そもそもコレステロール低値自体が、糖尿病発症と関連するのかもしれないことを示唆する研究もある。ご参考まで。
JAMA. 2015;313(10):1029-1036
これに関してはまだ詳細は読んでいない。

認知機能低下

スタチン剤には記憶喪失や認知機能低下リスクがあるとする説がある。実際に、スタチンで記憶喪失を体験した人は意外に少なくない。そこで、スタチンと認知機能低下の関連について検討した研究が以下のシステマティックレビューであるが、統計的に認知機能を低下させるリスクは示唆されなかった。それどころか、認知症発生リスクでみるとスタチン服用群の方が僅かに少ない(Ann Intern Med 2013 Nov 19;159(10):688)。

まとめ

•横紋筋融解症とミオパチーに注意。単剤ならリスクはほとんどないが、起これば恐い副作用である
•腎不全、肝不全、白内障リスクが1.3〜1.6倍と微増するが可能性はとても低い
•糖尿病の新規発症率が約1.1〜1.2倍と微増する可能性がある
•記憶障害の症例報告があるものの、認知機能低下に関しては統計学的有意差はない
•スタチン剤の効果が強いものほど副作用のリスクが上がる

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 2016年 1月 10日

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »