【高尿酸血症・痛風】本当にフェブリクはアロプリノールより優位なのか

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フェブリク(フェブキソスタット)とアロプリノール(ザイロリック)というキサンチンオキシダーゼ阻害薬に分類される2種類の尿酸降下薬がある。前者の方が新しい薬なのだが、どうも世の中の処方トレンドをみていると尿酸コントロールが不十分だとフェブリクに切替えるケースが多いように思う。

周りの医師や薬剤師などのプロフェッショナルですら、フェブリクの効果がとても優れていると捉えている人が少なくない。しかしながら、心臓血管障害•痛風発作•肝機能障害•下痢•発疹が多くアロプリノールと比べて使いやすいとは言いがたい。先日も、フェブリク服用中に肝機能障害を起こし中止となった方に実際に会ったばかりである。

そもそもなぜ尿酸値を下げるのか

尿酸の体液中での溶解限界は6.4mg/dlと考えられており、過去の研究からも通常血液中の尿酸値は6mg/dl未満を目標値にするべきと考えられている。溶けきれない尿酸がナトリウムと結合すると針の形をした結晶となり関節に詰まって激痛を起こす。それが痛風である。7mg/dl以上で高尿酸血症と診断される。痛風は高尿酸血症に関連した疾患の代表。他に高尿酸血症に関連した疾患として尿路結石が有名である。従って、尿酸値を下げる大きな目的な痛風発作の予防となる。だが、以下で紹介するフェブリクの承認試験はいずれも痛風発作の予防を主眼とした試験ではない。

高尿酸血症は痛風発作の必要条件ではあるが十分条件ではない

尿酸降下剤による薬物治療が適用となるのは、繰り返す痛風発作や痛風結節、尿酸結石がありかつ非薬物療法や尿のアルカリ化が無効の場合である。尿酸降下治療は、痛風発作の防止や痛風結節の縮小、腎障害改善にも効果がある。痛風発作を繰り返すかは血清尿酸値の高さと持続期間に依存し、重症の痛風ほど予防投与期間が長くなる。

フェブリクとアロプリノールの薬物動態パラメータ比較

feb_allo_pk
スクリーンショット 2016-01-07 19.26.57
アロプリノールは、腎臓が悪いと体内に蓄積しやすく、まれに皮膚障害や血液障害、肝障害などを起こすことがある。一方、フェブリクは中等度までの腎障害であれば用量調節の必要がなくかつ尿酸降下作用が強いとメーカーは利点を強調しており、これが多くの医療プロフェッションの間での共通認識となっているように思う。

フェブリクの尿酸降下作用について

フェブキソスタットの承認申請試験であるFACT試験とAPEX試験において尿酸降下作用が検討されている。尿酸値が8.0mg/dl以上の痛風発作がある762名をフェブキソスタット80mg or 120mg/日の群と、アロプリノール300mg/日の群に割付け52週経過をみている。エンドポイントは血清尿酸値6.0mg/dl未満が達成されたか否か(エンドポイントが痛風発作の予防ではないことに注意)(Becler et al, N Engl J Med 2005;353:2450-61)
FACT_APEX
確かにフェブリク80/120/240はアロプリノールより尿酸降下作用があり、(目標値6.0mg/dl以下の達成率は上図)、40mgでアロプリノールに対して非劣性が示されている。しかし、同試験においてFDAより心血管系障害による死亡者が多いことが指摘されている(下表)。
FACT試験では死亡者、心血管障害が多い傾向にある
feb_心臓

急性痛風発作の頻度が高いと強いストレスで、心血管イベントと結びつくのかもしれない。尿酸結晶は冠動脈壁に存在するとの報告があり、心臓への影響がありうるとする説がある。頻度は低いが、致死的副作用として無視はできない。

この副作用報告を受けてCONFIRMS試験が追加実施された。
同試験の主な副作用は下表の通り。
CONFIRMふくさよう
アロプリノールも発疹や肝機能障害が多いが、フェブリクの肝機能障害率はそれを上回る。長期使用が前提の薬剤にしては非常に副作用率が高い。

因みに、先のFACT試験で注目されていた心血管系有害事象であるが、CONFIRMS試験では、
プラセボ群    0.75%
アロプリノール群 1.25%
フェブキソスタット群 40mg 1.32% 80mg 1.72% 120+240mg 1.83%
フェブキソスタットの用量が増えるほど増加することが示された。統計的に有意と言える程ではないが、FDAとEUは注意喚起を出している。なお、日本の添付文書では その他の副作用の項目に、「心電図異常(1%未満)および動悸(頻度不明)」の記載があるのみである。

海外でのフェブキソスタットの長期試験は2件報告がある。上記APEXとFACT試験に参加した被験者を対象としたEXCEL試験(使用期間が最長40ヶ月)と使用期間が最長5.5年の第2相試験であるFOCUS試験だ。

FOCUS試験の結果を紹介する。使用期間が最長5.5年の第2相試験(対照群なし40/80/120比較)
11659名が参加した260週(5年間)にも及ぶ試験。
トータルで47%の患者が痛風発作を起こした•フェブキソスタット 40mg/日 75%
•フェブキソスタット 80mg/日 47%
•フェブキソスタット 120mg/日 41%
5年の治療期間の中で、痛風発作への対処が必要とされる患者数は減った。
FOCUS_study
ただし、この試験のエンドポイントは尿酸値6.0未満を達成したか否かであって痛風発作を減らしたかどうかが主解析として検討されているわけではない。

〈注:効力および承認用量の違い
日本での承認用量は、通常維持量が40mg/日、最大60mg/日だが、欧州では通常維持量 80mg/日、最大120mg/日で、ほぼ日本の倍量であるのは、薬物動態の違いと平均体重の違いを反映したもの。海外の臨床試験データの80mg/日や120mg/日は、日本における40mg/日あるいは 60mg/日とみなすことができる。〉

尿酸濃度を下げる大目的は、痛風発作の予防である。心疾患が予防できて寿命が延伸できればもっと良いだろう。しかしフェブリクの商品試験の主たるエンドポイントは尿酸値6.0mg/dl未満である。これは尿酸値を下げることで痛風発作を予防できることを想定したためであると思われるが、現実にはプラセボとアロプリノールよりも急性痛風発作が増えている。従って痛風発作予防薬として有効性が高いとは言いがたいのではないだろうか。アロプリノールとの交差過敏性はないので、アロプリノールで過敏症がある人には選択肢として使いうる。

最後に表としてまとめておく

【参考】
以上の議論について良くまとまったページがあったのでリンクを貼っておく。
Efficacy and Safety of Febuxostat in Patients with Hyperuricemia and Gout
Ignacio Garcia-Valladares, MD,1 Tahir Khan, MD,1 and Luis R. Espinoza, MD2
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3383531/

Febuxostat: the evidence for its use in the treatment of hyperuricemia and gout
Angelo L Gaffo1 and Kenneth G Saag
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2899777/

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コメント

    • てつお
    • 2017年 6月 27日

    非常に分かりやすく、納得しました。
    フェブリクはアロプリノールより、尿酸値は下げるけど、痛風発作も起こしやすいんですね。リンクも貼り付けていただき、勉強になりました。

      • zakiyama
      • 2017年 6月 28日

      コメントありがとうございます。ご参考になれば幸いです。あと、関係はないのですが、コメントを受け見直したところ表と目次が見辛かったため修正致しました。

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