串カツの二度漬けはどれだけグロい行為なのか

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もし、食べかけの串かつが手元にあったらどうされるだろうか。あるいは食べかけのクラッカーがあったら。二度漬けしても良いものか、頭の中をよぎらないだろうか。マナーが良くて二度漬けしないなら、それで良いのだが、周りをみて誰もいなければ二度漬けしてしまうだろうか。

“The Implant” というコメディのSeason 4, Episode 19で「二度漬けは、お前の口を漬けているようなものだ “It’s like putting your whole mouth right in the dip!”」などというシーンをみたことがあるが、本当にそうなのだろうか。口の中のバクテリアが二度漬けした時に、浸け汁やソースにうつってしまうのだろうか。

こんな疑問に対して、Clemson大学の研究チームが二度漬けをしているその時に何が起こっているのかを調査した。それが以下の研究である。ここに、なにわ名物二度漬け禁止の真偽を検証するときが来た。
EFFECT OF BITING BEFORE DIPPING (DOUBLE-DIPPING) CHIPS ON THE BACTERIAL POPULATION OF THE DIPPING SOLUTIONJournal of Food SafetyVolume 29, Issue 1, pages 37–48, February 2009

単純にバクテリアの移動があるのかをテストするのは良いのだが、いくつかの疑問がある。まず、浸け汁の酸性度がどう結果に影響するのかという点。それについても検証されている。

クラッカーで実験

恐らく、何かを噛めば当然口の中のバクテリアは食べ物に移動するだろう。そこで疑問はその食べ物についたバクテリアが、どれだけソースまで移動するのかである。調査では、まず噛む前後のクラッカーを比較。クラッカーから水にどれだけのバクテリアが移行するのかを測定した。結果は、噛んだ後のクラッカーを漬けたときの方が、噛んでいないものと比べて1mlあたり1000以上も多くバクテリアが検出された。

続いての実験では、典型的なソースの酸性度(pH4,5及び6、弱酸性くらい)でテストを行った。試験液に浸けられた直後に噛まれたクラッカーとそうでないクラッカーを浸けた液のバクテリアを測定して、その2時間後にも同様に測定を行った。酸性度が高いほど、時間が経つ程にバクテリア数が減ることが示された。

ここで、気になるのは試験液ではなく実際の食事においてはどうかということだ。そこで、三種類のソースを比較した実験もある。サルサ、チョコレート、チーズそれぞれのディップである。粘度もpHもそれぞれ異なる。それぞれについて、噛む前後のクラッカーを浸けてみて、直後のバクテリアと2時間後のバクテリア数について同様の調査を行ったのである。

ホットサルサ(pH4)、チョコレートシロップ(pH5.3)、マイルドチーズ(pH6.0)の実験

まず、二度漬けなしの場合はバクテリアが検出されなかった。それが、二度漬けの後だとサルサは1mlあたり1000バクテリア、チョコレートとチーズの方は1mlあたり150-200バクテリアとサルサの1/5程度だった。しかし、2時間後にはサルサ内のバクテリア数はチョコレートやチーズと同じレベルまで低下した。因みに日本人が良く使う醤油のpHはおよそ4.7ソースは酢の添加量によって異なるが、pH2.9〜3.5くらいだろう。多くの微生物はpH4.0以下では生息できないので、ソースは(二度漬け後でも時間が経てば)かなり安全だろう。

こうした現象は基本的な食品科学の知識から説明が可能である。チョコレートとチーズはいずれも粘度が極めて高い。サルサはそれほどではない。粘度が低ければ低いほど、噛んだ後のクラッカーに触れた部分がディップに戻ってしまう割合が増える。それが共用ソースの入れ物に戻れば、二度漬けしている人の口の中のバクテリアが他の人にうつってしまう。

サルサは酸性度がより高く、また多くのバクテリアは酸性を嫌うので、2時間後にはバクテリアがかなり減っていた。つまり、粘度と酸性度がどのくらいバクテリアが残るのかに影響する重要な要素であると言える。因みに普通に考えれば分かることだが、チーズの方が沢山クラッカーにくっつきやすく早くなくなるので、サルサに比べれば二度漬けのチャンスは多くはこない。

では、二度漬けはやはり不衛生なのか

しかし、上記のようなバクテリアなど心配するに及ぶのだろうか。どこからか数百数千という違う種類のバクテリアやウイルスが常時、人の口腔内に生息していて、そのほとんどは無害だというのに。もちろん良くないのもある。肺ペスト、結核、インフルエンザ、レジオネラ、SARSなどに関しては唾液から感染することがある。主に咳やくしゃみで1分あたり1000〜3600ものバクテリアがまきちらされており、これらのバクテリア細胞を含んだ小さな飛沫は机やドアノブなどに留まり、それに触れた人がまた眼、鼻、口などを触って感染を起こすのである。だから、上記のような感染症を防ぐために、くしゃみをする時に口をおさえたり、マスクをしたりすることが勧められるわけだ。

それを踏まえると、二度漬けが感染の原因にならないとも言えない。ついでに書いておくと発症していなくても菌を持っている人はいるので、無症状だから二度漬けしても良いとは言えない。過去には無症状の腸チフス保菌者である家政婦が食事の準備をして、味見で二度漬けしたかくしゃみで入ったかは分からないが家族の集団感染が起きたなんて例もある。こんな極端な例は稀であるにしても、浸ける時に風邪やインフルエンザのウイルスをソースに移していないとも限らない。やはり二度漬けは良くなさそうだ。

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