医師に内緒にしてくれという患者

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

薬局で「余っている薬はありませんか?」と残薬確認をすることが、薬剤服用歴管理指導料の算定要件となって以来、この余った薬の確認と日数の調整を薬局で行うということは日常的な風景になったように思う。

ただ、そうしているとしばしば出くわすのが、余っている薬を確認した時に何百錠とか何ヶ月分とか残薬があるけれど医師にはいって欲しくないという方である。いわく、「出してもらっているものを飲んでいない罪悪感がある」「ばれたら怒られるのではないか」。日数の調整をするには、医師への照会を行うのが必須であるのだが、こういわれると薬局側としては弱ってしまう。もっとも、こんな細かい調整で医師の時間をとるのもこちらとしては心苦しく、お互い余計な時間を取られているようで抵抗があるのだが、こうした積み重ねが受診時に予め無駄な薬を出さないようになる結果につながるのだと思う。

「ちゃんと薬を飲めていますか」ということを確認しない人が多過ぎるのか、それとも患者側の理解度の問題で確認がとれないのか分からないが基本的生活像すら把握していないのではないかという処方はままある。以前、口渇対策のまとめ記事で書いたが、医療者はそもそも飲めていない人がいる可能性を考慮してコミュニケーションを組み立てることも考えた方が良いのだろう。

1日2食しか食べない人に、1日3回毎食後の薬を出し続けて何百錠とたまっている人。あるいは同様に1日2食しか食べないのに、1日3回毎食後で出されて食事摂らない時でも飲んで良いのかと聞かれること。とても多い。それくらい話している時間は無いのかなぁ。出す前に生活像を確認して配慮すればことは済むのだが。もっというと、余っていますかと聞いて「きちんと飲んでいるから」と言われても、自宅訪問をすると何百錠といった残薬が発見されるケースというのはざらである。余っている薬が発見されたり、患者が薬をきちんと飲んでいないことが分かると、すぐに薬を整理したり、医師に報告しなくてはと考えがちではあるが立ち止まって考えるべきことがある

それは、「なぜ、飲めていないのか」ということ。飲めていない理由があるのであれば、それを確認し、必要であれば剤形変更などを提案することもできる。それでも、飲んでもらえない場合は服用意義を説明して説得する。服用意義が見いだせないのであれば意図を医師に聞いてみる。こういうことで説明を求めると、面倒がる医師が多いのだが共通認識をもって各パートで説明できた方が治療がうまくいくと思う。もちろん丁寧に説明して下さる医師も多い。

ノンコンプライアンス、ノンアドヒアランスなどの理由と対策については下記2つの論考が良くまとまっていて分かりやすかった。
Mayo Clin Proc. 2011 Apr; 86(4): 304–314.
Ann Intern Med. 2012;157(11):785-795.
しかしまあ、アメリカの話ではあるが2〜30%にも及ぶ処方箋が調剤されないままに終わり、50%の処方薬は処方通りには飲まれていないという現実も凄い。そうした積み重ねで年間1000億$〜2890億$のお金が無駄になっているという試算も出ている。巨額すぎて単位を見間違えたかと思って二度見してしまうような数字だ。日本ではこれほどではないが、相当な無駄があるというのは各紙で報じられている。

飲めていない場合でも、次の2パターンで対策が少し異なるかと思う。

1、飲めていないのに状態が安定している
そういう場合は、きちんと飲んでかえって薬が効きすぎるリスクが生じる可能性がある。こうした点も説明した上で、ご自身から医師に状況を説明して頂く方がスムーズにことが運びやすいのではないだろうか。時間がかかって根気がいることかもしれないけれども。

2、飲めていないがために体調が悪化している
これは本当に飲んで頂くために説得を試みる。時に致死的な結果を招くことがある。たとえば、うっ血性心不全の患者が利尿剤を正しく定期的に飲まなかったがために入院を繰り返す例などは沢山ある。処方通りに飲まないことにより、年間約125000人、全入院例の10%程の死者が出ていると上記研究の著者はコメントしている。

患者から「薬剤師から医師に言ってほしい」と依頼されることもある。そういう時は、FAXなどの文書で送ったり、電話で確認をとったりする。いずれにしても、その記録は文書か薬歴として残すのが必須である。また、患者が言い出せなかった状況についても一言申し添えておくとよいのではないかと思う。今後のコミュニケーションを築く上で大切な情報であるし。あくまで、患者が罪悪感をおぼえないようにするフォローが大切になってくる。

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