無駄な医療をやめる

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始めてきた方は「薬と健康のホンマでっかな情報発信局とは」をお読みください。

薬漬け医療や過剰診断の問題は昔からある。

過剰診断。ない病気を誤ってあると診断してしまう。

それで治療を行っても効果がないばかりか、副作用が問題になる。
多くの場合、検査や診断の精度は100%ではないからやむを得ない部分もある。

そういう限界を知らない素人はMRIやCTをとったから絶対分かるとか誤解しがちなのだが、そうではない。
何かの限界を知っているか否かというのはプロと素人の大きな差だと思う。

さて「無駄な医療」に話を戻すと
医師がストライキした地域で死亡率が減った疫学研究があるとか
医療は不要だとかいう説もある。

僕自身は医療不要説を唱えるつもりはないが、無駄な医療は避けたい。

栄養や食事で治せる病気なら薬は使いたくないし、
実際多くの生活習慣病は栄養で予防が可能だ。

そんな中、2012年からアメリカ内科医学委員会が創設した
ABIM財団が「Choosing Wisely」というキャンペーンを行っている。

60以上のアメリカの専門機関が、無駄であるばかりでなく、
有害でさえありえるような治療を、一覧にして示そうというものだ。

直訳は「賢く選択する」言い換えれば「不要な医療をやめる」とも言える。
医師が主導して無駄な医療を減らし、ひいては無駄な副作用や医療費を抑制しようと。

1つ1つの項目を見れば、一般論とするのは無理があるものも存在するが、
現行医療・予防医学などの是非を問うたたき台としての価値は大きいと思う。
こういう考えを基に患者サイド及び国のお金と時間の負担が減り
医療職と患者のすれ違いや誤解が減らせたら患者、医師、行政の三方良し。

検査会社、製薬会社、医療機器メーカーの利益は減るけど。
物事には常に表裏があるとうこと。

Choosing wiselyは今や世界に拡がっていて、
先日はBMJ(英国医学雑誌)の記事に英国に波及したと記事が掲載された。日本にも普及している。
最近ポリファーマシー(多剤併用)問題への取組みは進んでいるものの、過剰な医療に対する罰則はほぼない。
過剰かどうか判断する基準や統計学的知識をもたない専門職が多いのも問題の一端かもしれない。
患者側の意識向上もさることながら、処方権を持つ医師への普及が大切だろう。因みに発祥元のアメリカでも2割強の医師が知っているに過ぎないよう。
こういう情報は医療不要論につながりやすい側面もあるので、
取扱いには注意したいが、良い方向に普及すれば良いと思う。

(参考)
Wikipedia 無駄な医療ー下の方にリストの一部があるー
http://ja.wikipedia.org/wiki/無駄な医療
キャンペーン元のホームページ
http://www.choosingwisely.org

※リストの例を列挙しておく
自分が受けた医療に当てはまるものはないですか?
アメリカ家庭医学会
副鼻腔炎に対し、症状が6日以降も続く場合や初診時より症状が悪化している場合を除き、機械的に抗生物質を処方すべきではない。
自覚症状のない低リスクの患者に対し、毎年のように心電図検査やその他の心臓検査を行う必要はない。
一般内科学会
インスリン投与を行っていない2型糖尿病患者は、指グルコース試験を毎日家で実施する必要はない。
自覚症状のない成人に対し、定期的な健康診断は不要である。
低リスクの外科手術であれば、術前の所定の検査は不要である。
平均余命10年以下の成人に対しては、がん検診は不要である。

アメリカ小児科学会
ウイルス性呼吸器疾患(副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎)と思われる場合は、抗生物質を投与すべきではない。
4歳以下の子供の呼吸器疾患に対し、風邪薬や鎮咳剤を投与したり推奨してはならない。
頭部の軽い外傷に対し、CT撮影は不要である。
子供の単純な熱性けいれんに対し、CTやMRIなどの神経画像撮影は不要である。
日常的な腹痛の訴えに対し、CT撮影は不要である。
アメリカ老年医学会
認知症による行動と心理の徴候について、抗精神病薬を第一選択とすべきではない。
65歳以上に対し、HbA1cの7.5%未満達成のために薬物療法を行なうべきではない。ほとんどの場合は中程度の管理でよい。
高齢者の不眠症・興奮・譫妄に対して、ベンゾジアゼピンや他の鎮静催眠剤を第一選択とすべきではない。
無症候であれば、高齢者の細菌尿症に抗菌薬を用いるべきではない。
アメリカ外科学会
軽微・単箇所の外傷に対して全身CT撮影は不要である。
平均余命10年未満であり、家族や本人に大腸腫瘍の病歴が無い患者については、自覚症状がければ大腸癌検査は不要である。
病歴や健康診断結果において目立った特徴のない外来患者に対し、入院時や手術前の胸部X線撮影は不要である。
アメリカ麻酔科学会
癌が原因ではない慢性痛に対しては、オピオイド系鎮痛剤を第一選択としてはならない。
癌が原因ではない慢性痛には、大きなリスクや費用になる不可逆的となるような治療は行わない。
アメリカ神経学会
頭痛に対し、脳波測定は不要である。
アメリカ耳鼻咽喉・頭頸部外科学会
突発性難聴に対し、頭部CTは不要である。
急性外耳炎に対し、合併症が無いのであれば経口抗生物質を処方すべきではない。
急性副鼻腔炎に対し、合併症が無いのであれば画像撮影は不要である。
アメリカ精神医学会(APA)
適切な初期評価および経過観察が行われていない患者に対し、抗精神病薬を処方してはならない
二種類以上の抗精神病薬を継続的に投与してはならない
認知症による行動と心理的な症状の治療として、抗精神病薬を第一選択としてはならない
成人の不眠症に対し、最初の治療介入として抗精神病薬を継続的に処方してはならない
児童と青年に対して精神障害でないのならば、最初の治療介入として抗精神病薬を継続的に処方してはならない
アメリカ頭痛学会
片頭痛の基準を満たすが容態が安定している患者に対し、神経画像研究は不要である。
頭痛に対し、MRI撮影が可能な状況であれば、緊急時を除いてCT撮影は不要である
頭痛に対し、OTC鎮痛薬を長期・頻繁に用いることは推奨できない(薬物乱用頭痛)。
アメリカ腎臓学会
徴候や症状のない平均余命の少ない患者に対し、ルーチン的がん検査は不要である。
高血圧・心臓病・慢性腎臓病(CKD, 糖尿病を含む)の患者に対し、NSAIDsの処方は避けるべきである

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