Q ピロリ除菌の薬を終了したら普段飲んでいる胃薬をすぐに再開しても良いですか?

Pocket
LINEで送る

始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

ピロリ菌除菌療法を1週間終えた後に普段飲んでいる胃薬を即再開して良いものかと疑問を持つ方は多い。ピロリの除菌を行う人で、普段胃酸の分泌を抑える薬を飲んでいる人は多いのである。こうした薬は、除菌直後に再開してダメということではないが、除菌判定2〜4週間前に中止しないと除菌判定が出来なくなる可能性がある。再開するのは良いが、その点に留意して判定予定日の2週間前くらいには止めるべきである。

【解説】
ピロリ菌除菌判定に使われる方法として、もっとも簡便かつ良く使われているものが尿素呼気試験である。下記の表をみても、尿素呼気試験の診断能が血液検査、便抗体検査、生検などに比べても比較的優れていることが分かる。何より検査の害が少ない。
pylori_diagnosis
Am J Gastroenterol. 2006 Apr;101(4):848-63.
問題なのは、プロトンポンプ阻害薬を服用中に尿素呼気試験を行うと偽陰性率が3〜40%高まることである。つまり実際は除菌できていないのに、できていると判定されてしまう可能性が高まってしまうということだ。何故かといえば、同薬剤にはピロリ菌に対する静菌作用があるからだ。

ピロリ菌除菌判定に汎用されている尿素呼気試験診断薬のユービット錠 100 mg の添付文書に以下の記載がある

※感染診断実施上の留意事項:
オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等のプロトンポンプインヒビター(PPI)、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、テトラサイクリン等の抗生物質、メトロニダゾール、ビスマス製剤及び抗ウレアーゼ活性のあるエカベトナトリウム水和物等のヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤の服用中や中止直後では偽陰性になる可能性があるため、除菌前及び除菌後の感染診断の実施に当たっては、当該静菌作用を有する薬剤投与中止、又は終了後 2 週間以上経過していること。

※除菌後の感染診断(除菌判定):
除菌判定については、除菌治療薬剤投与終了後 4 週以降の時点で実施すること。」

一例として、血清学的方法または内視鏡生検によってピロリ菌感染が確かめられ、尿素呼気試験で陽性と判定されている93名の患者の研究がある。消化不良や逆流性食道炎症に対して、ランソプラゾール30mg/日を4週間使っていた患者において33%が尿素呼気試験陰性、ランソプラゾール服用終了後1週間で3%で陰性、ランソプラゾール服用終了後2週間で100%が尿素呼気試験陽性となった。つまり、服用中に検査を受けると偽陰性率が3割以上高まるわけである。
Ann Intern Med. 1998 Oct 1;129(7):547-50.

具体的に検査前に中止すべき静菌作用のある薬の代表例と服用中止時期は以下
•ビスマス製剤や抗生物質:28日以上前に中止が望ましい
•プロトンポンプ阻害薬:7-14日以上前
•H2ブロッカー(ガスターなど):24-48時間以上前
出典は以下
Am J Gastroenterol. 2007 Aug;102(8):1808-25
N Engl J Med. 2010 Apr 29;362(17):1597-604

 

胃に関する記事

① Q,胃酸を抑える薬をずっと飲んでいて大丈夫?
② Q,ピロリ菌の除菌は本当に胃がんの予防になるのですか
③ 胃酸分泌を抑える薬ー強い薬から弱い薬へ切替え減らしていくのは正しいかー
④ Q ピロリ除菌の薬を終了したら普段飲んでいる胃薬をすぐに再開しても良いですか?
⑤ 痛み止め(NSAIDs)はどのくらい胃腸障害を起こすか
⑥ 胃を全摘しているのに、胃酸を抑える薬を飲んでいた人の話
⑦ PPI(胃酸分泌抑制薬)で認知症発症が増えるのか

 

↓ ↓ ↓この記事に共感した、面白かったらこちらをクリック!
dqranking  dqmura

 ご案内

講演、取材についてご相談、お申込み

薬についてのご相談

薬局のお悩みについてご相談

↑トップページに戻る

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Translate:

アーカイブ

ar

おすすめメディア集

hymkbanner

セールスが苦手だからこそ、出来る!作れる!売り込まないセールス設計とは、お客様から選んでいただける体制を作れればいい。その体制は、あなたのビジネスの「強さ」と「違い」を作り出し、活かすことで構築できる。その構築方法をお伝えしています。

ファーマシストフロンティア

私も連載している人気マガジン。広告によって編集内容が左右される従来の雑誌とは一線を画し、実相を探求したウェブマガジン。必要とされる薬剤師になるための必読書、それが『ファーマシストフロンティア』です。

お問い合わせ

インバウンド003

facebookページ(いいねを押していただけると励みになります!)

PAGE TOP
Translate »