【骨粗鬆症の薬】ビビアント(バゼドキシフェン)とエビスタ(ラロキシフェン)

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以前エビスタ(成分名:ラロキシフェン)について書いたが、比較対象として引き合いに出される2010年に薬価収載された比較的新しい薬、ビビアント錠(成分名:バゼドキシフェン)について触れていく。適応はエビスタ同様「閉経後骨粗鬆症」であり、1日1回20mgを経口服用する。

因みに骨粗鬆症は、「骨強度の低下を特徴として、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義され、日本国内では、約1200万人の患者がいると推定されている。そのうち約900万人は、閉経により女性ホルモンのエストロゲンが減少することでおこる「閉経後骨粗鬆症」の女性患者である。60歳以上の女性の3割以上が罹患しているとされる。

骨粗鬆症の治療薬としては、ビスホスホネート製剤をはじめビタミンD製剤、ビタミンK製剤、カルシトニン製剤、エストロゲン製剤などに加え、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)が汎用される。最近ではテリパラチドやデノスマブなどの注射製剤もある。

ビビアントはエビスタと同じくSERMである。閉経後骨粗鬆症には、エストロゲンの補充療法が有効とされるが、エストロゲンの投与は不正出血や乳房痛を招きやすく、長期使用で発癌リスクが上がる(特に乳がん)という懸念が指摘されていた。一方、SERMは、骨に対してはエストロゲンと同じ作用を有するが、子宮や乳房に対しては逆の作用を示し、乳癌の発生率を僅かに低下させるなど、エストロゲン製剤のデメリットをカバーできるというのがウリである。バゼドキシフェン、ラロキシフェンのいずれも1日1回1錠の服用で済み、ビスホスホネート製剤のように食事の影響を考慮する必要がないのは楽。

製造販売会社であるファイザーのプレスリリースによれば、

1万人以上の女性が参加した海外での第3相臨床試験では、バゼドキシフェン投与により脊椎の新規椎体骨折の発生率が、プラセボ群に比べて42%、有意に低下した。また、この試験の事後解析の結果、高リスク集団においては、同薬が非椎体骨折の発生率をプラセボに比べ50%、ラロキシフェンに比べて44%、それぞれ有意に低下させたことが確認されている。」

ということである。何となく良さそう。でも、僕がこうしたリリースをみて、疑問に思うことは沢山ある。どんな患者に?どんな方法で比較した?お互いの患者群の特徴は似通っている?被験者の数は?などなど。そういったことは、その第3相試験の原著論文(以下)に書いてある。

J Bone Miner Res. 2008 Dec;23(12):1923-34.Efficacy of bazedoxifene in reducing new vertebral fracture risk in postmenopausal women with osteoporosis: results from a 3-year, randomized, placebo-, and active-controlled clinical trial.Silverman SL1, Christiansen C, Genant HK, Vukicevic S, Zanchetta JR, de Villiers TJ, Constantine GD, Chines AA.

まず、論文は55歳〜85歳の骨粗鬆症のある閉経後女性に対してバゼドキシフェンを1日20mgまたは40mg投与した場合に、ラロキシフェン1日60mgまたはプラセボを投与する場合と比較して3年後の椎体骨折の新規発症が減るかどうかを検討したものである。サプ解析で非椎体骨折についても評価している。二重盲検ランダム化比較試験、Intention-treatである。
結果は次の通り。
ビビアント結果
非椎体骨折については統計的有意差なし。サブグループ解析では、ハイリスク集団で検討すると、バゼドキシフェンでより効果が期待できるようではある。
ビビアント骨折率
これは上記表でいうとハイリスク群の数値が反映された棒グラフである。
全体のサンプル数が書かれていないところがまあひっかかるが。プラセボと日本で一般的に使われているバゼドキシフェン20mgで比較してみると相対リスク減少率は44%、絶対リスク減少率は4.1-2.3=1.8%、NNTは1/1.8×100=55.5≒56人(3年)
3年間飲み続ければ骨折リスクが1.8%減る。言い換えれば、56名が3年間薬を飲み続ければ1名の骨折を予防できる。こっちの方がより正確に効果の程を言い表しているか?悪くない数値かなぁ。

この骨折率の棒グラフではサンプル数が書かれていないので錯覚を生じやすい。こういう情報を読むには、常にサンプルサイズ(被験者数)を意識しないと読み誤る。相対リスクで表記するのはプレスリリースなどで良くとられる手法であり、数字だけは大きく見えてしまうので実際の解釈には注意が必要。

副作用解析も同論文にあるが割愛する。バゼドキシフェンの国内での臨床試験での副作用解析では、44.2%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が出ている。主な副作用は、筋痙縮(2.5%)、乳腺症などの繊維嚢胞性乳腺疾患(2.5%)であり、重大な副作用として、静脈血栓塞栓症が現れることがあるのはラロキシフェンと共通するところ。

【参考文献】
バゼドキシフェンに関して以下の論説が良くまとまっているので参考として載せておく。
Bazedoxifene: the evolving role of third-generation selective estrogen-receptor modulators in the management of postmenopausal osteoporosisBarry S. Komm and Arkadi A. ChinesTher Adv Musculoskelet Dis. 2012 Feb; 4(1): 21–34. doi: 10.1177/1759720X11422602PMCID: PMC3383524
同ページより国内臨床試験の情報などにもリンクしている。

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