人はなぜ眠るのか 何時間眠れば良いのか

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

不眠症にかかる人は本当に多い。そこで何回かに分けて眠りと睡眠薬に関する情報をまとめていくこととする。そもそもなぜ人は眠るのだろうか。人は人生の約1/3を寝て過ごす。この事実から眠りはある程度重要と分かる。寝ている間には何もしていないように見える。しかし人が眠っているときも脳は眠らない。むしろ場所によっては脳の活動は睡眠状態にあるときの方がより活発になる。なぜ眠りが重要なのか。睡眠の役割に関しては何十もの学説があるのだが、そのうちのいくつかを紹介する。

1、眠りは疲労回復のためであり、脳の休息の時間である
脳の中にある多くの遺伝子は睡眠中だけオンの状態になり、それらは回復と代謝経路に結びついているとされている。

2、ホルモン分泌
寝ている間に成長ホルモンによる細胞の再生・修復が促されるというもの。子供の成長、大人の肌荒れに関与する。

3、免疫増強
抗体産生などは睡眠時に活性化する。

4、 記憶の再編成、脳の情報処理と記憶定着
何かを覚えようとした後に眠らないでいると学習能力は壊滅的になる。ただ単純に記憶を並べて思い出すだけではなく、面白いことに複雑な問題への新しい解決策を見つける能力は 一晩寝ることで3倍も高まるという。つまり夜に眠ることで創造性が高まる。脳の中では重要なシナプス結合は増強されるが、重要度が低いものは 徐々に結合が弱まりさらに重要性を失っていくとされている。

(5、エネルギー温存説ーあまり説得力がない説)
消費カロリーを減らすために眠るという説であるが、眠っていようがいまいがエネルギーは消費しているのであり眠りで節約できるカロリーは100キロカロリー程度である。従ってあまり説得力がない。

一般的に睡眠不足の人は多い。1950年代の信頼のおけるデータによれば、ほとんどが8時間睡眠。今では それより1時間半から2時間も短くなっている。つまり 毎晩6時間半寝ているかいないかというレベルだ。

しかしながら、National Sleep Foundationのガイドラインによれば推奨される睡眠時間は次の通りである。
睡眠時間ガイドライン

10代の若者は、この年齢で脳がしっかり活動するには9時間の睡眠が必要である。因みに10代の生体リズムは、遅く寝て遅く起きて休めるようになっているそうである。朝起きるのが遅いからといって怠けているわけではないのかもしれない。上記の睡眠時間は平均であって、それ以上必要な人も それ以下の人もいる。従って自分の身体に聞いてみないといけない。もっと睡眠必要?と。多少枠から出たとしても”may be appropriate”の枠にはおさめたい。

お年寄りはまとめて寝る能力が衰えて何回にも分けて眠ることになるが、一晩で5時間未満である。よく、一晩にこれだけしか眠れないからと睡眠剤を飲むお年寄りが多いのだが分割した睡眠を合計すると薬が必要ないほどに睡眠をとれているひとは沢山いる。こうした場合、安易に睡眠剤を使用しない方が良いし、医療者はそうしたトータルの睡眠時間を考慮して必要な薬剤のみ処方するべきである。高齢者に厳しい用量制限のある睡眠剤は沢山ある。

身の周りの医療従事者などは交代勤務で夜勤がある人がいるのだが、体内時計はそれに合わせて調整されることはない。明暗サイクルは皆同じなので、朝に帰って眠ろうとしても十分に眠れなかったりする。こうした夜勤シフトワーカーの疾患リスクについては別途まとめた

睡眠不足が招くリスクをいくつか紹介しよう。

マイクロスリープ
脳がすることの1つで非常に恐いのがマイクロスリープである。非自発的に眠りに落ちることで、自分ではコントロールできない。例えば電車内でウトウトして一瞬落ちるとか(あの電車のリズム、周波数は眠りに落ちやすい)、車の運転中、退屈な講義などである。当然危険も伴う。色々な国でマイクロスリープを体験したことがあるかという調査が行われているが、例えばアメリカの推計ではドライバーの31%が一生に一度は運転中に居眠りをしている。高速で起こった事故のうち10万件が疲労や注意散漫、 居眠りと関係があると言われている。チェルノブイリでの悲劇なども事故後の調査では 過酷な交代制勤務による判断力低下 注意散漫や疲労が大きな原因とされている。疲れて寝ていないときは、記憶力や創造性に乏しくなり判断力が落ちるものだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Microsleep
英語版Wikipediaはマイクロスリープに関するある程度詳細な情報はあるが、日本語版だとあまり情報が充実していない。

•疲れた脳は 覚醒させるものを欲する
ここで、ドラッグや興奮誘発剤が出てくる。カフェイン、ニコチン、アルコールなどはその代表例だ。仮にこれで覚醒状態を保っても、夜遅くなれば脳は睡眠へシフトしようとする。そんな時にこうしたものを摂ったらどうなるか。ちょっと落着いて眠りに入りやすくするには僅かに役立つかもしれないが、神経活動を害することもあり、眠りも浅くなるしあまり頼らない方が良い方法である。

•肥満を招く
睡眠不足と体重増加、肥満は明確に関連している。毎晩5時間以下しか寝なければ 50%の確率で肥満になる。なぜか。睡眠不足はグレリンという食欲増進ホルモンを分泌するグレリンが分泌され、脳に到達すると脳は「炭水化物が必要だ」といい、特に糖分を求めるようになる。疲労と体重増加につながる代謝傾向は関連しているのである。

•ストレスからくる弊害
一時的なストレスは誰にでもあり、問題はないのだがこれが続くと睡眠不足を招く。ストレスが続くと免疫力も下がるため 疲れた人は感染症にかかりやすくなるしうっかり物忘れも増える。交代勤務者などはがん発生率が高くなるとされている。ストレス・レベルが高まると血液中のグルコースが増え(=血糖値が高くなり)結果グルコース耐性がなくなる即ち2型糖尿病の発症である。ストレスで心臓血管病にもかかりやすくなる。血圧が上昇するためだ。睡眠不足から起こることは実に多様だ。

では、どうすれば十分に睡眠をとれていれば分かるのか。これについては別途扱うとしよう。

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