メニエール病に対するメリスロン(ベタヒスチン)は効果なし

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メニエール病による急性のめまい発作は、生活上わりと支障になるものである。簡単に回転性のめまいを改善できる方法としてエプリー法というものがある。日常生活でいきなりめまいが起きると慌ててしまいがちであるが、こういう簡便な対処を知っておくだけで慌て度合いが違ってくる。一方、薬で広く使われているのがメリスロン(成分名:ベタスチン)である。

ベタヒスチン(メリスロン)はH1、H3拮抗薬で血流改善によるリンパ流を促進させる効果が期待できる。いわゆる「内耳循環を良くして、めまいを改善する薬」である。明確なデータがなかったにも関わらず、何となく慣例的にめまいに処方されてきた薬でもある。副作用はまずなく、薬価も安いので「ないよりはあった方が」的な考えで本当に良く使われる。

これを飲んでいる方と沢山話してきたが、「効く」という人もいれば「効いているのかいないのか分からない」という人も多くいた。文献として調べようにも、今まで観察研究や質の低いランダム化比較試験で低~中用量のベタヒスチンが効くのかどうかについては結論が出ていなかった。また、めまい発作の予防という観点からも質の高い研究が行われていなかった。

それで、ベタヒスチンの効果を評価したランダム化比較試験がほとんどなかったのだが、今月BMJよりMulticenter、ダブルブラインド、プラセボ対照で21-80歳のメニエール病患者を対象とした試験が発表された。

試験では、メニエール病と診断された患者群221例(患者は21-80歳, 平均56歳, 片側, 両側のDefinite Meziere’s diseaseを満たす患者。2回以上の突発性, 20分以上持続する回転性めまいがあり, 聴力低下が認められている. さらに他に原因となる中枢病変, 片頭痛, BPPVなどの疾患が除外されている)
1、プラセボ群 74例
2、低用量ベタヒスチン: 24mg/日群 73例
3、高用量ベタヒスチン: 48mg/日群 74例
の3群に割付けられ、めまい発作の頻度などを比較した。
※日本国内の投与量は1回 6-24mgを1日3回としている(低用量)

めまい発作という主観的な症状を適切に測定できる方法が確立しているわけではないので、ここでは試験患者に予め定めたルールに基づいてめまいが起きたときの記録をつけてもらうというのは方法を採用している。一部、記録をつけていなかったがために、試験からドロップアウトした患者もいると論文に書かれている。

参考までに、この試験で用いられた、めまい記録をつける用紙は以下
betahistine_diary

結果はどうであったか。
primary_efficacy
Marginal_mean_attack

様々な項目で解析されているが、
•プラセボとベタヒスチンで発作の頻度は有意差がなく、投与量による変化もない
•めまいの重症度の緩和効果は期待できない
•生活の質(Quality of Life)、聴力の変化も有意差なし
•副作用についても有意差なし

効果ないのかー。今まで散々めまいの人に、めまい抑えるって説明してもーた。残念な結果であるが、薬価は安いし気休め程度に使われ続けるのだろうか。

【参考文献】
Efficacy and safety of betahistine treatment in patients with Meniere’s disease: primary results of a long term, multicentre, double blind, randomised, placebo controlled, dose defining trial (BEMED trial) BMJ 2016;352:h6816

Cochrane Database Syst Rev. 2001;(1):CD001873.Betahistine for Menière’s disease or syndrome.James AL1, Burton MJ.

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