腸内細菌とメンタルの関わり

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無数にある腸内細菌は健康に大きく寄与している。腸内環境次第で、消化はよくなり、肥満や皮膚症状すらも改善する。腸内細菌が腸で働いて、体の機能に影響するのはさして驚くにはあたらない。ただ、より理解しがたいのは腸内細菌叢と脳との関係である。何故なら、脳は血液脳関門というバリアによって、そうした細菌やそれらが生成する酵素などから守られていると考えられてきたからだ。一例として、気分のコントロールに一役かっているセロトニンが腸管で生み出されたとしても、このバリアによって脳に至ることはなく影響は及ぼさないとされている。

しかしながら、腸内細菌が我々の感情に影響を及ぼし、感情をコントロールしさえするというエビデンスが積み重なってきている。何十年も前はそんな関連を研究することすらバカらしいという風潮があったようだが、近年ニューヨークタイムズに掲載された腸—脳の関係に関する論説では、より多くのエビデンスが、腸内細菌が脳に影響を及ぼすのみならず精神疾患の素因になりうることを示唆している。それは即ち、腸内細菌叢を改善する薬が精神疾患に使われうるかもしれないということである。

既にある種の細菌の存在が、うつや不安症状を起こしやすい人を特定する手段となりうることを示している研究もある。特定の腸内細菌叢は自閉症や多動症と関連しているとする説もある。

National Institute of Mental Healthは、腸内細菌がどうメンタルに関わっているかを調査する4つの大規模な研究に100万$もの資金を投じているようだ。確かに、潜在的なインパクトはかなり大きい試験だ。もし、腸内細菌叢の異常が精神疾患の原因になりうるのであれば、腸内細菌叢を変えていけば精神症状を治療できることになる。それは即ち、プロバイオティクス関連産業の何十億ドルにも及ぶ市場規模の拡大を意味する。
The Probiotics Market: Ingredients, Supplements, FoodsPublished: April 2014|Report Code: FOD035D

しかし、ここまで書いておいてなんだが、未だ腸内細菌によってどう精神症状を改善できるか、あるいはコントロールできるかという点についてはほとんど不明であり、そもそもそのような治療が可能であるかも分からない。クロストリジウムディフィシル感染による腸炎などへの有効性が示されている腸内細菌叢の治療薬は、地域のドラッグストアで売られているようなものとは異なる場合も多い。精神疾患の中には未だに有効な治療法が見いだされてないものも多く、ブレイクスルーが求められている分野ではあるのだが。

こうした細菌の研究から、脳や脳の障害についての新しい知見が得られるとしたら夢のある話だ。現在、全ての体内にある細菌群をカテゴライズしていこうとするHuman Microbiomeプロジェクトも進行中であり非常に興味深い。

腸内でドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を生産されていることは以前から知られていた。しかし、細菌がそれを産生しているということが分かったのは最近のことだ。ある研究では、マウスにある種の細菌を与えた時に水槽の中を泳がせようとした際に、より積極的に泳ごうとする傾向があったとしている。他のケースでは、特定の細菌を与えられたマウスはより不安やストレスを感じにくくなった。更には、人でいう自閉症のマウスに対してある種の細菌を移植したところ症状がなくなったという研究すらある。

人への応用という意味ではほど遠い研究ではあるが、このような ”psychobiotics” といわれる治療法は精神病や神経系の疾患をもつ人間においてもテストされている。しかし実用へはまだ長い道のりがある。こういう情報をもとに整腸剤が売れてしまうのかもしれないが、いまのところこの療法が効くと言い切れる根拠は無い。

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