アルコール依存症の薬

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始めてきた方は「このブログを通じて医療従事者と患者さんに伝えたい想い」をお読みください。

アルコールはあまりにも身近なので、薬物であるという感覚を
もって摂取している人は少ないような気がする。

実際には、アルコールの主成分はエタノールで酔いという反応を起こすので
メンタルに影響する薬物 といえる。

ではその依存症は、どんな機能異常が原因になるのか。
研究は沢山あるが、確実に分かっていることはないし、
根本的に治療できる薬剤も知る限りはない。

しかし、治療の助けとなる薬は2タイプ存在する。

1、抗酒薬 と 2、断酒補助薬 

2は別頁で扱うとして、今日は1について説明する。
1は平たく言えば、酒飲みを下戸にする薬。
依存症の人は飲酒で嫌な思いを散々している
だけど、それが次の飲酒の抑止力にならないから「依存」なのだ。

摂取したアルコールは9割近く胃粘膜で吸収され、
血流を介して全身に運ばれる。

そのアルコールを含んだ血液が肝臓を通過する際に
酵素によって分解解毒されて最終的にはエネルギーとして消費され
水と二酸化炭素になる。

この分解の中間産物としてアセトアルデヒドがあり、
これが人体に有害で濃度が高くなると中毒症の原因になる。

世に言う、下戸とはこのアセトアルデヒドが分解できない人のことだ。

つまり、抗酒薬はアセトアルデヒドを代謝する酵素を阻害して
蓄積させることで吐き気や頭痛、動悸、冷や汗を起こさせる。
それらの不快症状によって飲酒をそれ以上続けられなくする。

因みに体内にアルコールがある状態で飲むと
アルコールが薬以上に酵素を引き寄せて 薬の効果が出にくくなるので注意だ。

また不快な症状を感じても飲酒を続けると心不全等で急死することもあるので
本人に黙って薬を飲ませるのは絶対にやめた方が良い。

具体的にそんな薬を紹介しよう。
1つ目はノックビン(ジスルフィラム)
ゴムの硫化促進剤として使われる物質。自動車タイヤの向上で働く工員たちに、
少量の飲酒で頭痛や嘔吐、ひどい二日酔いがおこることから
この成分がアセトアルデヒドの代謝を阻害することがわかった経緯がある。

2つ目はシアナマイド(シアナミド)
カルシウムシアナミドという肥料に使われる物質。
農地でこの薬液を用いた散布作業の後に、上記同様の作用が現れ
原因を究明され医薬品として使われるようになった。

両薬剤とも肝臓に負担をかけることもあり劇薬扱いだ。
肝臓に悪いものを肝臓の悪いアルコール依存症者に使うのは
問題だとする向きのあるが、過量なアルコールが及ぼす影響と比べれば
メリットはそれなりにある。

もう酒は飲まないからこんな薬はいらないという人もいる。
この薬は飲酒欲求を抑えるわけではないので、ある一面ではそれも正しい。
ただ、飲むと気持ち悪くなる薬を服用するのは一種の決意表明的意味合いが
あるためか、やはり薬を使った方が断酒率は高い。

交通事故を起こすつもりはないから自動車保険に入らない
と言っているのとそうかわりない言い訳をする人は
そううまくいかないということなんですかね。

※ご参考
実際にこれらの薬がどのくらい効くのか
知りたい方は以下の文献に目を通されると良いでしょう。
PLoS One 2014;9(2):e87366 full-text
JAMA 1986 Sep 19;256(11):1449

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